特別企画・Mini Discの部屋

最終更新日1998年12月29日

【概要】

MDのページは少ないので、一号機を紹介してみましょう。

MDはソニーが開発した「Mini Disc」である。
1号機の時点ではまだカタカナディスプレイ機能がサポートされておらず、アルファベットによる文字表示しかできなかった。
ビクターXM-D1(\99,800)がフライング気味にカタカナディスプレイ機能を装備して発売されたため、他社も追従する形でカタカナ文字対応は始まった。
カタカナ入力された文字をアルファベットしか表示できない機種で見てみると、ローマ字表記になるという。
現在、一部では待望の漢字表示が可能な機種が出てきた。
これで入力した漢字がカタカナしか表示できない機種やアルファベットしか表示できない機種ではどのように見えるのか非常に気になる。


【MDの開発コンセプト】 エレクトロニクスライフ1992年12月号より抜粋

 CDを小さくして録音もできるようにした、それがMDの開発コンセプトである。
 その狙いは二つ、オーディオカセットに代わるものとしての次世代録音再生機器として、また頭打ち状態のパーソナル録音機器としての新規格としてMDは登場しました。

 コンパクトカセットは1982年のCDの出現以来、徐々に下降線をたどり、とくに録音済みミュージックテープカセットの需要はよく熟れた時期の半分以下になっています。
 ヘッドホンステレオを楽しんでいる人々の大半はミュージックテープではなく、自分で録音したテープを楽しんでいます。
 それなのに録音する道具のカセット録音機の売り上げはゼネラルオーディオも含めて急激に落ち込んでいます。
 最近ではポータブルコンパクトディスクプレーヤーで直接CDソフトを楽しむ人が増えています。
 価格的にはCDもカセットソフトもほぼ同じなのになぜCDの方が人気があるのでしょうか。
 それはもう「瞬時ランダム選曲ができる」ことによります。
 もちろんCDの方が音が良いからでもありますが、何よりも早送りや巻き戻しなどの待ち時間のないすばやい選曲は気忙しい現代人にとってぴったりの機能です。
 MDは、このようなディスクの持つランダムアクセス機能と、CDの持つ取り扱いやすさをいっそうポータビリティに凝縮したものです。
 コンパクトカセットテープの録音機器はすでに普及し尽くした状態であり、今後の大きな発展は望めません。
 そこでPCMデジタル技術の導入によって活性化を図ろうというものです。
 これはDCCも同様です。
 パーソナル録音機器としてのデジタル化の波はCDがLPを追い越した勢いの2倍のスピードで広まるだろうという予測があります。
 数年前のDATは機熟さず早すぎた感があり、今一歩普及には足踏みが長すぎたようでした。
 今度のDCCとMDは何としてもという思いがメーカーから感じ取られます。


【MDの特徴】 SONY情報誌DIGIC VOl.25より抜粋

 MDシステムは、録音・再生用メディアに光磁気ディスクを、またMDソフトに光ディスクを用いた、新しいパーソナルオーディオシステムです。
 今回発売する商品(MDの一号機)は、ディスクならではの「クイックランダムアクセス」を活かすため、10キーやシャトルリングを装備しており、優れた選曲性能を発揮します。
 また、デジタル音声圧縮技術「ATRAC」により情報量を約5分の1に圧縮し、直径64mmの超小型ディスクに最長74分の高音質録音・再生が可能です。
 ディスクはカートリッジに収納され、ホコリに強く取り扱いが容易です。
 また衝撃による音飛びは半導体メモリー技術の応用による「音飛びガードメモリー」で防ぐなど、アウトドアで自由に音楽を楽しめます。

スペックDCCMDDATCD
標本化周波数48kHz/44.1kHz/32kHz44.1kHz48kHz/44.1kHz/32kHz44.1kHz
量子化ビット数4bit(PASC圧縮)4bit(ATRAC圧縮)16bit直線/12bit非直線16bit直線
チャンネル数2ch2ch2ch/4ch2ch
周波数特性5Hz-22kHz(48kHz)/5Hz-20kHz(44.1kHz)/5Hz-14.5kHz(32kHz)5Hz-20kHz5Hz-22kHz(48kHz)/5Hz-20kHz(44.1kHz)/5Hz-14.5kHz(32kHz)5Hz-20kHz
ダイナミックレンジ105dB105dB96dB96dB
記録時間120分74分120/240分74分
エラー訂正方式二重リードソロモン符号CIRC二重リードソロモン符号CIRC
変調方式ETM(8-10変調)EFM(8-14変調)ETM(8-10変調)EFM(8-14変調)

PILOT MODEL
ソニーのミニディスク製品イメージモデル。
当然、中身はからっぽだったのであろう。


MZ-1
SONY MZ-1 \79,800(MD Walkman)
世界初のミニディスクレコーダー。
1992年11月1日発売。

特徴
(1)本体に10キーを装備し、聴きたい曲の瞬時ダイレクト選曲が可能
(2)ディスク名や曲名などをアルファベット表示(12文字2行、13字以上はスクロールで確認)できるバックライト付き液晶ディスプレイ装備
(3)録音用MDへの高音質デジタルステレオ録音が可能(光デジタル入力付き)
(4)自動的に未録音部分を探し、録音レベルの自動設定ができ、いつでもすぐに録音開始可能
(5)TOC EDIT(目次情報編集)機能により頭出しポイントの設定、瞬時1曲消去などが可能
(6)録音用MDのディスク名、曲名などをアルファベットで登録・表示可能
(7)新開発の光デジタル/アナログ兼用ライン入出力端子の採用により、他機器とのデジタル接続が可能
(8)録音中の年月日が自動記録されるデート機能装備
(9)低音を増強するバスブースト機能を装備
(10)内蔵の専用ニッカドバッテリー、AC電源、カー電源の3種に対応

MZ-2P
SONY MZ-2P \59,800(MD Walkman)
世界初のミニディスクプレーヤー。
1992年11月1日発売。

特徴
(1)左右に回転させて早送り、巻き戻しができるシャトルリングを装備
(2)ディスク名や曲名などをアルファベット表示できるバックライト付き液晶ディスプレイ装備
(3)光デジタル/アナログ兼用ライン入出力端子採用(筆者注・再生機なのに入力端子があったのか?)
(4)バスブースト機能
(5)3電源対応

ZS-M1
SONY ZS-M1 \98,000(PRESH)
ラジオ+MDデッキ。
1992年12月上旬発売。

特徴
(1)10キーを装備
(2)バックライト付き液晶ディスプレイを装備
(3)録音用MDへの高音質デジタルステレオ録音が可能
(4)自動的に未録音部分を探し、録音レベルの自動設定ができ、いつでもすぐに録音開始可能
(5)TOC EDIT機能
(6)録音用MDのディスク名、曲名などをアルファベットで登録・表示可能
(7)小型本体で豊かな重低音を再生するCCCR(Common Cavity Common Resonance)システム採用
(8)クリアな中高音、力強い低音など全音域で高音質再生を実現する8cmフルレンジスピーカー装備
(9)AMステレオ対応、計24局の周波数登録が可能なFM/AMチューナー装備
(10)光デジタル/アナログ入出力端子装備

MDX-U1
SONY MDX-U1 \100,000
カーMD。
1992年11月1日発売。

特徴
(1)1DINサイズにMDプレーヤー、FM/AMチューナー、CDコントロール機能を内蔵
(2)すばやい選曲やリピート再生など多彩な再生機能を持ったMDプレーヤー部
(3)ディスク名や曲名などをアルファベット表示(12文字1行、13字以上はスクロールで確認)できる液晶ディスプレイ装備
(4)CDチェンジャーコントロール機能を装備
(5)光デジタル、アナログ2系統の入出力端子を装備
(6)FMダイバーシティチューナー内蔵
(7)放送局名表示が可能な高性能FM/AMチューナー内蔵
(8)操作ボタンのイルミネーションが点灯し、夜間でも操作しやすいワイヤレスリモコン装備


筆者の独断によるパーソナルメディア使い勝手比較】

 あくまでも独断によるメディア比較です。
 評価基準:◎=すばらしい、○=まあいい、△=ちと苦しい、×=だめ

内容\フォーマット名MDCDCD-RDATDCCACCMP3(特別参加)
ランダムアクセス××◎(稼動個所が無いので最も優れている)
連続再生*1×○(瞬間アクセスが魅力)
従来機器との互換性×××基準×(パソコンが絶対必要)
使用前に巻き鳴らし*2不要不要不要必要必要必要不要
CDからのダビング基準×(パソコンが絶対必要)
BS/CSなどデジタル放送からのダビング○*3×(パソコンが絶対必要)
未録部分が残る*4△*11△*5××◎(未録という概念が無い)
実際の録音時間が長い*6×××(今後の大容量化は見込める)
メディアの収納容積○=ACC基準◎(将来はもっと小さくなる可能性も)
編集×××△*7◎(しかしパソコンが無いとできない)
自己録再ではなく他再生機との互換性*8○*12○*9△*10◎(たぶん互換性は問題無いだろう)
インデックスカードの書きやすさ◎*13×(小さすぎる)

*1:CD/MDは瞬時に頭に戻られる、DCC/ACCはA面からB面と違うソースに続けて再生できる
*2:テープメディアは初めて使うときは必ず巻き慣らしをしないときちんと録音できないときがある。
*3:最近のMD機器にはサンプリングレートコンバーターが内蔵されるのが標準的である。
*4:録音が全部終了しても実際はもうすこしまだ未録音部分が残る。リバース再生の際にスキップする必要がある。
*5:END IDを打つことで未録部分を気にしなくて済むようになる。
*6:たとえばアナログコンパクトカセットの90分テープの片面は45分だが、実際には47分近くまで録音可能である。
*7:スプライシングテープを使って行う強者もいる。
*8:自己録再以外の組み合わせ、他の機器で録音したものの再生や、自機で録音したものを他機で再生すること。
*9:一部のデッキ&テープの組み合わせではトラッキングが合わないという例も聞いている。
*10:テープ速度やNRの互換から必ずしも元の音と同じではない。自己録再でもデッキのモーターを交換するだけでもう変わる。
*11:中途で止めたディスクに再書き込みすると全容量が減る。書き込みは基本的に一気にやるべき。
*12:一部の機種では再生不可。カーCDなどディスクの縁の部分を触るものはディスクにはよろしくない。
*13:ラベルプリンタを駆使すればすごい完成度の高いオリジナルディスクを作ることができる。

あくまでも「使い勝手」という観点から見たものです。
なぜか「MP3」が一番評価が高くなってしまいますね。
でも「音質」ではまだまだMP3は他のフォーマットにはかないません。
CD-RWというのもありますが、フォーマットするだけで日が暮れますね。

LINK

Digital Compact Cassetteの部屋


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