CDVの部屋

最終更新日1998年8月7日


【概要】

 はたしてこいつを「オーディオ考古学」の仲間に入れていいのかどうかは迷っている。
 こいつを仲間に入れてしまうと、VHDやTEDやベータVTRなどビジュアル面への展開を余儀なくされてしまうからだ。
 とか言っているうちにどんどんこのオーディオ考古学ページも増殖してきてビジュアル面も取り扱っている。
 (ちなみに、この文章はこのページ開設時に載せていたものです。)

 CDVはCDと同じ直径12cmの光学式読み取り円盤を用いる。
 内周直径8cm分までがオーディオトラック(約20分)、外周にはLDと同じフォーマットの5分間のアナログ映像とデジタル音声が記録されている。
 発売された1987年当時は、アルバムは既に30cmアナログ盤(LP)からCDへと世代交代していたがアナログレコードシングル盤(EP)に相当する現在のCDシングルという規格がなかった。
 LD普及を目指すCDライセンサーであるフィリップスをLDとCDとのコンパチプレーヤーが作れるという名目で日本メーカーが説き伏せたものだという。
 一説にはどうしてもCDシングル(直径8cm)を発売したいソニーがLD普及を目指していたフィリップスを口説き落とした際の妥協の産物だという。

 発売は1987年の秋だった。
 CDVが新発売の頃、筆者はなぜか電器店にて働いていた。
 その店の店長が新しモノ好きな性格だったので3枚ほどCDVを買ってきていた。
 店では新発売のパイオニアのLD/CD/CDVコンパチプレーヤー(CLD-99Sだったかな?)で毎日リピート再生していた。

SONY CDP-301V

 写真は珍しいLDコンパチではないソニー製CD/CDVプレーヤーCDP-301V \69,800

Aurex XR-V54CDV

 こちらも珍しいブランド・オーレックス(東芝)のCD/CDVプレーヤーXR-V54CDV \89,800


 CDVはあまりにも中途半端な規格ゆえに新発売当初はともかく、すぐに新作が発表されなくなった。
 筆者も発売当初から「この規格は絶対消える」と思って、歴史上の遺産として数枚購入している。
 音楽を楽しむには20分というのは短すぎるし、映像にいたってはたった5分なのでかけてすぐに終わるのでつまらない代物であった。

 CDVは失敗に終わったが、内周部分そのものであるCDシングルは大成功となった。

 CDVが失敗した理由はプレーヤーの普及率が全くなかったことであろう。
 LD方式はライバルであるVHD方式には勝利していたものの、まだそれほど普及していない状態であった。
 ただでさえ普及していないLDプレーヤーで、しかも既発売LD/CDコンパチモデルではCDVは再生できず、新たに再生機を必要とした点が決定的な問題であった。

 このCDV、すぐに表舞台から消えたのだが、あまりにも普及しないLDプレーヤーを普及するべく、一時期消えたCDVにまたスポットが当てられたこともあった。
 それがVSD(Video Single Disc)である。
 これはCDVからオーディオトラックを抜いてビデオ部分だけにしたものである。

 だが、VSDもCDVの後を追うように大失敗。すぐに消えた。

 筆者はCDVはともかくVSDのアイデアは結構よかったと思う。
 なぜならば、山のようにあふれているミュージッククリップビデオをそのまま商品にできると思ったからである。
 当時はMTV(三重テレビではない、Music TVである)が日本にも上陸し、ビデオクリップが世間の話題を集めていたのである。
 マイケルジャクソンのスリラーのビデオクリップが大流行していたため、こういったビデオクリップをビデオシングル盤として発売すれば必ず売れると思っていた。
 だが、それはまったくかなわなかった。
 ソフトメーカー側のやる気の無さが普及しなかった最大の原因であろう。
 売り方に工夫すれば今からでもきっと遅くはないと思う。
 今でもビデオクリップがたくさんあるのだから、それをVSDとして発売してくれればいいのにと思う私である。
 SPEEDやV6あたりはもちろん、異様なノリを見せるキーボードの男が愉快なEvery Little Thingの映像を見たいぞ!


【CDVとVSDの例】

CDV&VSD
奥がVSDソフト 久保田利伸 「CRY ON YOUR SMILE」
手前がCDVソフト The Police 「見つめていたい」
いずれもモノクロ映像ソフト。
せっかくカラー映像が入っているという触れ込みのCDV&VSDソフトなのに、白黒映像のものを二枚もつかんでしまった馬鹿な私。(^_^;)

奥のガラステーブルの下にあるのはソニーステレオジルバップCF-6500
金色の折り紙は私の自信作、蟹。


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