V-cord/V-cord2の部屋
最終更新日1998年11月14日
【概要】 資料御提供は山形県在住の佐藤様です。
Vcordは東芝と三洋が共同開発した家庭用ビデオ規格である。
ベータマックス、VHSなどと同じ頃、家庭用ビデオの黎明期に登場した。
本気になってファミリー作りに取り組めばひょっとするとスタンダード規格になり得たかもしれない。
しかし今となっては夢物語。
早くからLPモードを用意して、標準モードの2倍の記録時間を誇っていた。
しかし、標準記録時間が1時間ではやはり時間的に物足りないものであった。
すでに資料の1977年8月時点では東芝も三洋もベータ方式VTRに鞍替えしている。
【規格内容】
VコードVTRのテープ幅は12.7mm(1/2インチ)。
その形から平行2リール型と呼ばれている。
EIAJが1973年3月に制定した技術基準CPZ-201「磁気録画テープ用カセットおよびカセットVTR(12.7ミリメートル、平行リール型)」によっている。
Uマチックと同時期にモノクロ携帯用VTRとして商品化された。
Uマチックと大きく異なるのはヘッドシリンダを回転しないことである。
その後、カラー化し、スタンダードプレイ(STD)とロングプレイ(LP)の2種類の録画再生ができるようになっている。
STDではフルフィールドで20分間、LPではフィールドスキップで60分間の記録時間であった。
LPの記録時間がSTDの三倍になっているのは資料の誤記なのかもしれない。
右図はVコードカセットの外形図である。
右図はテープの巻き方と駆動部の図である。
テープの送りはU型ローディングで、VTRのイジェクトボタンを押すとカセットボックスの蓋が斜めに上がりカセットをさし込む口が開く。
カセットを差し込むとカセットのシャッターが爪で押されて開く。
カセットボックスの蓋を押し込むと蓋が閉まり、テープの巻きつけに必要なローディングアーム類とピンチローラがカセットのテープの内側に入る。
カセットが正しい位置にセットされ、プレイボタンが押されるとローディングリングが回転してカセット内のテープをローディングアームが引き出してシリンダに巻き付ける。
以降はほとんどUマチックと同じ構造だったらしい。
具体的にはシリンダに巻き付けた後にローディングリングが指定位置に来ると巻き付け完了である。
ここでテープを正規の速度で送り、再生を始める。
ストップボタンが押されたときにはテープ送りを停止し、ローディングリングがテープセット時とは逆に回転する。
ほとんどのカセット式ビデオと同じく引き出していたテープをカセット内に戻してテープを巻き取る。
これで停止状態となる。
VコードにはVcord1とVcord2の2つの系列がある。
Vcord1はLPで1時間、Vcord2はLPで2時間の録画再生ができた。
項目 | 単位 | 規格 |
Vcord1 | Vcord2 |
STD | LP | STD | LP |
テープ幅 | mm | 12.65 |
テープ送り速度 | mm/sec | 134.0 | 67.0 | 73.872 | 36.936 |
シリンダ径 | mm | 81.338 |
相対速度 | m/sec | 7.791 | 7.725 | 7.732 | 7.695 |
ビデオトラックピッチ | mm | 0.175 | 0.177 | 0.097 | 0.098 |
ビデオトラック幅 | mm | 0.115 | 0.115 | 0.061 | 0.061 |
ビデオガード幅 | mm | 0.060 | 0.062 | 0.036 | 0.037 |
ビデオ幅 | mm | 10.17 |
オーディオトラック幅 | mm | 1.0 |
コントロールトラック幅 | mm | 0.8 |
コントロールヘッド位置 | mm | 54.8 |
Vcord2のLP時テープ送り速度はVcord1の約半分(36.936mm/s)となり、同じカセットを使いながら2時間の録画再生ができる。
ビデオトラック幅が半分になっているのも大きな特長である。
これは磁気録画再生技術の進歩やテープ送り機構の精度の向上、回路のSN比改善の結果である。
【東京芝浦電気(現・東芝)編】
TOSHIBA Vcord2 KV-4200 \325,000(77/8)
チューナー付きで裏番組録画可能。
ロングプレイで2時間録画。
ストップモーション再生可能。
タイマーを使えば留守録画もOK。
カウンターメモリースイッチ付き。
アフターレコーディング可能。
外形寸法:幅500×高さ164×奥行417mm
重量:17kg
TOSHIBA Vcord2 KV-4000 \279,000(77/8)
重さ16kgのコンパクトな形。
ロングプレイで2時間録画。
アフターレコーディング可能。
ストップモーション再生可能。
カウンターメモリースイッチ付き。
外形寸法:幅396×高さ164×奥行390mm
重量:16kg
TOSHIBA Vcord2 KV-4100 \279,000(77/8)
一般家庭用交流100Vおよび自動車バッテリー12V等直流でも作動可能な交直両用電源方式。
ロングプレイで2時間録画。
ストップモーション再生可能。
アフターレコーディング可能。
カウンターメモリースイッチ付き。
外形寸法:幅396×高さ164×奥行390mm
重量:16kg
TOSHIBA Vcord cassette tape V-60 \4,000(77/8)
V-120 \6,000(77/8)
V-60はSTDモードで30分、LPモードで60分。
V-120はSTDモードで60分、LPモードで60分。
最初からLPモードを前提とした型番の付け方がすごい。
【三洋電機編】
SANYO Vcord VTC-8000 \260,000(77/8)
標準スピードは60分であるが、回転3ヘッドの採用で画質をほとんど変えずに2時間のロングプレイが可能になった。
「ここが見たい」という決定的瞬間をスイッチひとつで画像を止めてじっくり見られるのがVcord2の大きな魅力。さらに不必要な画像の録画カットも思いのまま。
イジェクトボタンを押してカセットをポンと入れるだけ。テープをリールに巻きつける手間もいらずお子様でも、お年寄りでも簡単に操作できる。
ビデオの心臓部には、単結晶フェライトヘッドを採用。また色の鮮度を守るノイズキャンセラー回路やゴミ・キズによるノイズが出るのを防ぐドロップアウト補償回路など数々の自動調整装置を内蔵。色ずれ、色むらが少ない、鮮明で美しい画像が楽しめる。
外形寸法:幅395×高さ165×奥行395mm
重量:15kg
SANYO Vcord VTC-8200 \329,000(77/8)
「ここが見たい」という決定的瞬間を、静止画像で楽しめるストップモーション付き。さらに不必要な画面の録画カットも思いのままにできるので、録画テープの作成がお客様の手でスムーズに行える。
たとえば、録画した映画を再生しながらナレーションを後からかぶせ、各シーンに解説を入れたり効果的なバックミュージックを入れたり......自分で編集したて「マイ・ムーヴィ劇場」を作ることもできる。
大作映画やスポーツ中継もすっぽり2時間。
取り扱いは、カセットテレコ並の簡単さ。
ご家庭で今お使いのテレビに簡単に接続がOK。
ビデオ内部に露が付く露結現象を感知し、モーターをストップさせる露結センサー、安全性の高いローディング機構、ICの大幅採用など細部にわたって信頼性を追及した設計である。
思い出に残る楽しいシーン、たとえば結婚披露宴やお子様の生活アルバムなど、ばっちり録画。
外形寸法:幅500×高さ164×奥行430mm
重量:17kg
SANYO Vcord Cassette Tape V-120 \6,000(77/8)
V-60 \4.000(77/8)
VT-25CL(Cleaning cassette) \4,500(77/8)
三洋のVcordビデオ用カセットテープ。
前のページに戻る
誤記、新情報などありましたら
Web Master
まで
現在もご使用中の方、感想をお知らせください。