TX-1000

最終更新日1998年5月24日


【概要】

資料御提供は笠原様です。

TX-1000

Nakamichi TX-1000 Computing Turntable \1,100,000(82/1)

Absolute Center Search System

レコードの偏心を検出して音溝のアブソルートセンター(絶対中心)を自動的に割り出し、演奏時のワウフラッターを大幅に低減する世界初のシステム。

ミクロン単位の音溝をトレースするレコード再生にあって信じがたいことですが、レコードをターンテーブルに乗せたとき、回転の中心と音溝から見た中心は必ずといっていいほど狂いが出ているといわれます。
これを具体的にご説明しましょう。
ディスクレコードの規格は、中心穴径が7.24(+0.09 -0)mm、ターンテーブルのスピンドル径が7.05〜7.15mmとなっています。
スピンドルが規格の最小、レコード穴径が規格の最大とすれば、隙間は直径で0.28mm、半径で0.14mm。
さらに、レコード中心穴と音溝との偏心は0.2mm以下となっているため、最悪の条件を想定すると、偏心はトータル0.34mmにも達します。
この状態では、ターンテーブルのワウフラッターが無視できる値でも、第1図に示すように、演奏時のワウフラッターは想像以上に大きく、内周に行くに従いさらに増大していきます。
仮に、ターンテーブル自体のワウフラッターが0.001%であっても、レコードの最内周では約0.015%Wrmsものワウフラッターが発生していることになります。
その結果、変調雑音が増加することに加え、トーンアームが左右に振られ左右チャンネル間の位相ずれが発生。
聴感的には、音像が動き回り、音色の濁りや音像が広がった感じを与えたりします。
Nakamichiは、この問題を解決するため、レコードをターンテーブルに乗せた状態で、音溝を基準にセンターを検出し、スピンドルを動かしてしまうという大胆な発想を行いました。
これが「アブソルートセンターサーチシステム」です。
マイクロコンピュータ技術と精巧なメカニズムの結合が生み出したこのシステムにより、レコード音溝の絶対中心(アブソルートセンター)が自動的に割り出されます。

アブソルートセンターサーチシステムの構造と動作

TX-1000のターンテーブルは、メインドライブモーターと一体になったメインプラッターの上に、センターサーチプラッターが乗った二重構造です。
メインプラッターには、センターサーチスピンドルの位置を調整するコントロール機構が組み込まれています。
これを説明したのが第2図です。
オペレーションスイッチをOnにすると、センタースピンドルはモータースピンドルと同心になるNominal Centerに固定されます。
これは一般のターンテーブルと同じ状態です。
次にレコードをセットし、ディスクサイズを選択。
そしてCenter Search指令を行うと、本体に収納されているセンサーアームハウジングが約50mm上昇します。
センサーアームがハウジングから出て、レコードの最終溝位置まで移動します。
この状態でハウジングがわずかに下降。
センサーアームのスタイラスが最終溝のトレースを開始します。
アームの水平方向の動きにより、赤外線LEDとフォトダイオードが偏心量を光学的に検出。
その検出はターンテーブルが一回転するごとに四回行われ偏心量はX軸、Y軸方向に分析され、それぞれのアドレスに対応したデータがA/D変換されて、その数値がセンターエラーとしてデジタル表示されます。
続いて、マイクロコンピュータが演算処理を行い、メインプラッターに組み込まれた二つのモーターに調整用コントロール信号を送ります。
モーターの動作により、偏心量に応じて、センターサーチプラッターが動き、レコード音溝のセンターをモータースピンドルと正確に一致させます。
以上の調整段階は、センターサーチLEDディスプレイにより表示され、調整が完了すると"Absolute Center"の表示が点灯します。
同時にセンサーアームはハウジングにリターンし、ハウジングは再び本体に収納されます。
この間約10秒。
レコード音溝のアブソルートセンターは、またたくまに割り出されます。
この「アブソルートセンターサーチシステム」により、回転軸に対するレコードの偏心は20ミクロン以内となり、総合特性としてのワウフラッターは著しく低減され、楽音の透明感、ステレオ定位、音場の広がりなどが大幅に向上します。
なお、偏心量が0.5mmを越えた場合はセンターサーチ不能となり、センターエラー表示が0.50mmで点滅。
センサーアームがハウジングに収納され、"Nominal Center"の状態に戻ります。

TX-1000_2


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