vertical type record player
縦形レコードプレーヤーの部屋
最終更新日1999年5月23日
資料御提供は神奈川県の内田様です。
【概要】
最近、また注目を浴びているレコードプレーヤー。
LPレコードの直径は30cmもあるため、プレーヤーはどうしても横幅と奥行きを大量に必要とする。
しかも水平状態を保たねばならない。
部屋の狭い日本の住宅事情では、もっとも置き場所に困る厄介な家具の一つであった。
そこで登場したのが奥行きが少ない縦置きのプレーヤー。
確かに画期的ではあったが、レコードの取り扱いが難しく、カートリッジを変更しようとすると調整が大変。
まもなく発売されたコンパクトディスクプレーヤーの陰で、第二弾も出ないまま消えた。
この商品が画期的だった証拠として、新発売当時に集英社・少年ジャンプの「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で派出所備え付けのコンポ(中川の私物)として描かれている。
この模様は単行本で確認できる。
1982 COMPONENTS LINE-UP誌より
ダイヤトーン(三菱) LT−5V \69,800
ハウリングに強い縦形、原音の忠実再生に理想的なリニアトラッキング方式を採用した電子制御フルオートプレーヤー。
操作しやすいコントロールパネル部にオプチカル・ディスプレイ採用。
●ターンテーブル駆動部
・駆動方式/ダブルフライホイールベルトドライブ方式
・モーター/PLL-DCサーボモーター
・ターンテーブル/外径304mm、重量1.3kg、慣性質量300kgcmS2(単位の表現が難しい)のアルミ合金ダイカスト
・回転数/33と1/3、45(rpm)
・回転数切換/電子式(変則回転数レコードは手動切換)
・回転数微調整範囲/±3%
・SN比/76dB(DIN-B)
●トーンアーム部
・形式/全長223mm、有効長180mm、スタティックバランスユニバーサルストレートパイプ形
・トラッキングエラー角/±0.1度
・針圧調整/0-2.5g直読式(0.1gステップ)
・ヘッドシェル/ガラス繊維入特殊樹脂(6.2g)
・カートリッジ取付可能適正重量範囲/10-20g
●総合
・消費電力/14W
・外形寸法/406(W)×430(H)×200(D)mm
・重量/11.5kg
ダイヤトーン(三菱) ミニコンポ X−10 \114,800
電子制御フルオート・縦形リニア・トラッキングプレーヤーを採用。
場所を取らずにレコード、テープ、FM-AMと手軽に楽しめます。
マイクミキシングも可能。
※高級タイプのX−11(\119,800)もあった。
シャープ VZ−V3 \150,000
マイコン演奏の両面演奏縦形リニアトラッキング方式プレーヤー搭載。
レコード操作をカセット並みの手軽さにした、ニューオーディオシステム。
デッキ部はドルビーNR装備のソフトタッチPADメカ。
出力32W+32W。
※この両面演奏は表面と裏面と2本のアームを持ち、カートリッジも2個使用という強引なもの。その後、ラジカセタイプも発売された。
筆者所有のレーザーディスクソフト「ULTRAVOX」の「THE COLLECTION」中Chapter10 DANCING WITH TEARS IN MY EYES中に一瞬だけ出てくる。
- 【オーナーの御意見】 資料御提供は高野裕様です(99/4/27受信メールより)
- 私はシャープのVZ−Z3を使用しております、が最近壊れてしまいました。
実は7年前、神戸三宮の元町高架下の古道具屋で中古品として入手したものです。
私事で恐縮ですが、当時脱サラしたての私は、「昔とれなかった杵柄」をとるため、捜して入手しました。
本当は、ラジカセ型のものが欲しかったのですが・・・
当時10万円台のモデルとはいえ、現在のミニコンポと比べてS/Nがどうのこうのというのもなんか・・・、といった程度の音質です。
残念ながら、標準のスピーカーは入手出来なかったのですが、当時のデッキ・プレイヤー・チューナー一体型のステレオセットと大体同じようなものです。
デッキ部の下に開閉パネルがあり、高音・低音のとてもとてもプアなツマミがついています。
またマイク入力用のこれまたプアなスプリングリバーブの調整ツマミもついております。
シャープらしいですね。
2年前、突然プレーヤーが動かなくなりました。
電気に詳しい友人に修理をお願いしたところ、「ゴムベルトが朽ちてボロボロのかすになって、筐体の底に落ちていた。本当に最近まで動いていたの?」と訊かれる始末。
修理して貰ったら今度は、例のプアな高音・低音ツマミが弱って、左、右と順番に音が出なくなっていってしまいました。
いまはそのままです。
経年変化や劣化を考えれば、それでも最近の製品よりは長生きですね。
このように書いていると、まったくダメな製品のように思えますが、そんなことはありません。
特記すべきは、「連続再生機能」です。
それも、片面・両面で可能なのです。
レコードプレーヤーで、この機能を持っているものは、素人ではありますが、ほかに知りません。
A面用とB面用のレコード針が本体と蓋の両方に付いているので、出来るハナレワザです。
シャープらしいですね。
いまでこそ、CDの連続再生は当たり前ですが、LPのかけっぱなしは、当時かなりお洒落だったのではないでしょうか。
これは使っていて始めてわかるタイプの満足感です。
良い音だけを求めてオーディオマニアになるのもいいのですが、生活の一部として音楽をかけていたい、というのも素敵な音楽とのつきあい方だと思います。
トマトだってクラシックを聴かせるとよく育つそうだし、工場ではBGMで作業能率がアップするそうですしね。
カセットテープにダビングして連続再生すれば同じではないか、と思う方もいるでしょうが、ちがうのです。
うまくA・B面の時間が合ったとしても、レコードが回るあの感じ、きっとDATに録音して鳴らしても伝わらないと思います。
B級ぽい意見で格好悪いですが、でも、「やさしい」のです。
余談ですが、極論、レコードにふれるということは、エジソンに逢う、ということでしょうね。
主観めいた意見に偏ってすみません。
データとして資料価値のない文章になってしまいました。
でも知ってほしいのです。
現在の観点で当時作られた製品が20年の時を越えて、なにを語っているのかを。
(達郎マニアなもので!)
また、家電の修理に来てくれたシャープの方が、「新入社員のとき年末セールで、店頭で寺尾あきらをVZ−Z3でかけていた」と語ってくれました。
嬉しいじゃないですか。
私はこれを入手後東京でひとり暮らしを始めたのですが、そのとき荒井由美の「ひこうき雲」を連続再生していました。
数年前ですが、なつかしいです。
また最近はローラ・ニーロのレコードをずーっと連続再生しておりました!
CDでいいじゃない?もちろんCDは良いです、
でもローラの声が時間と空間を「デジタル変換されずに」こえて、ビニール盤が連続再生ですよ!!
エジソン偉い!
なんてぜいたく。
ばかばかしいですよね、でも楽しくて幸せな気分になれます。
シャープは素敵なものを残してくれたと思っています。
もう二度と、生産されることはないでしょう。
修理しなきゃいかんですね。
また、ラジカセタイプも入手したいです。
レコード盤のEJECTは大迫力ですよ!
これだけでもばかばかしくて、楽しいのです。
- 仕様 【資料御提供は東京都世田谷区の中村様です】
-
<総合>
定格電力 AC100V 50/60Hz
消費電力 66W
寸法(本体) (幅)597mm(奥行)182mm(高さ)378mm
重量(本体)14.6kg
<アンプ部>
回路方式 ±電源採用OCLパワーアンプ
定格出力 32W+32W(EIAJ8Ω 5%歪)
全高調波歪率 0.1%(8Ω、27W出力時)
周波数特性 25Hz-30kHz±3dB(補助入力)
コントロール 低音:±9dB(100Hz)
高音:±9dB(10kHz)
<チューナー部>
回路方式 スーパーヘテロダイン方式FM/AMチューナー
PLLステレオ復調回路、FMミューティング回路内蔵
受信周波数 FM:76-90MHz
AM:530-1,605kHz
中間周波数 FM:10.7MHz
AM:455kHz
実用感度 FM:2.0μV(IHF)(11.2dBf(新IHF))
AM:300μV(バーアンテナ使用)
セパレーション FM:36dB(1kHzFMステレオ)
S/N FM:70dB(モノラル1kHz)
<カセットデッキ部>
トラック方式 4トラック2チャンネルステレオ方式
録音方式 交流バイアス式(85kHz)
消去方式 交流消去式(85kHz)
ヘッド 録音再生ヘッド1、消去ヘッド1
モーター 電子制御式DCモーター
テープ速度 4.8cm/sec
早送り時間 100秒(C-60テープ)
巻戻し時間 100秒(C-60テープ)
ワウフラッター 0.065%(WRMS、JIS)
周波数特性 ノーマルテープ:30-14,000Hz
クロームテープ:30-15,000Hz
メタルテープ :30-16,000Hz
S/N ドルビーNRオフ:52dB
ドルビーNRオン:62dB
(メタルテープ、5kHz以上にて)
<プレーヤー部>
型式 マイコン制御、リニヤートラッキング式フルオート
モーター FG付DCモーター(ターンテーブル駆動用)1
DCモーター(トーンアーム駆動用)1
駆動方式 ベルトドライブ方式
回転数 33 1/3、45r.p.m
回転ムラ 0.06%(WRMS)
S/N 66dB(DIN-B)
トーンアーム ダイナミックバランス
カートリッジ VM型
周波数特性:20-20,000Hz
出力電圧:2.8mV(1kHz、50mm/sec)
交換針:STY-121
付属機構 自動扉開閉、オートリードイン、オートリターン、
自動レコードサイズ検出、自動速度切換、両面演奏、くり返し演奏
<スピーカー部>
キャビネット形式 バスレフ型2ウェイスピーカーシステム
スピーカー 16cmフリーエッジウーファー
5cmトゥイーター
再生帯域 60-20,000Hz
クロスオーバー周波数 2,500Hz
(ウーファーの高域カット60dB/oct)
(トゥイーターの低域カット60dB/oct)
最大許容入力 50W(MPO)
インピーダンス 8Ω
音圧レベル 91dB/Wm
内容積 10リットル
寸法 (幅)220mm(奥行)220mm(高さ)378mm
重量 4.5kg×1
縦形というわけではないが、縦に置いても斜めにしても使えるという画期的なプレーヤーとしてテクニクスのSL−10もご紹介。
テクニクス(松下) SL−10 \100,000
LPレコードジャケットサイズで世界最小のクォーツDDプレーヤーシステム。
ダイナミックバランス型リニアトラッキングトーンアームを採用。
ピュアボロンパイプカンチレバー採用の高性能MCカートリッジ310MCを標準装備。
●ターンテーブル駆動部
・駆動方式/ダイレクトドライブ方式
・駆動モーター/ブラシレスDCモーター
・制御方式/クォーツフェイズロックドコントロール
・ターンテーブル/アルミダイカスト製直径30cm
・回転数/33と1/3、45(rpm)
・回転ムラ/0.012%W.R.M.S.
・SN比/78dB(IEC98A weited)
●トーンアーム部
・形式/ダイナミックバランス型、リニアトラッキングトーンアーム、ジンバルサスペンション方式
●カートリッジ部
・形式/コアレスツインリングコイル方式、MC型カートリッジ
・自重/6g
・交換カートリッジ/EPS-310MC(標準価格18,000円)
●MCプリ・プリアンプ部
・SN比(IHF-A)/70dB
・周波数特性/20Hz-20kHz±0.5dB
・定格出力/2.5mV
・歪率/0.02%(定格出力時)
●総合
・電源/AC100V50/60Hz、DC12V
・消費電力/16W
・外形寸法/315(W)×88(H)×315(D)mm
・重量/6.5kg
このLPジャケットサイズプレーヤーは結構売れた。
調子に乗って、テクニクスもラインナップを拡充した。
他メーカーも次々とT4P規格と呼ばれる簡単に交換できるカートリッジ規格のものを発売した。
しかし、まもなく訪れたコンパクトディスクに駆逐された。
このSL-10は筆者も銘機だと感じている。
中古品があれば今でも購入したいと思っているくらいである。
SL-10はテクニクス自身もずいぶん熱い思いが入っているようで、テクニクスにとっては栄光の「10番」を名乗っている。
この10番という番号はテクニクスが世界に先駆けて開発したダイレクトドライブ方式のターンテーブルの型番がSP-10だったのである。
なお、同社のCDプレーヤー1号機の型名も期待を込めて「SL-P10」となっていた。
【ソニーのユニークなプレーヤーたち】
ついでにソニーの妙なレコードプレーヤーを紹介しましょう。
1984年2月ソニー商品のしおり46より
写真左がフラミンゴPS-F5 \29,800。
垂直、水平、壁掛けOK。
自由に聴ける4電源方式。
ヘッドホンで、ラジカセで、気軽にレコード演奏が楽しめる。
小型・軽量D.D.プレーヤー<フラミンゴ>
●縦型、横型、壁掛けもできる、置き方自由、持ち歩き自由の小型ポータブル設計。
聴く場所を選ばない4電源方式。
●フロントローディング、オートリードイン/リターン採用のシンプル操作。
ドーナツ盤アダプター自動装着機構採用。
●理想のトレーシングを追求したリニアトラッキングトーンアーム、BSLモーターによるD.D.方式。
●ヘッドホン(×2)で手軽に楽しめ、ラジオカセットなど、他のステレオ機器との接続も可能。
●ワウ・フラッター0.06%wrms(回転系)
さらにFMトランスミッター装備のPS-F9 \39,800もあった。
似たような形にオーディオテクニカの「サウンドバーガー」という商品もあった。
こちらは立てたままの演奏はできなかった。
写真中央はヘリプレーヤーPS-Q7 \35,000
LPジャケットのおよそ2/3サイズ。
FMステレオトランスミッター内蔵、ヘッドホンジャック付き。
<ヘリコンポ>とコンビを組むフルオートプレーヤー。
●通常のPHONOレベル出力のほか、ヘッドホンレベルの出力も装備。
お手持ちのヘッドホン(ステレオミニプラグ)を接続するだけで手軽にレコード演奏が楽しめる。
ボリュームコントロール付き。
●FMステレオトランスミッター内蔵。
FM受信機があれば離れたところでレコード演奏が楽しめる。
●ボタンひとつで演奏が始まるオートスタート、演奏が終わるとアームが戻るオートリターンなどを備えたフルオート機構。
●リニアBSLモーターによるダイレクトドライブ
●マグネディスク速度検出によるサーボ系
●トーンアーム一体MM型カートリッジ
写真右はヘリプレーヤーPS-Q9 \36,000
レコードの音を飛ばせるトランスミッター内蔵。
FH-9と組み合わせてシンクロプレイも楽しめる、フルオートコンパクトプレーヤー。
特徴は前のPS-Q7とほとんど同じ。
ヘリコンポと組み合わせるとこんな形になる。
レコードははみ出したまま演奏するものであった。
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