特別企画・DATの部屋
最終更新日2002年03月16日
【概要】
DATは1998年くらいまではソニーとパイオニアが元気に売っていた。
しかし、21世紀を迎えた今、民生用製品はほぼ消えてしまった。
今回もHi-Fiビデオ同様、手元にたくさん資料があるのでちょっと取り上げてみます。
またまた単なるカタログ集になってしまいました。(^_^;)
あまりの高性能なゆえに発売当初はCDからのデジタルコピーができないようになっていたDAT。
ただし、再生専用の44.1kHz/16bitSPモードと44.1kHz/16bitワイドトラックモードはどの機種も標準装備している。
しかしワイドトラックモードのテープって一般市場には出回っていないようだが、そんな無駄な再生モードをどうして今もつけているのだろうか。
その後、SCMSなる卑怯な方法によりCDからのデジタルコピーが1世代だけできるようになった。
しかしおかげでそれまで無制限だったデジタルダビングが不可能になってしまった。
個人録音したソースもSCMSによる制限ができてしまってたいへん不便になってしまっている。
中途半端な性格のおかげで、一般には浸透していない。
性能的には現在のデジタルオーディオ機器の中では最高の性能を示している。
プロ用では愛用されているので、このフォーマット自身が消える可能性は薄いが、民生用の市場からは徐々に消えていきそうだ。
私もソニーDTC-77ESを使用しているが、この音には大満足している。
使ってみるとこれほどすばらしい機器はないと思っている。
でもやっぱりMDの手軽さにはかなわないけどね。
スペック | DCC | MD | DAT | CD |
標本化周波数 | 48kHz/44.1kHz/32kHz | 44.1kHz | 48kHz/44.1kHz/32kHz | 44.1kHz |
量子化ビット数 | 4bit(PASC圧縮) | 4bit(ATRAC圧縮) | 16bit直線/12bit非直線 | 16bit直線 |
チャンネル数 | 2ch | 2ch | 2ch/4ch | 2ch |
周波数特性 | 5Hz-22kHz(48kHz)/5Hz-20kHz(44.1kHz)/5Hz-14.5kHz(32kHz) | 5Hz-20kHz | 5Hz-22kHz(48kHz)/5Hz-20kHz(44.1kHz)/5Hz-14.5kHz(32kHz) | 5Hz-20kHz |
ダイナミックレンジ | 105dB | 105dB | 96dB | 96dB |
記録時間 | 120分 | 74分 | 120/240分 | 74分 |
エラー訂正方式 | 二重リードソロモン符号 | CIRC | 二重リードソロモン符号 | CIRC |
変調方式 | ETM(8-10変調) | EFM(8-14変調) | ETM(8-10変調) | EFM(8-14変調) |
DATに採用された各種モードの主要規格
項目 | 記録・再生モード | 再生専用モード |
標準 | option1 | option2 | option3 | normal track | wide track |
ch | 2 | 4 | 2 |
標本化周波数(kHz) | 48 | 32 | 44.1 |
量子化bit | 16(リニア) | 12(ノンリニア) | 16(リニア) |
線記録密度(Kbpi) | 61.0 | 61.0 | 61.1 |
面記録密度(Mbpii) | 114 | 114 | 76 |
伝送レート(Mbps) | 2.46 | 1.23 | 2.46 | 2.46 |
サブコード容量(kbps) | 273.1 | 136.5 | 273.1 | 273.1 |
変調方式 | 8-10 変調方式 |
訂正方式 | 二重化リード・ソロモン・コード |
トラッキング方式 | エリア分割ATF |
カセットサイズ(mm) | 73×54×10.5 |
記録時間(min) | 120 | 240 | 120 | 120 | 80 |
テープ幅(mm) | 3.81 |
テープ種類 | メタル・パウダー | 酸化物テープ |
テープ厚(μm) | 13±1 |
テープ速度(mm/s) | 8.15 | 4.075 | 8.15 | 12.225 |
トラックピッチ(μm) | 13.591 | 20.41 |
トラック角度 | 6度22分59.5秒 | 6度23分29.4秒 |
標準ドラム仕様 | φ30 90度ラップ |
ドラム回転数(r.p.m.) | 2000 | 1000 | 2000 |
相対速度(m/s) | 3.133 | 1.567 | 3.133 | 3.129 |
ヘッドアジマス角 | ±20度 |
備考 | 装備 | 必須 | オプション | 必須 |
例 | 標準記録モード | PCM放送録音用 | 長時間記録用半速 | 4ch用 | ミュージックテープ専用・記録不可 | ミュージックテープ専用・コンタクトプリントに適している |
【各社の1号機】
カッコ内は手持ちのカタログの日付です。
ビクターの1号機。
XD-Z1100 \198,000(87/5)
1号機から長時間記録モードを装備していた唯一の機種。
しかし32kHz16bit記録モードは持っていない。
録音モードは48kHz/16bitSPおよび32kHz/12bitLPの2モード。
テープ挿入口に独自の「ガル・ウィングドア」を採用していた。
カタログコピーは「”汚れを知らない音”のために、ビクターDATデッキは高精度を捧げます。」
ビクターは初期にはDATにもっとも熱心なメーカーの一つだったが、いつしかそっぽを向いてしまった。
DATの他にDCCも手がけていたが、すっかり忘れて今では「MDこそビクター」とか平気で宣伝している。
シャープの1号機。
RX-X100 \199,000 RX-X5(写真) \195,000(87/7)
シャープは最初からフルコンポサイズとミニコンポサイズの2機種を発表していた。
標準スピードモード専用デッキ。
長時間モード未対応。
48kHz/16bitSP録再のみであった。
LSI、メカニズムは独自開発だったそうだ。
カタログコピーは「独自のデジタルテクノロジーがひらく、テープオーディオの新次元。いま、技術の夢が実現。」と、かなり期待されていたことがわかる。
付属のリモコンが電卓が得意分野だったシャープらしく、太陽電池使用で交換不要タイプ。
オーレックス(東芝)の1号機。
XC-1000DT \198,000(87/12)
ビクターXD-Z1100のOEM。
この時にはミニコンポサイズのXC-V94DT(\185,000)も登場、カタログでは「21世紀を拓く音、DATはオーレックス」と書いてあり、DATにやる気を出す姿勢を見せていたが、結局自社製品は出さなかった。
すでにオーレックスブランドが崩壊しかけていたときだけに、オーディオ開発部隊が解散されたのだろう。(想像)
世界で最初にDATを発売したのはアイワだった。
写真はそのアイワのEXCELIAブランドのDAT。
XD-001 \188,000(87/3)
EXCELIAという新ブランド名を採用していた。
アイワの最高級コンポーネントだけに与えられるブランドだそうです。
標準スピードモード専用。
32kHz/16bitの記録もできたようだ。
ソニーの1号機。
DTC-1000ES \200,000(88/2)
48kHz録再44.1kHz再生専用32kHzはDIGITAL INのみ録音可能(再生は可)。
標準スピードのみ。
発売から十年が経過した現在ではDATを一般民生用に売っているのはソニーだけである。
ちょっと前までDATに力を入れていたパイオニアの1号機。
D-1000 \250,000(87/5)
カタログには見開きの巨大な写真しかないので、表紙の写真しか取り込めない。
EXシリーズというのも今では同社のラインナップから外れている。
この機種は貴重なEXシリーズと銘打っていた。
48kHz録再44.1/32kHz再生専用であった。
カタログには基盤写真があるが、やたらと線が飛び交っていて、試作品のようなイメージしか受けない。
無性に懐かしい響きがするALPINE/LUXMANのDAT。
KD-117 \230,000(87/6)
これもカタログ写真が巨大すぎて半分しか取り込めなかった。
48kHz録再44.1kHz再生専用32kHzデジタル録音対応という基本的なもの。
スピードは標準スピードしか対応していなかったようだ。
アナログ入力が2系統用意されているのは親切。
オンキョーの1号機。
DT-2001 \250,000(87/6)
カタログによると世界初の光伝送DATだそうである。
これは内部の信号伝送方式を光伝送にしたものであり、同社CDプレーヤーで使われていた手法であった。
48kHz録再44.1kHz再生専用の2モードしか対応していなかった。
パナソニック(松下)のSCMS対応DAT。
本当はテクニクス製の1号機を紹介したいのだが、資料が無い。(^_^;)
SV-DA10 \107,000(91/12)
さっぱり普及が進まないDATの起死回生の一発、SCMSを装備したデッキ。
これで1世代だけのCDからのコピーができるようになったのだが、マイクを使って自主録音する際は不便になってしまった。
デンオンのSCMS対応DAT。
DTR-2000G \128,000(90/10)
リアル20ビットスーパーリニアコンバーター搭載。
【各社のポータブルDAT】
いまやポータブルDATはソニー以外にはラインナップされていませんが、昔は各社から発売されていた。
ソニーの輝くDAT Walkman一号機。
TCD-D3 \98,000(92/3)
重さ420gの小型軽量ボディ。
充電式バッテリーパック付属。
1時間の充電で約2時間の使用が可能。
ビクターのポータブル機。
XD-P1 \135,000(91/12)
SCMS対応のポータブルタイプだが、巨大だ。
合体マシンのように、いろいろと本体に直付できるオプションが多かった。
デジタルマイクMU-Z1(\40,000)、長時間充電池など。
Lo−Dのポータブル。
DAT-88 \110,000(90/7)
これも巨大だ。
電池寿命が2時間きっかりしかなかった。
別売のオプションキットDAT-KIT88(\30,000)があったが、この値段は暴利だ。
内容はキャリングケースと充電池パックと充電アダプターである。
本体ともども、この値段では逆立ちしても売れないと思う。
デンオンのポータブル。
DTR-80P \89,800(91/10)
コンパクトながらもLPモードもついた充実の1台。
44.1kHzアナログ録音も可能だった。
アルカリ乾電池対応で、4時間の連続再生ができた。
ケンウッドもこんなのを発売していた。
DX-7 \77,000(90/12)
SCMS搭載。
ガム型充電池を5個も使う専用アウトドアキットもあった。
シャープのOEMだと思われる。
現在もポータブルMDでのシャープとのOEM関係が続いている。
シャープ RX-P1 \77,000(90/11)
デジタルオーディオに意欲を見せるシャープ。
この会社はやっぱり目の付け所がシャープだね。
直径20mm小型ドラム採用の小型メカニズムや薄型4層基盤の高密度両面実相技術など、シャープ独自の高精度・小型化技術をふんだんに投入。
91.0×34.9×121.5mmの外形寸法を実現。
多機能ワイヤードリモコン、液晶ディスプレイを装備。
DENON DTR-100P \99,000(90/10)
資料御提供は愛知県在住の宮下様です。
SCMS搭載でDATに意欲を見せていたデンオンの製品。
B5ブックサイズで持ち運びに便利。
Technices SV-MD1 \300,000(1987/12)
【資料ご提供はQuad66様です】
ポータブルDATにプロ機のクォリティをふんだんにとりこんだテクニクスの意欲作。
業務用途にも展開されたと思う。
各社のテープ
資料御提供はQuad66様です。
Technicesテープです。
資料御提供は愛知県の宮下様です。
デンオンの二代目DATテープ。
独特のデザインがなかなかよい。
資料御提供は愛知県の宮下様です。
ツシマヤマネコ並みの天然記念物的品物、A&DブランドのDATテープ。
はたして本当に市場に出回ったのだろうか?
お持ちの方はぜひご感想をお聞かせください。
TDKの初代テープ。
カタログコピーは以下の通り。
純粋音。デジタルtoデジタルに強い。
静寂は限りなく深く。
ほとばしる音のエネルギーはあくまで強烈に。
これがCD以上のクォリティで、プロ並のすごい音が簡単に得られるDATです。
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