蒸着オーディオテープの部屋
最終更新日2001年6月19日
【概要】
今をときめくハイエイト&DV。
そのテープ製造には蒸着という技術が使われている。
この蒸着技術は、ハイエイトビデオテープが最初ではない。
松下電器がマイクロカセットテープで始めたのが最初だったと記憶している。
通常のテープ作成は塗布方式といって、磁性粉をバインダーと混合してテープベースに塗っていく。
蒸着方式では磁性層にバインダーを含まない磁性金属薄膜でできています。
真空のるつぼの中で磁性体となる合金を電子ビームで加熱して蒸発させ、ベースフィルム表面にくっつかせるものである。
蒸着テープの特徴は、高密度記録に適するように磁性層とテープベースが共に薄く、短波長記録に高性能を発揮します。
その反面、磁性体が塗布テープに比べてはがれ易いという弱点もあります。
写真はナショナルブランドのオングロームテープ(Type-2ポジション)
情報提供は静岡県在住の星自由人様です。
能書き
世界初の蒸着による高密度音楽用テープ!
ご覧の特長を備えています。
●真空蒸着による垂直結晶磁性層ですので、より高密度に規則正しく磁性層が形成されています。
その結果、とくに、高域において、優れた周波数特性と広いダイナミックレンジがえられます。
●オングロームDUのために新しく開発した高精度ハーフと特殊透明シートにより、安定したテープ走行性を実現しています。
紙質は良く、曲目などは書き易かった。
独特のラベル。個性があって好ましい。
その反面、うまく貼るには技術が必要だった。
独特の縦型ラベル。
縦型は他にはビクターのメタルテープでしかお目にかかったことはない。
このテープが発売された頃はFMレコパルでも大々的に特集を組むほど華々しかった。
私も結構気に入って何本か所有していた。
メタルテープ並のレベルで録音しても音割れがなかった。
なかなかいいテープだと思っていたのだが、メーカーの思惑通りには売れず、晩年は一巻100円で投げ売りされていた。
おお、かわいそう。
けんぱん様御提供の松下製オングロームマイクロカセットテープ
- けんぱん様のご意見
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商品化蒸着テープ第1号となったマイクロカセットの場合、ベースフィルムに直接蒸着されており、テープは全くの銀色でした。
その磁性層の薄さを武器に、マイクロカセット唯一の90分(半速で往復3時間)テープを実用化しています。
往復録音3時間(1.2cm/s) 長時間録音にオングロームテープ
低速(1.2cm/s)で、3時間もの長時間録音ができるオングローム。
明瞭再生で、しかもどのテープレコーダでもノーマルポジションで使用OK。
長い会議も1巻に収録、整理にも便利。
オングローム・マイクロカセットテープ
A:RT-90AMC \1,500
B:RT-90AMC-2(2巻パック) \3,000
(2.4cm/s 90分、1.2cm/s 180分)
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一貫生産体制と厳しい品質管理が生む信頼のナショナルテープ
独自の新技術と完璧なまでの管理システムから生まれるナショナルテープなら、どのテープをお使いいただいても鮮明な音質と豊かな音楽性がお楽しみいただけます。
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1.全く新しい製法"真空蒸着"が生んだオングロームテープ
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現代社会において記録の重要性に着目したナショナルの技術陣は、全く新しいマイクロカセットテープの開発に成功。
それが、ベースフィルムに磁性材を"真空蒸着"する初めての製法を採用したオングロームです。
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2.テープ厚はわずか6マイクロメートル。往復3時間録音(1.2cm/s)を実現
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オングロームは磁性層が非常に薄い(0.3マイクロメートル)ため、同じハーフの中に1.5倍のテープが収納できます。
結果、低速(1.2cm/s)なら、なんと往復3時間録音が可能になりました。
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3.テープ表面は100%磁性材、高域の明瞭度は桁違いに向上
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従来の磁気テープ(塗布型)表面の磁性材含有率は約30%。
オングロームは、ほぼ100%ですから、低速再生でも信頼性が高く、特に高域の明瞭度に優れています。
オングロームDU
- けんぱん様のご意見
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別途示したカタログの中の説明図です。
フィルムへの直接蒸着では磁性層が薄くて中低域のMOLを稼げないので、音楽用のコンパクトカセットは通常の塗布型の磁性層の上に蒸着を施した、一種の二層構造テープでした。
どんなに原理的に優れていても、塗布型テープ用の電磁特性を用意したデッキで使いモノにしなければならなかったわけです。
蒸着テープ専用の電磁特性がTYPE 5として規格化されていたなら、あるいは低い特許料で各テープメーカに蒸着技術が公開されていたなら、もっと広く普及し、塗布型テープを考古学の世界へ葬り去っていたのでしょうか?
下の塗布層が透けて見えるテープは、銀色と言うよりも、やたらピカピカ艶っぽいこげ茶色でした。
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●二層構造が実現した、優れた周波数特性
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磁性体が垂直結晶した蒸着磁性層は、磁性体密度ほぼ100%(従来は約40%:当社比)。
高域信号を高密度に記録し、優れた周波数特性、高MOLを実現しています。
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●まさにCD時代のオーディオテープ!
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デジタル録音の最大の敵、変調ノイズを従来の1/2(当社比)まで低減。
濁りの無いクリアな音質は、CDサウンドの本来の美しさをそのまま、再現してくれます。
けんぱん様御提供の松下の後年型蒸着テープ群
- けんぱん様のご意見
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磁気テープの生産がビデオカセットのみだった松下は、蒸着テープを武器にオーディオカセットにも進出しましたが、TDKからのOEM品も並売されていました。
TYPE 2から始まった蒸着Cカセットは約1年後、4モデルに増えています(昭和60年10月)。
ハーフに特徴があったTYPE 2やTYPE 4のテープは個人的にも印象深かった一方、G−DUやX−DUが店頭に並んでいるのを見たことはありません。
カタログ上もいつしかMX−DUのみとなり、やがてそれも消えてゆきます。
MX−DUの定価はFermo(TDK)やVertex(maxell)、Metal Master(SONY)といった、各社の最高級品と同じでした。
筆者注:私がいた郷里の熊本県のナショナルショップにはこのシリーズは全種類揃っていました。
買っておけばよかったと後悔しています。(^_^;)
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シャープな音域、タイトな中低音が魅力
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蒸着テープならではの、きらめくような高音。
極限まで抑えたノイズ特性で、タイトなサウンドがお楽しみいただけます。
引き締まった中低域は、ロック、ポップスの録音に最適。
Normal Position
RT-G46DU \520
RT-G54DU \600
RT-G92DU \990
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鋭いレスポンス、クリスタル・サウンド
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磁力線を効果的に捉える垂直磁性層と、高精度透明ハーフが、変調ノイズを従来の1/2(当社比)に低減。
フュージョンのようなハイスピードなソースにも、鋭く追従します。
Normal Position
RT-X46DU \570
RT-X54DU \680
RT-X92DU \1,100
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全帯域をパワフル&ピュアに再現
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蒸着テープならではの二層構造で、全帯域を余裕を持って録再。
音楽のエネルギー分布が広いジャズやライブのサウンドなど、白熱のプレイを、ありのままに再現します。
High(CrO2) Position
RT-HG46DU \680
RT-HG54DU \800
RT-HG92DU \1,250
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群を抜くキャパシティ、テープの最高峰
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時期特性に優れたメタル磁性体の能力を、蒸着技術により最大限に発揮させました。
広大なダイナミックレンジを要求するクラシックをはじめ、生録、CDマスターに真価を発揮。
Metal Position
RT-MX46DU \1,400
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