変わったデジタルテープレコーダ
最終更新日8月15日
【情報御提供は及川様です。】
デジタルテープレコーダ
参考文献・最新技術まで〜 著 土井利忠/伊賀章
コンパクト・カセットを用いたディジタル・テープレコーダ
ディジタルテープレコーダーのすべてがオープンリール方式のため、業務用ということになり単なる録音/再生でなく編集性が問題でした。
家庭用の固定ヘッド式デジタルテープレコーダーも試作されましたが カセット全盛の時代にたとえデジタルといえオープンリール方式のテープレコーダーが商品性のないのは誰の目からも明らかでしょう。
そこで、各企業はコンパクトカセットを用いた固定ヘッド方式のデジタルデッキの開発にしのぎを削りました。
奇しくも1981年のオーディオフェアーの直前には5社の試作器が出そろいました。
コンパクトカセットテープの本来の規格はテープ幅3.81mm (3/20インチ) テープ速度4.75cm/sです。
テープ幅は各社とも規格どおりですが、(従ってカセットは共通に使用可)テープ速度に関してはソニーのみが規格通りで、他社は7cm/sあるいは9.5cm/sと速めています。
技術的な最大の差異は薄膜ヘッドを用いるか通常のバルクヘッドを用いるかにあります。
薄膜ヘッドを用いたものはトラック数を多く稼ぐことができるためトラック方向の密度を稼いでます。
ソニーの試作機が4.75cm/sという低速で実現できたのも、ひとつには3.81mm幅のテープに38ものトラックを詰め込んだためです。
また、記録密度に余裕があるため量子化を16ビット直線としています。
これに対しバルクヘッドを用いたものはいきおい線記録密度を稼ぐ必要があり短波長記録の方向へ開発を進めています。
そのためメタルテープとセンダストヘッドの組み合わせが2社で用いられています。
特に三洋がMFMを用いて74.6kbpiという値を達成していますが、記録波長に換算すると0.681μmとなり超高密度と言えます。
メーカー | | SONY
| SHARP | 三洋 | PIONEER
| JVC | |
使用ヘッド |
| 薄膜 | 薄膜
| バルク | バルク
| バルク |
|
データトラック
| | 36
| 16 | 10
| 8
| 9
| |
コントロール
| | 2
| 2 | −
| −
| 1
| |
トラックピッチ
| | 95μm
| 200μm | 300μm
| 476μm | 212μm
| |
トラック幅(録)
| | 75
| 120 | 180
| (不明) | (不明)
| |
トラック幅(再)
| | 50
| 100 | 180
| (不明) | (不明)
| |
トラック密度 | (TPI)
| 267 | 127
| 85
| 54
| 60×2
| |
線密度
| (BPI) | 36.1k
| 36k | 74.6k
| 50k | 46.3k
| |
面密度
| (bpi2)
| 9.6M
| 4.6M
| 6.3M
| 2.7M
| 2.8M×2
| |
利用面
| | 片面
| 片面 | 片面
| 片面 | 両面
| |
テープ種類
| | Co-酸化鉄
| Co-酸化鉄
| メタル | Co-酸化鉄
| メタル |
|
ヘッド(録)
| (μ) | 5Tバイアス付
| 4Tバイアス付
| センダスト0.2
| フェライト | センダスト
| |
ヘッド(再)
| (μ) | ノンシールド
| シールド
| センダスト0.2
| フェライト | センダスト
| |
fs=
| (KHz) | 44.1
| 44.065
| 44.065
| 44.1 | 33.6
| |
量子化
| (ビット) | 16リニア
| 14リニア | 14リニア
| 14リニア | 14相当
| |
ビット・レート | (BPS)
| 2.16M | 2.15M
| 2.065M
| 1.5M
| 1.04M |
|
変調方式
| | HDM−1
| MFM | MFM
| MFM | MFM
| |
符号訂正
| | CIRC
| 2パリティー
| CRCシングル
| − | 2パリティー
| |
冗長度 | (%)
| 46
| 43
| 40
| 17
| 20
| |
テープ速度
| (Cm/s)
| 4.75
| 9.5 | 7
| 9.5 | 7.1
| |
| | |
| | | |
|
コンパクトカセットを用いたディジタルオーディオデッキ比較
薄膜ヘッドとメタルテープの組み合わせの例はまだありませんが、もしソニーのトラック密度と三洋の線密度の組み合わせが可能になれば、マイクロカセットを用いたディジタルカセットレコーダの実現へ一歩近づきます。
残念ながら互換性のあるものは全くありません。
今後標準化の話し合いは進められると思いますが最終的な形態はここに示されたものとは全く違うものになるでしょう。
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