ナカミチカセットデッキの部屋

最終更新日1999年1月2日


【概要】

ナカミチの半速モードカセットデッキです。
情報御提供はけんぱん様です。

680

ナカミチ 680ZX

オート・アジマス・アライメント(録音ヘッド自動垂直調整機構)装備の2スピードカセットデッキです。
スタンダード・スピードで10〜22,000Hz±3dB、ハーフ・スピードで10〜15,000Hz±3dB(ZXテープ)という特性を安定に得ています。
録音、再生にそれぞれ専用アンプ、専用ドルビー回路を持った完全ディスクリート3ヘッド構成。
アフターモニターが可能です。
またメーターは、FL(蛍光)によるもので、ピーク/VU/キャリブレーション表示などができます。
18曲までのRAMM(自動頭出し)機構も装備しています。(中略)
ワウフラッター(WRMS):0.04%(4.8cm/秒), 0.08%(2.4cm/秒)
SN比:66dB(4.8cm/秒), 60dB(2.4cm/秒)

【けんぱん様の御意見】
広告でもカタログでも堂々と半速モードを宣伝していたナカミチ680ZXの昭和54年12月のカタログです。
ただし、1年半後に登場したドルビーC搭載の後継機682ZXは標準速専用に戻っていますので、やはり規格絡みのモメ事があったのかもしれません。
しかし、その内容たるや堂々と宣伝するのにふさわしいものでした。
まず、再生ヘッドP-9Fのギャップ幅を0.6ミクロンに切りつめ(これは凄い)、高域性能を改善しています。
さらに、テープ速度が遅い場合に問題となりやすいアジマスずれには自動調整機能を初めて搭載し、半速でも15kHzまで±3dBの周波数特性を確保しています。
ノイズ対策としては、追って別売NRのHigh-COM 2ユニットを登場させ、ぬかりありません。
面白いのは、標記のスペックのうち、半速時のデータは全てZXテープ(TYPE-4)用のBIASと+120μSのEQで採取されている、ということです。
かなり遅くまでBIASとEQの切換が手動かつ独立だったナカミチですが、半速ではメタルやハイポジでも+120μSを推奨していたのでしょうか。
他社の半速機や倍速機がどうだったのかを含め、気になるところです。
しかし何故、高級専門の中道研究所が、テープ速度を半分にするというセコいことに挑んだのでしょうか?
これは私の想像ですが、当時のFMエアチェックを中心とした長時間録音需要の高まりに対するナカミチなりの回答だったと思えるのです。
専業とするCカセットで長時間録音といえばリバース機等が考えられますが、後のDRAGONやRXシリーズのように凝りまくったところで、反転時の音の途切れは避けられません。
ならば半速で、と考え、FMエアチェック程度なら十分とも言える周波数特性を実際に製品化してしまうところが、ナカミチの凄さではないでしょうか。

【筆者より】
けんぱんさんの御意見に一票。
たぶんFM番組のエアチェック用に出したナカミチの回答が半速なんでしょうね。


前のページに戻る

誤記、新情報などありましたら Web Master まで

現在もご使用中の方、感想をお知らせください。