Video Digital Audioの部屋
最終更新日1998年4月29日
情報御協力は静岡県の高林様です。
参考資料・電波新聞社刊・新ビデオ技術ハンドブック
【概要】
家庭用ビデオの音声にもデジタルオーディオの音声が入りはじめている。
8ミリ方式はオプション規格で、DV方式は標準規格でデジタルオーディオが盛り込まれている。
それ以前のビデオ規格であるベータ方式やVHS方式にもむりやりデジタルオーディオを入れようとした流れがあった。
ベータ方式は業務用のデジタルベータカムで16bitデジタルオーディオ規格は盛り込まれたが、家庭用にはついに登場しなかった。
既に競争力を失っていたこともあり、今後も登場することはありえないだろう。
VHS方式にはオプション規格で16bitデジタルオーディオ規格が盛り込まれた。
それが後述の「DA規格」である。
登場時は華々しかったが、あっというまに消えた。
8ミリビデオ方式には最初からオプション規格でデジタル音声が盛り込まれている。
ただし、そのスペックは16bitの高音質タイプではなく、8bitなのでハイファイ音声と同レベルのスペックで納まっている。
スペックは物足りなかったが、ハイファイ音声とは違って独立したトラックに記録するのでアフターレコーディングが可能であった。
このため、アフレコ目的に8ミリビデオを選択するマニアも多かった。
8ミリビデオも1991年2月頃に16bitデジタルオーディオ規格がソニーなどの国内メーカー11社で決定している。
これはハイバンド仕様と組み合わせることを前提にしたオプション規格である。
テープを回転ヘッドドラムに巻きつける角度を従来の8bitに比べ大きく取ることで、テープ上の音声記録領域を拡大し、さらにハイバンド仕様の高密度記録などを利用することで達成している。
サンプリング周波数は48kHzと32kHz。
合意したのはアイワ、キャノン、富士写真フィルム、日立製作所、日立マクセル、コニカ、松下、三洋、ソニー、TDK、東芝の11社。
ただ、この発表のあと、試作品すら出てこなかった。
すでにDVビデオが発売されたので、8ミリビデオの16bitオーディオは完全にお蔵入りだろう。
8ミリPCM | 標準PCM仕様 | 16bit仕様 |
記録チャンネル数 | 2ch | 2ch |
サンプリング周波数(NTSC) | 31.5kHz | 48kHz/32kHz |
量子化bit数 | 8bit(10-8圧縮) | 16bitリニア |
マスタクロック周波数 | 11.58MHz | 16.6MHz |
変調方式 | バイフェーズ変調 | 8-10変調 |
記録bitレート | 5.79Mbps(368fH) | 8.3Mbps |
最短記録波長 | 0.66マイクロm | 0.49マイクロm |
誤り訂正方式 | クロスインターリーブ | 二重リード・ソロモン |
余談であるが、8ミリビデオ規格は世界の主要電気メーカーが規格参加しているが、実際に発売したのは数社だけである。
規格統一しても足並みが揃わない点ではDVD-RAMも同様である。
DV規格には最初から16bit-48kHzと12bit-32kHzの規格が盛り込まれている。
1997年10月1日に発売されたDVデッキ、ソニーDHR-1000は二つのモードを装備している。
12bitモードであればアフレコ可能となっているので、4ch記録されるようである。
S-VHSデジタルオーディオ規格
家庭用VTRとして世界的にスタンダードになったVHS規格にも16bitデジタルオーディオ規格が盛り込まれている。
1991年、オーディオ&ビジュアルという言葉が叫ばれる中、オーディオ面でのクォリティアップを目指してVHSのオプション規格としてデジタルオーディオが盛り込まれた。
スペック的にはDATと同じく2chで48kHz16bitリニア、4chで32kHz12bitノンリニアの高品質なものだった。
誤り訂正は二重リードソロモン、データレートは2.6Mbpsであった。
しかし3倍モードはもちろん、標準モード自己録再でもエラーが多くて再生できない場合が多く、バブル期後ということもあって第二世代機も発売されないまま消えた。
S-VHSテープにだけはデジタルオーディオ対応を唄ったマークが残っている。
【JAS journal 92年5月号の日本ビクターの山口氏の論評より抜粋】
- 高品位デジタルオーディオ搭載スーパーVHSビデオHR-Z1
- スーパーVHSのデジタルオーディオ規格に基づく「深層高周波バイアス記録方式」を採用。
2チャンネル48kHz16bitに加え、4チャンネル32kHz12bitも装備。
音声の記録能力の大幅な向上と高い再生信号が得られる新開発オーディオ専用センダストDAヘッドを搭載。
デジタル変換性能を飛躍的に向上させる8倍オーバーサンプリングDAコンバーターと1bit64倍オーバーサンプリングAAコンバーターを搭載。
- HR-Z1のデジタルオーディオ技術
- 1.深層高周波バイアス記録方式による高品位デジタル音声の記録再生
2.新開発オーディオ専用センダストDAヘッド
3.テープヘッド系を自動最適化するオートキャリブレーション機能
4.品位ある音のつなぎを実現するクロスフェード機能
5.8倍オーバーサンプリング18bitDA&1bit64倍AAコンバーター
カタログから抜粋
高品位のデジタルサウンドとS-VHSの高画質を両立。
さらに、新開発オート・キャリブレーション機能やワイドアスペクト対応など、21世紀を目前に、拡大するニューメディアにあますところなく対応。
ビクターHR-Z1。
AVの新しい環境を創造する、高品位のビデオデッキです。
HR-Z1 \300,000(税別)91年12月発売予定
S-VHSデジタルオーディオ技術の主な特長
1.映像と音声、それぞれの信号を記録する「二層記録方式」により、テープ深層部にステレオHi-Fi信号とデジタルオーディオ信号を多重記録する「深層バイアス記録方式」を新開発。
2.2ch48kHz16bitの高音質。さらに、4chモードによるマルチランゲージにも対応。
3.S-VHSカセット(ST-120)で、標準2時間、最長6時間(EPモード)のデジタルオーディオ連続記録・再生が可能。
4.映像・音声(ハイファイ/ノーマル)ともに、従来のS-VHSとの互換性を維持。
他に三菱がHV-V3000+CX-P3000というセパレートタイプのDA対応VHSビデオデッキを発売していた。
BSチューナ内蔵デジタルオーディオ対応スーパーVHSビデオ HV-V3000 \250,000
デジタルオーディオプロセッサー CX-P3000 \150,000
- 16bit S-VHS規格デジタルオーディオ方式
- 衛星放送のピュアなデジタル音声をそのままに記録・再生できる、S-VHS規格デジタルオーディオ方式を採用。
S-VHSの磨きのかかった鮮明な映像美を高品位なデジタルサウンドで存分に楽しめます。
- ビデオ本体とのセパレート化
- V3000とのセパレート化で、別々の電源回路を持つことにより相互干渉を防止し、デッキの駆動系・回転系から発生する振動の影響を排除できるなど高密度なデジタル音声の醍醐味を味わうための設計がなされています。
- 1bitA/Dコンバータ
- アナログ/デジタル変換に1bitデルタ/シグマ方式を採用し、ノイズに埋もれがちだった微妙な音声信号も美しく、そのまま高純度なデジタル信号に変換できます。
- 1bitマルチbit混合型D/Aコンバータ
- 上位10bitは抵抗ラダー型、下位8bitは1bitの混合型D/Aコンバータを採用。
S/Nがよく、ジッターに強いマルチbit型の長所とゼロクロス歪の無い1bit型の長所という両方のメリットを兼ね備えています。
- デジタルオーディオ・レックアジャスト機能
- 使用するテープのデジタルオーディオ信号のエラーレートを測定し、そのテープに最適な状態で記録できます。
【現存するビデオテープの例】
TDKのDA対応S-VHSテープ。
「DA」マークが光る。
ビクターのDA対応S-VHSテープ。
真っ黒で良く分からない。(^_^;)
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