縦形CDプレーヤーの部屋
最終更新日1998年5月4日
【概要】
1982年に発売され世界的にアナログレコードを駆逐したコンパクトディスクプレーヤー。
今でこそ、単体プレーヤーはみな水平駆動タイプになっているが、発売当初は圧倒的に垂直駆動タイプが多かった。
各社のCDプレーヤー1号機
縦型タイプ
シャープ:DX-3 \165,000
オットー(三洋):DAD-03 \178,000
アカイ:CD-D1 \189,000
京セラ:DA-01 \189,000(アカイのOEMか?)
ローディ(日立):DAD-1000 \189,000(デンオンと共同開発)
デンオン:DCD-2000 \189,000(日立と共同開発)
ビクター:XL-V1 \190,000
テクニクス:SL-P10 \198,000
パイオニア:P-D1 \198,000
NEC:CD-803 \215,000
オーレックス(東芝):XR-Z90 \225,000(ケンウッドと共同開発)
ケンウッド:L-03DP \240,000(オーレックスと共同開発)
ダイヤトーン(三菱):DP-101 \248,000
水平タイプ
ソニー:CDP-101 \168,000
マランツ:CD-63 \189,000
オンキョー:DX-5 \250,000
ヤマハ:CD-1 \250,000
縦形ローディングはディスクの出し入れ時にどうしてもディスクの信号面に触れてしまうことが多く、とても使いづらかった。
NECのCD-803は1号機としては音は絶賛されていたのだが、ディスクの取り出し時にディスクそのものの外側をつままねば取り出すことができず、非常に取り扱いが難しかった。
なぜ、このように縦形タイプが多かったのかは諸説あるところだが、一番もっともらしいのは開発元のソニーのプロトタイプがずっと縦形だったためだと思われる。
ソニーは製品版ではしっかり水平タイプに変えてきた。
各社、さぞかし面食らったと思われる。
1号機の時点ではソニーと並んでよく売れたという日立も2号機のDAD-800
では水平タイプに変えてきた。
以後、他社も二度と縦形のプレーヤーを発売することはなかった。
その後しばらくはCDラジカセに縦形方式は採用されていたが、CDシングル登場で完全に絶滅した。
<垂直タイプの代表・ローディ(日立)DAD-1000>
縦形としては半分以上ディスクがせり出してきて、出し入れし易かった。
光学ピックアップの位置を示すインジケーターを装備。
回転しているディスクも見せるという念の入れ様。
プログラムも15曲もセットできて多機能を誇った。
当時としては機能も充実。
1号機の中ではよく売れたようだ。
<水平タイプの代表・ソニーCDP-101>
1号機とは思えないほどの完成度を誇った銘機。
再生や早送りなどはすべて文字では無くマークで表示している。
このマークが秀逸の出来だった。
特に選曲用の「三角マークに縦棒」のマークには感心させられた。
それまで見たことがないものだったが、機能が一目でイメージできるすばらしいものであった。
また通常の早送りのさらに高速な早送り機能を持っていたが、それも三角マークを3個並べることにより見事に表現している。
その反面、この機種にもおもしろおかしい点がある。
プログラム予約再生ができなかった他、なんとこの機種には「STOP」キーがない。
代わりに「RESET」なるキーがある。
通常のモデルでは「STOP」キーを押すと演奏を停止してピックアップも最初に戻る。
次にPLAYキーを押した時には1曲目から演奏が始まる。
考えてみると意味としては「RESET」キーの方が正しいのかもしれない。
ソニーは2号機のCDP-701ESでもまだ「RESET」と称したキーを使用していた。
【1号機よもやま話】
マランツCD-63は1号機の中でも異色の存在だった。
これはふたを開けてディスクをセットするアナログレコードプレーヤー方式で、他社がみなパワーローディングタイプのトレイもしくはホルダー形式になっている中で斬新なものであった。
当時のマランツのポリシーとして、徹底的にディスクの情報を隠すようにしたのであろうか、1号機のCD-63、2号機の
CD-73共に数字による時間表示機能が無く、何曲目を再生中であるのかはインジケーターでわかるようになっている。
しかしインジケーターの数には限りがある(15個)ので、それを超える曲数のディスクをかけた場合は、何曲目を演奏中かさえもわからない代物だった。(^o^)
各社の1号機の特徴としては、アナログレコードプレーヤーの延長線として考えていたようで回っているディスクの様子を何とかして外に見せようとしたり、ピックアップの位置を示すインジケーターがついていたり、時間指定でのジャンプ機能など、何の意味があるのかよくわからない機能が多かった。
今となってはたいへん微笑ましい話である。(^o^)
これらの機能が全部ついているテクニクスSL-P10はディスクセット時に、全体の時間数と曲の頭が棒グラフとなって現れるのがとてもカッコよかった。
使い勝手にはまったく影響しない機能だったが......
テクニクス栄光の「10」番を名乗った割にはあまり売れずに短命だった。
オーレックスXR-Z90は超高速アクセスが評判だった。
元々すばやいアクセスがコンパクトディスクの操作上の特長だが、この機種はその中でも飛びぬけてアクセス時間が短かった。
ケンウッドL-03DPはオーレックスと同型機だが、ケンウッド独自の「Σ(シグマ)ドライブ」なる端子が付いていた。
値段の違いはこの端子の有無だと思われる。
この2機種はパワーローディング形式ではなかったため、電源を切っていてもEJECTキーを押すとディスクを取り出すことができた。
もうひとつついでに書いておくと、1号機発売の頃は「コンパクトディスクにはまだまだ余裕領域があり、将来はここに静止画など、プラスアルファの情報が記録される」という話題が出回っていた。
そのため、ソニーなどでは「アクセサリー端子」と称して、将来のアダプタ取付用の端子を装備していた。
筆者が最初に購入したプレーヤー・ヤマハCD-350にもこういった拡張端子が付いていたが、結局そこにつなぐべきアダプタなど発売されず、意味の無い機能となってしまった。
音声多重アダプタやBS/CSチューナー、AHDプロセッサ、MUSEコンバータなどどうも外付けのアダプタものというのはそれだけでもう普及しないマイナーなものになるようである。
アカイCD-D1、京セラDA-01はディスク演奏が最後まで終わるとまた頭に戻って再生を始めるという奇怪な仕様になっていたらしい。
とにかく「STOP」キーを押さない限り、演奏を停止することはできない。
そのくせ「REPEAT」キーもついていた。
この方式が使い易いと設計者は思っていたのだろうか?
筆者所有のカーMD(ソニーMDX-700EQ)もこのような仕様になっているが、使いにくいだけだと思う。
コンパクトディスクプレーヤー1号機は評論家諸氏も取り扱いには頭を悩ませていた。
特にCDプレーヤーの目玉機能のプログラム予約については、各社各様で指定方法もまちまちだった。
このため評論家諸氏もマニュアルの読解力に悩まされていたようだ。
これもまた今となっては微笑ましい話である。(^o^)
【ついで】
全世界に衝撃を与えたソニーのD-50。
この小ささに驚き、そして49,800円という値段にまた驚いた。
このモデルがコンパクトディスクの普及にもっとも貢献したモデルといえよう。
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