title

オーカセの部屋

最終更新日1998年9月13日

資料御提供はひばり様とけんぱん様です。

【概要】

 カセットテープ需要が最盛期だった80年代中期。
 1998年現在、カセットテープメーカーはTDK、SONY、maxell、AXIA(富士フィルム)、DENONくらいしか生き残っていないが、80年代半ばにはオーディオ専業メーカーも自社ブランドのテープを発売していた。
 ざっとあげてみてもAIWA、That's(太陽誘電)、magnax(コニカ)、Scotch、PIONEER、KENWOOD、YAMAHA、Aurex(東芝)、Lo-D(日立)、VICTOR、Technices(松下)、BASF、Nakamichiなどである。
 ここではその中でも珍品中の珍品、TEACの発売していた「オーカセ」を紹介しよう。

 とりあえず見てもらうのが早いだろう。

TEAC O-Casse

O-cas 1

O-cas 2

 カセットハーフからリール部分が取外せる代物だった。
 つまり、カセットハーフ部分だけ持っていれば、あとはリールテープだけを買い足せばいいのでコストを抑えることができるという代物だった。
 オープンリールデッキを長年扱ってきたTEACらしい、オープンテープの発想をカセットテープに活かした代物だった。


【テープ装填方法】

 テープの装着は見た目の想像通り、極めて面倒なものであった。
 オープンのような余裕のあるテープ経路を通すのではなく、写真のようなわずかな隙間を通さねばならないので装着には卓越した技術が必要である。

 また、取外すときも必ず外れるリール側にテープを巻き取っておかねばならなかった。
 カーステレオでの使用は当然のことながら厳禁で、カタログにも注意書きがあった。
 もちろんメリットもあった。
 テープとハーフとの摩擦面積が少ないので、ヘッドホンステレオなどのカセットプレーヤーのバッテリーが長持ちするということ。
 リールテープだけを持ち歩けばいいので、出かけるときに有利ということである。
 実際、TEACは十本(十巻か?)持ち運べる収納ケースや専用ラックなどをオプションで用意していた。

 テープそのものは「高性能maxellテープ使用」と唄っていた。
 価格から見てXL1/XL2あたりだったのだろうか?

tape

manual


【パッケージ】

package

 写真のカセットハーフ一式とテープ二本という組み合わせは後年に発売されたタイプである。
 初期のものはカセットハーフ一式とテープ五本の組み合わせであった。
 しかもテープのリール色はゴールド一色だった。
 後年、カラフルな色のリールテープも発売された。
 セットもののテープにもカラフルタイプが使われた。

 さて、商業的にはもちろん大失敗したこのオーカセ。
 カセットの便利さをわざわざ殺してしまったことが最大の原因だろう。
 聞いている途中ではテープ交換できない(必ず全部巻き戻さねばならない)ため、けっきょくリール一巻にハーフ一式を買い足すという人が多かった。
 そんなことをしていては、コストは普通のカセットテープの何倍にもなってしまうため、すぐに見切りをつける人がほとんどだった。

 TEACにとって運が悪かったのは、このころからカセットテープの実売価格が急速に下落して、採算が取れない市場になったことである。
 上記の通り、これだけの企業が参加していれば市場が飽和するのも当然のことである。
 オープンのようにリールが周る様は見た目が美しいので、リールタイプのカセットテープの方がたくさん売れてしまった。
 TEACもオーカセと同時に普通のカセットハーフ内に組み込んだリールタイプのカセットテープをラインナップに加えていた。
 こちらもテープそのものはmaxellテープ使用だったようで、メタルテープはけっこう音がよかった。
 ただ、リールとハーフの摩擦面積が多いので、走行音はかなり大きかった。

 ところで、オーカセの発売日と価格はずっと謎だったがけんぱん様の資料からどうやら1984年2月10日の発売のようである。


【新聞記事】

ティアック、カセットからリールをはずせるカセットテープ発売

 83年10月16日 日本経済新聞 朝刊

 ティアックはカセットハーフ(外枠)からリールテープを取り外すことができるカ セットテープ「オー・カセ」を発売。

 (注:テープそのものはマクセルテープ使用ということだった。)


けんぱん様御提供のオーカセ資料

deck

けんぱん様の御意見
なんと、かの超高級機、Z-7000に納まるオーカセです。
オーカセを使ったことのない私ですが、これは怖いと思います。
昔日の業務用機っぽい雰囲気に憧れたTEACファンは、Z-7000登場直前の時期のTEACデッキの安っぽいアイボリー色に悲しみに暮れる日々を送り、Z-6000/7000の登場で名門復活の希望の光が差したと思っていたはずです。
そのZ-7000からテープが出てこなくなったら、悲しみはカーステレオから取り出せなくなったLUXのテープやSUONOの比ではないでしょう。
「リールテープ下さい」で買えたって、きっと安くないと思うぞ。

O-case

飛び出す、世界初。
リールテープを交換するカセットテープ。
ニュー・オープン・カセット・テープ<オー・カセ>誕生。

カセットテープの本質を追求して生まれた<オー・カセ>
もっと手軽に、もっといい音が聴けるカセットテープ、<オー・カセ>は、このカセットテープの理想を目標に開発され、そして見事に夢を実現させました。
"リールテープを交換するカセットテープ"。
今までに無い全く新しい方式が、カセットテープに新しい時代を拓いたのです。
音質はオープンリールのサウンドを実現し、交換リールテープのコンパクトさ、手軽さはサウンドライフを無限に広げます。
ヘッドホンステレオから高級カセットデッキまで、音を愛する人のために生まれた新しいテープです。
カセットでオープンリールのサウンドを実現した<オー・カセ>
新登場の<オー・カセ>は、オープンリールやビデオカセットと同じようにリールメカニズムを採用しているため、テープエッジとカセットハーフとの間で回転摩擦がほとんど発生しません。
ですから、ワウフラッターが驚くほど向上し、磁気テープの寿命もぐっと延びました。
さらに、ヘッドホンステレオで使用するときにはメカニズムの負担が軽くなり、バッテリーの寿命にも有利です。
材質の面でも高精度な金属リール、リールホルダーを採用するなど、すみずみまで気を配って設計してある<オー・カセ>です。
サウンドライフを無限に広げていく<オー・カセ>
リールテープの体積は、従来のカセットテープに比べて1/7(プラケース比)、重量は約9gで約1/4(本体重量比)。
このコンパクトさなら、アウトドアでサウンドを楽しむときなど、楽々キャリング。
また、今までと同じスペースに数倍ものリールテープを収納できます。
郵便で送る場合もいたって経済的。
さらにテープ編集が楽しめる上に、6色あるノーマルテープはヘッドホンステレオとカラーコーディネイトやジャンル別、歌手別の色分け、整理ができるなど遊びかたも多彩。
まさに、サウンドライフを無限に広げていきます。
<オー・カセ>テープの特長
あくまでも「原音再生」を志向したオー・カセテープは、低音の分解能と高音の分離感に特に優れ、ロック、ジャズ、ポップスなどの立ち上がりの鋭いソースやハイクォリティなデジタルソースにもシャープな応答性を示す高性能テープを使用。
さらに、オー・カセ独自のローフリクションメカニズムとあいまって、優れたワウフラッター特性を獲得。
新次元のクォリティを確立しています。
●NORMALポジションテープ(120μsEQ)
立ち上がりの鋭いソースにも、スピード感あふれる音を再現する高性能maxell UD1テープを使用。
●HIGHポジションテープ(70μsEQ)
アウトドアでもSN比の良い音を求める人に。
ヘヴィな使用にも耐えるタフネスを発揮する高性能maxell XL2テープを使用。
●METALポジションテープ(70μsEQ)
デジタルオーディオディスク、ダイレクトカッティングの音楽ソースや生録の広ダイナミックレンジに対応する高性能maxell MXテープを使用。

片道25分、往復50分の録音が可能。

package

ニューオープン・カセット・テープ

NT-50
OC-5N セット価格\3,800(2月10日発売)
リールホルダーRH×1
リールテープNT-50(NORMAL C-50)×5

CT-50
OC-50C セット価格\4,550(2月10日発売)
リールホルダーRH×1
リールテープCT-50(HIGH C-50)×5

MT-50
OC-50M セット価格\5,300(2月10日発売)
リールホルダーRH×1
リールテープMT-50(METAL C-50)×5

別売テープ
case
ノーマルテープ NT-50 \500
ハイポジションテープ CT-50 \650
メタルテープ MT-50 \800

どんどん楽しくなる<オー・カセ>Goods。
●キャリングケース(近日発売) 交換リールテープの保管や持ち運びにとても便利な、マガジンタイプのキャリングケースです。
●編集キット(近日発売) 今までの、ただ録って、再生するだけの楽しみかたに編集作業の面白さをセットした編集キットです。

音楽をFull Openえ楽しむための6ヶ条。
Easy Carrior 小さな交換リールテープを持ち運ぶだけの<オー・カセ>なら、何本持ってもわずらわしさがありません。
Eccormical 「リールテープください」でカセットが買えてしまう。当然、カセットハーフ分ぐっと経済的です。
Big Stock 同じスペースで、今までの数倍以上のストックが可能。小さな<オー・カセ>が、Bigなライブラリーを生みます。
High Quality 摩擦抵抗を追放したハイプレシジョンメカ採用。ワウフラッター特性やスピード偏差、バッテリーの寿命などを、一段と改善しています。
Enjoy Edit <オー・カセ>は、オープンリールテープのカセットタイプ、プロ並のテープ編集が自由自在に楽しめます。
Fashionable 高性能でスポーティなリールがサウンドライフをダイナミックに演出。アウトドアでのリールチェンジはファッションそのもの。

manual 1

manual 2

●オートテープセレクターを装備したレコーダーでオーカセを使用する場合は、使用するリールテープに合わせてリールホルダーRH-1の背面の爪を折ってください。
manual 3

※<オー・カセ>は、カセットメカニズムの構造によっては、使用できない場合があります。特に、カーステレオでの使用は避けてください。

setting

前のページに戻る

誤記、新情報などありましたら Web Master まで

現在もご使用中の方、感想をお知らせください。