テクニクスのプレーヤーの部屋

最終更新日2001年07月10日

【概要】

テクニクスといえばダイレクトドライブプレーヤーがあまりにも有名。
だが、私個人としてはジャケットサイズプレーヤーの方がイメージに残っている。
ここではリニアトラッキングアーム搭載モデルをご紹介しましょう。


資料提供はQUAD66様です。

SL-10 高性能・シンプル操作を実現。ジャケットサイズプレーヤーの原器。
Technices SL-10 \100,000(83/01)

クオーツD.D.フルオートマチックプレーヤーシステム。
MC形カートリッジ付き。
●電子制御フルオートにより、わずか4つのボタンですべての操作が行えます。
●上部キャビネットに、リニアトラッキングトーンアームを搭載。歪の発生の原因となるトラッキングエラー角は±0.1度以内、インサイドフォースもほぼ0という、極めて精度の高いアーム走行を実現しました。
●リニアトラッキングトーンアームには、ダイナミックバランス方式を採用、厳密な水平調整は不要とし、設置角度に関係無く、常に安定したレコード演奏が可能。
●プラグインコネクタ方式の高性能MCカートリッジ310MCを標準装備。ピュアボロンパイプカンチレバー、コアレスツインリング構造などの採用により、極めて高帯域かつ平坦な周波数特性を実現。
●モータのロータをターンテーブルと一体化した独自の一体構造D.D.を採用。全周検出F.G.と高度な電子回路技術によりワウ・フラッタ0.025%、SN比78dBという極めて精度の高い回転性能を実現。
●キャビネットは、精密アルミダイカストを上部・下部の2層に配したコンパクトな設計です。外部振動を受けにくく、ターンテーブル裏面のデッドニングと共に、ハウリングに強い構造です。
●低雑音設計の高性能MCプリ・プリアンプを内蔵。SN比70dB、20Hz〜20kHz±0.5dBの平坦な周波数特性を実現。後部スイッチの切換で、プラグインコネクタのMM形カートリッジも使用可能です。


【資料ご提供はけんぱん様です】

SL-5350

【けんぱん様のご意見】

松下お得意のオートチェンジャー・プレーヤ。
1978年に登場したクォーツD.D.プレーヤ(←死語)SL-5000シリーズの中で最も高価な機種でした。
その動作を、実は全く見たことがありませんので、以下は、かなり想像が混じっていることをお許し下さい。
基本は、フルオート式のプレーヤですが、一見して長いスピンドルが特徴です。
ここに5枚のレコードをセットすると、演奏が終わったレコードの上に、次のレコードが下りてきて演奏が再開され、最大6枚の連続演奏が可能になります。
しかし、5枚重ねのLPレコードが回転する下でアームが移動し、演奏が行われるわけですから、あまり高価なカートリッジを使う気にはならなかったでしょうね。
アームの水平調整も辛いはずですから、当然、ひたすら音質を追求するマニアが食指を動かすには至りませんでした。
また、EPレコード用に幅広のスピンドルも付属していましたが、EPとLPの混在は不可能。
レコードの表裏面連続で演奏するには、同じレコードを2枚用意する必要もありましたから、CD時代の今では考えられないほど不便でした。
だいいち、レコードを交換させる機構の信頼性や耐久性を考えれば、いかに定評があった当時の松下製品であろうと、完動状態のまま、21世紀までストックすることは難しそうです。
他社では見られなかったこの方式のオートチェンジャー機は、しかし、記憶する限り、D.D.開発以降、このSL-5350で4代目か5代目(クォーツ制御付きでは世界初)。
先代の廉価機SL-3350ともしばらく併売されていましたし、SL-5000シリーズがSL-Qシリーズにモデルチェンジされても販売が継続されたぐらいですから、そこそこ需要はあったのでしょう。
さらに、確かではありませんが、後継のオートチェンジャー機もあったと記憶します。
スピンドル上方でレコードを回すとターンテーブルのゴギングが心配ですが、その点、専売のモータ一体型ターンテーブルは有利でしたでしょうし、だからこそ、松下しか製品化できなかったのかもしれません。
音質至上マニア垂涎の超高級マニュアル機の開発に腐心する一方で、翌年のSL-10に代表されるレコードに親しみやすい機種の開発にも力を注ぎ込んだ王者Technicsらしい製品だったと言えるでしょう。
【仕様】
クォーツフェイズロックドコントロールD.D.オートチェンジャーSL-5350 \59,800(カートリッジ270C2付)
●ターンテーブル:30.4cm
●回転数微調範囲:±6%
●起動トルク:1.0kg・cm
●起動特性:0.7秒(33r.p.m.)
●ワウ・フラッタ:0.025%WRMS
●SN比:78dB(IEC98A)
●適用カートリッジ重量:(3)〜9.5g
●外寸/重量:430×180×375/7.3kg

SL-FM1

【けんぱん様のご意見】

このカタログにはありませんが、愛称は「リクエスト」。
イコライザ・アンプと、FM送信機を備えており、「リクエスト」とラジオさえあれば、ケーブルを接続しなくてもレコードが聴ける、というものでした。
当時、一般的な家庭のオーディオと言えば、大型のシステムコンポが最盛期を迎えていた一方、大型ステレオラジカセの流行に見られるように、一家に1台の状態から一人1台へのパーソナル化が進んでいました。
CDの登場前ですから、若年層を中心に普及したラジカセ型オーディオの主音源はラジオとカセットテープ。
レコードを聴きたくても、イコライザを内蔵したプレーヤは殆ど無く、イコライザ内蔵の大型ラジカセに買い換えるのもどうか、という状況に「リクエスト」は応えた格好となり、そこそこのヒット商品だったと思います。
まあ、廉価だったので、雑誌の「売れ筋コンポBEST 5」等に登場することはありませんでしたが。
廉価ではあってもTechnicsブランドを名乗り、トーンアームやターンテーブルなどは雰囲気十分のスタイル。
付属のカートリッジも同ブランド標準の270Cでした(ただし丸針)が、駆動方式はD.D.ではなく、FGサーボモータによるベルトドライブ。
ボディもシェルも樹脂製で、シェルの交換は不可能でした。
それでもLINE OUTの装備により、送受信に伴う音質劣化は回避可能でしたから、ラジオでは得られないレコードの魅力を発揮できた、とも言えます。
これと組み合わせる大型シスコンも企画され(Technics「リクエストGM」)、CMには金八先生時代の武田鉄也が起用されました。
電池駆動により、完全にケーブル無しで利用できたので、コンポ本体とは別に、手元で操作するためのプレーヤ専用キャスター・ラックまで商品化されていました。
この製品、かつて私の友人が所有しており、既にupしていただいておりますビクターのバイノーラル・ラジカセ828と組み合わせて使われておりました。
ところが、そいつは所謂「音が出ればいい」という考えの人間だったのでしょう。
彼の所有機は、もともとペラペラのターンテーブル・シートが裏返しに敷かれておりましたし、演奏となればトーンアームの中ほどをグイと持ち上げてレコードの溝に降ろすか落とすかという、某評論家もさぞや仰天の大胆な使いこなし。
以後、私は彼にレコードを貸すのをやめました。
当時中学生の私には、レコード1枚すら高価な買い物でしたから。


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