レコードプレーヤーケアグッズの部屋

最終更新日1999年3月29日

【概要】

アナログレコード盤の取り扱いの難しさは今の若者にはとうてい想像できないことであろう。
盤自身が塩化ビニール製なのでよく帯電する。
帯電するとどうなるか?
空気中のホコリを見事に吸ってくれる。
結果、レコード針がホコリをかき集めてまともな音が鳴らなくしてくれる。
こうしたことを防ぐため、昔からレコードのケアグッズが数多く発売された。


【資料御提供はけんぱん様です。】

record pack ナガオカ レコパック \3,300、交換液\2,000、支持台\400

【けんぱん様の御意見】

レコード全体に薄い膜を生成するパック式のレコードクリーナー。
個人的には使ってみたかったのですが、当時の私のお小遣い事情では、\3,300あればLP1枚とテープを買っていたでしょう。
原液の乾燥が不充分だと汚れが残ることもあったとか。
「パックしたままで収納すれば長期保存に最適」とありますが、今でもパックされたままのLPを死蔵されている方が居られるかもしれません。
アナログレコード時代は、レコード盤自体の減りも悩める問題でしたから、大事なレコードは買ったら直ぐお気に入りのカートリッジを使ってオープンリールにダビングし、あとはお蔵入り。
普段のリスニングにはもっぱらテープを聴いていた、という人も結構多かったと思います。
こんな話も、昔話になってしまいました。

【筆者より】
これって長期保存していて、ある日聴きたくなったときにはたして正しくパックが全部取れたのでしょうか。
経年劣化で固まってしまって取れなくなってしまうのではないかと心配になりました。(^_^;)

【オーナーの御意見】 御提供は岩田様です。
 レコパックについて
 私が購入したものは正確には「レコパック2」と呼ばれていたもので初代のものではありません。(Nagaokaであった事に変わりはありません。)
 購入価格は1,300円だったと思います。
 レコパックの缶と漏斗の働きを持った細いプラスチック製の20cmくらいの棒とがセットで入っていました。
 使用方法はその棒をレコードの上に置き、口の大きな方からレコパックを入れ、後はベルベットのクリーニングブラシを使う様に回転させて盤面全体に均等に液が付くようにします。
 で、しばらく放置し乾いたかなと思った所で人間のパックみたく手で触り固まっていたらベリベリと剥がす。
 そんな使い方です。
 液自体はまるで木工用ボンドみたいで色も白色、匂いも同じような匂いでしたが、乾いても色が白色なのでやはり別物ですか。
 レコードの80パーセント位はきれいに取れましたが残りはカスが溝に付いてしまい途中で捨ててしまったという記憶が有ります。


record spray ナガオカ クリヤトーン 550〜555 \800〜\1,600

【けんぱん様の御意見】

東芝と共同開発された、おそらく、最も標準的なレコードスプレーではなかったでしょうか。
「スプレーの音がする」とか、貸しレコード屋から使用を禁止されたりとか、いろいろ問題のあったスプレー類ですが、スクラッチ・ノイズの低減には手軽で効果の大きいアクセサリーでした。
「少量噴霧し、乾式のクリーナーで良く拭くこと」が効果的となっていますが、例えばFM東京ではターンテーブルにディスクをおいて552を上からたっぷり浴びせ、ヌルヌルになったところを乾式クリーナー113(商品名:アルジャント)で「擦り込む」ようにやっていたようです(出典:FMfan臨時増刊)。
このやりかたも家庭用オーディオの立場からすればターンテーブル周囲を汚すとかシャフトが痛むとか問題がありそうですが、聴きやすい放送のためには、とにかくスクラッチ・ノイズを減らすことが最優先だったのかもしれません。
私も中古レコードなどではより強烈なスタットバン562というスプレーを、ケミック103という安い乾式クリーナーで徹底的に拭き取って聴いていました。
保管のいいレコードではスプレーを避け、、デンオンのAMC−1という湿式クリーナーを愛用していましたが、この商品は80年代後半に「レコピッカ」などという、およそデンオン・ファンが悲しみそうな安直な商品名で売られていました。

【筆者より】
「ナガオカ」と聞いて心ときめく人はもうオーディオ考古学会会員です。(^o^)
無性に懐かしい響きがするナガオカのクリーナーは優秀でした。


stat ゼロスタット

【けんぱん様の御意見】

アンチ・スタティック・ピストルと書かれている英国製の静電気除去装置です。
引き金を引くとプラスイオンが、戻すとマイナスイオンが放出され、塩化ビニール製のアナログレコード盤上の静電気を中和するというものです。
同様の製品はいくつかあって、ピストル形ではZeepa!などという面白い名前のものもありました。
国産品にピストル型は無かったと思いますが、ナガオカもキラボルトという商品名の電池式製品を出していました。
舶来品はどれも、電池を含めて交換品が不要だったんですけどね。

【筆者より】
これ、ぜひ使用者の感想を聞いてみたい製品です。
はたして効果があったのかどうか、新発売当時からの疑問でした。


vacume オーディオテクニカ ディスクスタビライザ AT666 \33,000(?)

【けんぱん様の御意見】

レコードとジュラルミン製プレートの隙間の空気をポンプで吸い出し、プレートとレコードを真空圧で一体化してしまおうというターンテーブルシートで、アナログディスク用アクセサリーの決定版として80年代前半に一世を風靡しました。
最近なら、DJがスリップシートに載せてスクラッチプレイを駆使する(←これも古くなりつつあるが)ところですが、CDが主流になる前はいかにディスクをターンテーブルに密着させるかがオーディオの話題でした。
機械的な振動を電気信号に変換するというアナログディスクの原理上、間接的であってもレコード針と振動を共有する可能性がある部材の音響的なコンプライアンスが必ず音質に影響しますので、これ以前にも砲金やガラス、アルミナ、フェルトあるいはブチルゴム製といった硬軟様々な材質のシートが話題になりました。
また、密着させるもう一つの目的は、アナログレコードに避けられない反り変形による極低音域の不安定性の回避で、盤面の平面性を保つためにラベル面やレコード最外周に載せるスタビライザが商品化されたりしていました。
これらの諸問題を大きく改善し、かつレコード盤の見かけの質量をターンテーブルと一体化できるためにハウリング・マージンを大きく稼げるのが、真空吸着式だったわけです。
80年代の中頃までには製品のバリエーションも増え、ポンプも電動式になっていましたが、いつ製造が終了したのかは存じません。
この方式の商品化はラックスの一体型ターンテーブルが最初で、ビクターなどからも出ていたようですが、精密に観察すると吸着時のレコード盤の溝変形がかなり大きい場合もあるということで、検討しながら採用を見送ったプレーヤ・メーカーもあったようです。
また、シーリングゴムとレコード面にわずかでも埃が着いていると吸着力の低下が避けられません。
薄手のゴムが経年劣化しやすいこともあり、現在も使用し続けて居られる方は、そう多くはないと思います。
私も以前、プレートのみを拾ったことがあり、もしやという期待もあって周囲を捜したのですが、ポンプは捨てられていませんでした。

【筆者より】
これもまたぜひ使用者の感想を聞いてみたい一品です。
値段分の価値があったといえる人は相当なシステムを組まれている人なのでしょうね。
※我が家のプレーヤーは9700円のプレーヤーだったからなあ。

【オーナーの御意見】 資料御提供は長野県の根岸様です
 AT-666は所有しています。(というか、AT-666の電動ポンプ版のAT-666EXを所有しています)
 このスタビライザは、テクニクスのターンテーブル(プレーヤーではなく、ターンテーブルユニットです)、SP-10シリーズ(最低ランクでも15万円しました)を対象に設計されており、ターンテーブル上のゴムを外した状態のところにジャストフィットするように作られています。
 他のテクニクスの他のプレーヤーでも、同じゴムを使用している機種ならジャストフィットする可能性は高いです。(アルミのターンテーブルの縁が少し高くなっており、AT-666側ではそこに逃げがあります)
 他のメーカーのプレーヤーでも、ターンテーブル表面が全く平らであれば問題なく使用可能です。
 で、肝心な使用結果ですが、物理的には「再生が正確になる」ことです。
 しかし、宣伝文句にあったような、盤面の反りよりむしろ、回転方向に正確さが増します。
 通常のゴムシートを使用した場合、試しにターンテーブルとレコード盤の外周に「合いマーク」をつけてから再生すると、最後まで再生するあいだに必ずマークがずれます。(針と盤面の摩擦は想像以上に大きいです。針圧などの条件によりますが、通常2cm以上ずれてしまいます。)
 AT-666を使用した場合、AT-666とレコード盤のあいだは絶対にずれません。(しかし、驚くべきことはAT-666とターンテーブルの間は滑ります。何かで接着するのがベストです。)
 レコード盤の反りに対する効果はさほどありません。
 反りによる低周波は1Hz以下(SP盤を除く)ですので、通常の再生システムでは再生されません。
 というか、通常の市販レコードには20Hz以下の信号は記録されていませんので、通常の使用では軽微な反りの影響は出ないと考えられます。
 以前、秋葉原の第一家庭電気のオーディオコーナーでカートリッジ会員になると、年に2枚スペシャルレコードがもらえましたが、このレコードは低域がカットされていませんでした。
 このレコードのシリーズで、パイプオルガン等のソースの場合、AT-666を使用するとオルガンの送風機ノイズが見事に再生されます。
 このときばかりはAT-666の効果を実感いたしました。
 AT-666の欠点は、ホコリのはさみ込みです。
 ホコリがあると密着しないと言うのは全くの嘘で、多少のホコリなら密着します。
 問題なのは吸着力が非常に強力なことで、見事にホコリが盤面に食い込んでしまいます。
 ですからAT-666と盤面の両方を念入りにクリーニングしてから使用しないと取り返しの付かないことになってしまいます。
 蛇足ですが、AT-666シリーズには、廉価版のAT-665というのもありました。(AT-666より重量が軽い)

(参考)私がAT-666を使用している再生システムは以下の通りです

ターンテーブル : 松下 SP-10MK2A (4kgの回転部が0.25秒で定速回転に入るバケモノです)
トーンアーム : オーディオエンジニアリング WE-8000ST (40cm長のストレートロングアームです)
キャビネット : 大阪ケーブル(12年くらい前に倒産) Stout Board (鉛入りの10kg以上あるやつ)
カートリッジは多数、アンプ関係は自作です。(真空管ではない)


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