ナカミチのユニークなカセットデッキの部屋

姉妹編笠原様提供デッキカタログ

最終更新日1999年1月2日

情報御協力は東京在住の山口様です。


【概要】

 ここではナカミチのカセットデッキ軍団を取り上げようと思います。
 カセットデッキでは常に独創的なモデルを作ってきたナカミチ。
 傑作そろいであるが、中には迷作とも呼べるユニークな作品もある。

 ナカミチはすばらしいモデルを作ってはいるのだが、テープポジションが自社の方言を採用しているのが納得できない。
 「EX」がType-1(ノーマル)、「SX」がType-2(クローム)、「ZX」がType-4(メタル)らしいが、一見しただけではどれがどのポジションだかさっぱりわからない。
 筆者は学生だった85年頃、気になってナカミチ本社に電話で聞いてみたことがある。
 返事は「設計を自社テープでやっているから」ということであったが、ナカミチブランドのカセットテープなど、カタログ上でしか見たことがない私にはいささかまゆつばものの返事だと感じた。

これがナカミチのカセットテープだ!! 情報御提供は静岡県の星自由人さんです
EX tape 1 EX tape 2
SX tape 1 SX tape 2


●1000/700シリーズ

700ZXE \350,000(1981/2現在)
 カセットデッキ界の若・貴兄弟。
 いずれもオーディオエンジニアが購入していたという事実上のリファレンスデッキ。
 1977年のナカミチ社の広告は後述。

 圧巻は1000-2の発展系の1000ZXL(\550,000)のリミテッドバージョンで、全体が金メッキされ、さらにオーナー文字を彫り込むという手の懲りようであった。
 価格は85万円だったと記憶している。
 この1000ZXL-LTDはナカミチ本社に行くと展示してあったりする。

●DRAGONシリーズ

 DRAGONシリーズはまだ現役商品なので、オーディオ考古学の趣旨とは離れてしまうが、発表してから10年以上が経過しているから、事実上、考古学と呼んでもよいだろう。

 カセットデッキのDRAGONはNAAC(Nakamichi Auto Azimuth Control)と呼ばれる再生ヘッドの自動アジマス調整機構を持っている。
 これは再生時にデッキがアジマスずれを自動補正してくれるという優れもので、同様の機構はマランツでもMAAC(Marantz Auto Azimuth Control)と呼んでいた。
 DRAGONの91年2月のカタログが手元にあるが、ずいぶんナカミチの技術者もNAACには自信を持っているらしく、カタログなのに製品紹介はレポーターが技術者に話を伺う取材方式の会話風になっている。
 NAACの採用で、DRAGONは世界初の完全独立3ヘッド、ダブルキャプスタンによるリバース再生を実現しているそうだ。
 まことに残念なことだがうまく取り込みに適する写真がないので、カタログからの写真は略します。
 カセットデッキのDRAGONは驚くべき長寿命で、現在でも一応現役商品で\260,000で売っている。
 もっともソニーのベータデッキと同じで、本当に現在も生産を継続しているのかどうかは不明である。

 DRAGONという名のモデルはカセットデッキばかりではない。
 レコードプレーヤーにもDRAGONはあった。
TX-1000TX-1000 \1,100,000(1982/10)
 さすがにナカミチらしく、このプレーヤーには独創的なメカが隠されていた。
 それは自動的にディスクの中心部を決定してくれる装置である。
 名前は忘れたが、絶対中心位置を測定し、その中心でディスクを回転させるので、音質がアップするといういかにもナカミチらしい発想だった。

●RXシリーズ

 ユニディレクショナルオートリバース機構を搭載した、ナカミチでは珍しいリバースモデル。
 カセットデッキのオートリバース機構にはいくつかの種類があるが、現在の主流は(1)ヘッドホンステレオによく見られるA面用とB面用のヘッドを持っていて、テープの走行方向を切り替えるもの (2)デッキタイプによく見られるヘッド自身が回転するものの2種類がある。
 本来は(1)の手法の方が望ましいのであるがヘッドが二個となるので、デッキタイプに使用した場合はアンプへの無駄な入力が発生する。
 それに、正方向でアジマスを調整すると、テープを逆方向に動かすときにアジマスずれが避けられない。
 そうなると(2)の手法であるが、これは基本的にヘッドのアジマスずれの可能性がおおいにあるため、ナカミチではドラゴンのNAAC機構をもって実現している。
 しかし、NAACはコストがかかりすぎるため、もっと安価にリバースデッキ、それも録再オートリバースはできないものかとナカミチさんのエンジニアは考えた。
 そこで登場したのが「ユニディレクショナルオートリバース方式」である。

 これは走行系はまったくのワンウェイモデルであるが、カセットテープそのものをひっくり返してリバースさせるものである。

 テープは正立タイプではなく、テープ面を上にしてセットする。
 リバース時はテープがいったんデッキの外に飛び出し、立体駐車場のターンテーブルのように回転して再びデッキにセットされるというもの。
 確かにこの方式なら、アジマスずれは起こらないし、音質的にも有利なはずである。

 正立タイプに見慣れた目には逆向きにセットする方式は斬新とも言えたが、安物のラジカセ風であまりかっこいいものではなかった。
 テープのターンテーブルにたまる埃防止のために正立はしなかったのであろう。

 最初のモデルがRX-202で価格が12万円ほどしていたと記憶している。
 しかし、この一号機はなぜか3ヘッドタイプではなかった。
 その後、待望の3ヘッド機RX-505や廉価版モデルも発売されたと記憶している。
 でも、やっぱり売れなかったらしくあっという間に消えた。

RX series

画像御提供はけんぱん様です
RX-505とRX-303です。
【けんぱん様の御意見】
ナカミチRX−505/303
「録再オートリバースで世界初の完全独立3ヘッド/ダブルキャプスタン、RX-505誕生。
"Nakamichiの夢"、いまここに実現。
RX-505 \188,000

ダブルキャプスタン/ユニディレクショナル・オートリバースデッキの2ヘッド・バージョン。
RX-505を脅かす唯一のライバルです。
RX-303 \158,000

Nakamichiがワンウェイデッキで築き上げてきた究極の完全独立3ヘッド/ダブルキャプスタンと、逆転の発想ユニディレクショナル・オートリバースメカニズム──。
このふたつのデッキ技術をインテグレートすることで、Nakamichiはまたひとつ「限界」を超えてしまいました。
ユニディレクショナル・オートリバースデッキRX-505、およびその2ヘッドバージョンであるRX-303。
往復両方向とも、きわめつけのワンウェイデッキを全く同じクオリティをもつ、世界で初めての録再オートリバースデッキの出現です。
ことにRX-505は、Nakamichi自身の夢を実現したモニュメンタルなデッキ。
私たちは、完全独立3ヘッド/ダブルキャプスタンをベースとする理想的なコンストラクションを一切崩さずに録再オートリバースを達成することを、あのモデル1000以来、究極の夢としてきたのです。
昨年秋に発表したDRAGONとともに、オートリバースデッキが抱え続けてきた問題はそのことごとくが解決されたと確信します。
●ワンウェイデッキのクオリティがそのまま録再オートリバースに生かせる。
 逆転の発想、ユニディレクショナル・オートリバースメカニズム。(中略)
●20kHz再生を完璧に保証するための、Nakamichiの結論。
 ディスクリート(完全独立)3ヘッドシステム(RX-505)。(中略)
●2本のキャプスタンだけでテープ走行を厳密にコントロールする、Nakamichi独自のクローズドループ・ダブルキャプスタン。(中略)
●ヘッドのもつクオリティをあくまでストレートに引き出す、ローディストーションDCアンプ。(中略)
●リバース機構を生かし切る、真に実用的な機構を重装備。(中略)
●主な規格:PLLサーボモーター(キャプスタン用)×1、DCモーター(リール用)×1
 ワウ・フラッター0.04%以下(WTD RMS)
 周波数特性20〜20,000Hz±3dB(RX-505、-20dB、ZXテープ)
 総合S/N比70dB以上(RX-505、ドルビーCon、ZXテープ)(他略)

 昭和58年11月21日発売のRXシリーズ2台の新製品情報パンフからで、通常のカタログと違って折り返し無しの白黒でした。
 中道のリバース機としては前年にDRAGONが、また数カ月前にはRX-202が登場済みでしたが、DRAGONのリバースは再生時のみで、RX-202はシングルキャプスタンです(303は2ヘッドなのにクローズドループ!)。
 使ったことがありませんが、音質が悪いはずはないでしょう。
 私個人はリバース機に対し、きちんと編集されたテープを気軽に聴くにはいいなと思っていたのですが、録音ではメリットが薄いとあきらめていたので(カセットテープはリーダーテープから20〜30秒の間のドロップアウトが気になるから)、DRAGON以外のリバース機に興味はありませんでした。
 さらにRXシリーズの反転動作は、リーダーテープと磁気テープの接合部の検出をきっかけに行う方式ではなく、リール停止を機械的に検出する方式だったので、往復1分近くは音質を期待できなかったはずです。

【1977年tape sound誌のナカミチ広告】

700-2 \210,000   1000-2 \310,000

700 & 1000

外観はいつまでも変わらないでしょう。


1000、700第二世代がスタートします。

 1000、700が登場してから、もう4年になろうとしています。
 この時の経過にも拘わらず今なお「世界最高のカセットデッキ」という評価をいただいているのは、本当にありがたいと思います。
 しかしながら、私たちは「最高」であることよりも、「完璧」にどのくらい近い距離にあるかが、より大切ではないだろうかと感じ、今までにも1000、700を不断に改良してまいりました。
 今回の改良はこうしたNakamichiの姿勢の集中的表現として、規模と質の両面とも最大のものになっております。
 これにより発売当初とは、内容的に大きく異なるものとなったため、「2」の名を与えさせていただきました。

従来に比べ約3倍の耐摩耗性を持つ(当社比)SR(Stable Respnse)ヘッドを採用しました。

 35〜20,000Hz±3dB(ドルビーシステムインSX、EX2テープ)という周波数特性は定評のあるところですが、それを耐久性の面で高性能化したSRヘッドを採用しました。
 この結果、ヘッドの寿命は、メカニズムの耐久性に比べ、はるかに大きな余裕度を持つことになり全体として、信頼性が一段と向上しました。

位相ずれを30度以内に抑えた位相補正回路を採用しています。

 カセットデッキの位相は、今まで不可避に狂ってしまうもとの信じられていました。
 しかし、1000-2、700-2では新たに位相補正回路を設け、原音波形の崩れを抑えています。
 これによりドルビーNRの過度特性の乱れまで防いでいます。

オペレーションレンジ130dBのマイクアンプ、最大出力300mWのヘッドホンアンプを採用。

 マイクアンプは、感度0.2mV、入力換算ノイズレベル0.45μV、最大許容入力1.5Vで、ダイナミックマージンが十分になりました。
 また、ヘッドホンアンプは最大出力300mWで生録音での使用にも十分です。

テープの能力をフルに引き出すために。

 かねて、ご要望の多かったレコードレベルキャリブレーターのフロントパネルへの移動を実行しました。
 また、イコライザー/バイアスは、それぞれ独立させております。
 ピークレベルメーターは、テープの進歩、1000-2の性能向上に対応し-40〜+10dBのものを採用しました。

変わりません。1000-2、700-2ならではの性能・機能。

 SR再生ヘッド、クリスタルフェライトヘッドによる完全3ヘッド方式
 光学周波数制御方式でワウフラッター0.05%以下
 クローズドループ・ダブルキャプスタン方式
 ヘッド垂直ずれを補正するアライメントビーコン
 ICロジックコントロール
 ドルビー/DNLダブル・ノイズ・リダクションシステム(700-2はドルビーのみ)
 400Hzテストトーン
 5元3チャンネルミキシングのできるブレンドマイク入力


世界最強のカセットデッキ

【ナカミチのカタログより】 情報御提供は東京在住の山口様です。

1000ZXL \550,000

1000ZXL

新しい「世界最高」を主張します。電子テクノロジーを満載して、1000ZXL新登場。

 1973年、私たちは「世界最高のカセットデッキ」をめざし、Nakamichi 1000を世に送り出しました。
 その中で数々の世界初を試みたわけですが、特に当時の技術では困難とされていたコンパクトカセットの3ヘッド化を実現したことは、大変大きな成果でした。
 録音・再生のヘッドをそれぞれ専用化。
 磁気テープの特性をあますところなく引き出すことを可能にしたのです。
 さて、それ以後、磁気テープは数々の変遷を遂げ多様化。
 私たちNakamichiもその時点で登場した高性能テープに対し、常に最高のクォリティを引き出すべく改良を重ねてきました。
 テープに対応したバイアス電流レベル、イコライザーの調整を微細に行ってきたこともその一つです。
 しかし、同一ポジションのテープでも厳密には、最適バイアス値や感度に微妙な違いがあり、チューニングのわずかなズレが確実に現れてきます。
 Nakamichiは、いま、こうした「小さな違い」に着目。
 最新の電子技術を駆使した一つの回答を用意しました。
 それが、新しく生まれ変わったNakamichi 1000ZXLです。
 この1000ZXLには、マイクロコンピューターの働きによるA.B.L.E.(録音ヘッドアジマス調整、バイアス電流調整、録音再生レベル調整、録音イコライザー調整の自動化)を搭載。
 現存する磁気テープばかりでなく、将来誕生するものも十分考慮した上で、あらゆるテープに対しテープセレクターの存在なしにジャストチューニングを実現します。
 また、同じくマイクロコンピューターによるRAMM(メモリー再生システム)を装備。
 最新電子テクノロジーが生んだ”音質”と”操作性”の新しい「世界最高」を主張します。

A.B.L.E.(Azimuth,Bias,Level,Equalizer)

あらゆるテープのベストコンディションに自動調整。
18-25,000Hz±3dBの驚異的なレスポンスを実現します。

 磁気テープは種類によって、カセットハーフによるアジマスの微妙な誤差をはじめ、バイアス電流特性、録音再生レベル、周波数特性と、さまざまな特性の違いをもちます。
 ひとつひとつ最良な性能を得るためには、測定器を用いた微妙な調整が必要となり、手動で行うにはかなり難しい面があります。
 Nakamichi 1000ZXLに搭載したA.B.L.E.。
 これらの複雑な調整をマイクロコンピュータの働きによって、すべて自動的に完了してしまいます。
 また、こうして調整したアジマスを除くコンディションのデータをはじめ、再生イコライザーのポジション(70μs/120μs)、ドルビーノイズリダクションのin/outまたは外部接続のノイズリダクションかを、すべてメモリー可能。
 つまり、次に同種のテープを使用するときには、アジマス調整(数秒間)のみで調整完了といった早業を実現します。
 バイアスレベル、イコライザーの自動調整システムはこれまでも発表されていますが、アジマス調整をも自動化したシステムはおそらく世界で初めてでしょう。
 さて、A.B.L.E.の頭脳は、8ビットの分解能を持つマイクロコンピューター。
 左右チャンネル別に256ステップで調整を行っています。
 このため、テープセレクターはもちろん必要としません。
 テープをセットする。
 調整の指示を行う。
 この操作だけで、あらゆるテープのベストコンディションが、下図のフローチャートに沿って選び出されます。
 まず、左右信号の位相差検出による録音ヘッドのアジマス調整からスタート。
 次に左右チャンネルそれぞれにバイアス電流、レベル、イコライザーが調整されます。
 調整中のポジションは、ディスプレイパネルの文字が点滅。
 最適バイアスと録音イコライザーが決定し、テープの感度に録再レベルが調整されると、すべての文字が点灯します。
 調整完了と同時に、テープは自動的にスタート位置のテープカウンター”0000”の位置まで巻き戻され、”Tape Memory”スイッチA,B,C,Dのいずれかを押すと、そのデータはメモリーされます。
 こうして自動的に調整されたテープは、録音レベル-20dBにおける周波数特性が20-20,000Hz±0.75dB(18-25,000Hz±3dB)の、まさにコンパクトカセットとしては前例の無いスペックを実現します。

RAMM(Random Access Music Memory)

曲中の1パートを呼び出すことも可能。
コード化は15のポイントで、メモリー再生プログラムは30曲までできます。

 自動頭出しシステムはこれまでも数多く見られますが、ほとんどが曲間のブランクを探し出すものです。
 このNakamichi 1000ZXLに搭載したRAMMは、その点でもまったく新しいシステムといえます。
 録音中にマイクロコンピュータによってコード化された曲順アドレス信号を順次記録。
 再生時にこのコード信号を読み取って、プログラムされた曲順通りに再生を行うシステムです。
 コード信号の記録は自動的に行うことも、マニュアルで行うこともできます。
 自動では2秒以上の曲間ブランクを検知し記録しますが、マニュアルでは録音中のあらゆる個所で記録可能。
 このため曲間に限らず曲中のあるパートの頭にコード信号を記録、そのパートだけをリピートすることもできます。
 コード化は15ポイントまで、メモリー再生(リピート再生)は30曲まで可能です。
 また、録音時に設定した再生イコライザーの時定数(70/120μs)、および、ノイズリダクションのin/outまたはHigh-com2などの外部接続ノイズリダクションの情報を同時に記録します。
 コード信号は5±0.1Hzで、再生音には一切影響を与えません。

Parametric Erasure

低域における消去効率を飛躍的に高めた、パラメトリック消去方式。

 Nakamichi 1000ZXLでは、バイアス発振器にクォーツを採用し、安定したバイアス電流供給を行っています。
 消去は、このバイアス周波数を1/2に分周。
 52.5kHzで用いています。
 これにより消去ヘッドのエディカーレント(渦電流)ロスが減少。
 消去電流を増加させることができ、消去効率が大きくアップしました。
 低域における消去率が著しく改善されています。

Diffused Resonance Transport

共振拡散型トランスポート、周波数分散型ダブルキャプスタンを採用しました。

 ダブルキャプスタン方式は、2組のピンチローラーとキャプスタンでテープをホールド。
 ヘッド部分でのテープ振動を抑え込み、変調ノイズを低減するほか、ワウ・フラッター特性なども大きく改善することができます。
 Nakamichi 1000ZXLではここにとどまらず、キャプスタンとテープの相関によって生じるフラッター成分に着目。
 2つのキャプスタン径を変え、フラッターピークの重なりを避け、変調ノイズ特性をさらに改善しています。
 また、モーターなどから生じる微振動も、シャーシ材料の検討により効果的に吸収。
 共振の発生を防止しています。

Discrete 3 Head

Nakamichi独自のクリスタロイ・ヘッドによる磨きに磨きぬいた独立3ヘッド。

 再生ヘッドは、クリスタロイによる0.6ミクロンナローギャップ型で、超高域までフラットな再生を可能にしています。
 加えて、ヘッド形状と構造に検討を加え、コンターエフェクトと呼ばれる低域のうねりを追放。
 18Hzという超低域再生を実現しました。
 録音ヘッドは、クリスタロイによる3.5ミクロンギャップを採用。
 多量のバイアス電流にもコアーが飽和せず、シャープなクリティカルゾーンを形成します。
 消去ヘッドは、ダブルギャップ型を採用し、パラメトリック消去法式と合わせて消去効率を大幅にアップしています。

Digital Tape Counter

”-999”から”9999”までをデジタル表示、正確で便利なテープカウンター。

 LEDによる4桁表示のデジタルテープカウンターを装備しました。
 このカウンターは、”0000”を基点に録音、再生、早送りのときプラスカウント(0000-9999)。
 巻き戻しのときマイナスカウント(-9999-0000)します。
 もちろん、メモリースイッチと連動して、どの位置からでも”0000”の位置まで早送り、巻き戻し可能。
 メモリースイッチが”stop”のときはそこで停止。
 ”play”のときにはその位置で一旦停止し、再生状態に入ります。

●蛍光ディスプレイによる録音レベルインジケーター(-40-+10dB、56セグメント)。ピーク表示、ピークホールド表示、VU表示切り替えつき。
●3ポイントマイク入力(L,R,L+R)およびライン入力のミキシング回路内蔵。
●外部接続ノイズリダクション(High-com2など)端子。
●400Hzテストトーン。
●サブソニック、MPXフィルター。
●DC録音/再生アンプ。
●Rec Mute機能。
●タイマー録音/再生可能。
●別売リモートコントロールユニットRM-300によりRAMM操作とテープオペレーション可能。
●ピッチコントロール。
●高出力ヘッドホン端子。
●ドルビーNRシステム内蔵。

1000ZXL-Limited \850,000

1000ZXL-Limited

一段と削ぎすまされたハイ・クォリティーと、ロングライフを実現して1000ZXLのカスタムモデル誕生。
保証期間5ヶ年、限定受注生産でお届けします。

 Nakamichiのカセットデッキの最高峰1000ZXLを母体に、各部をさらに微に入り細にわたってブラッシュアップして生み出されたのが、ここに紹介する1000ZXL Limitedです。
 使用パーツはすべて特注品で固め、シャーシやフライホイールの材質、仕上げにも十分な細心さを貫くなど、一見無駄とも思える贅沢を随所に盛り込み、一段とソフィストケートされた内部を構成するとともに、純金メッキを施したフロントパネルやつまみ類、天然木のつき板を使用したローズウッド仕上げのキャビネットなど、外観もカスタムモデルにふさわしいものとしました。
 また、オーナー御自身のネームを1台1台に刻み込み、5年の保証期間を設けています。
 もちろんエージングは1台1台入念に行いましたが、一生の間お付き合いいただき、なおかつ変わらぬ満足感を与え続けることができる「作品」に仕上がったと考えています。
 なお、本機は受注生産といたしましたため、恐縮ですがご注文から約1ヶ月ほどお待ちいただかねばなりません。

1000ZXL Limited プロダクト・プロフィール

 ゴールドに輝くフロントパネル、重厚な天然木のキャビネット、そして、フロントパネルの中央に刻まれたオーナーのネームと、まず1000ZXL Limitedをご覧になって受ける印象の多くは、その独特の風格をたたえる外観に集中するでしょう。
 この贅を尽くした入念な仕上げは、単に外装デザインのみにとどまらず、目にみえない隅々にまで貫かれています。
 「世界最高のカセットデッキ」のニュージェネレーションを目指した1000ZXLは、カセットデッキでは未踏の性能を確保するため、数々のノウハウを傾注。
 1000ZXL Limitedでは、これをさらにブラッシュアップするべく、各部に徹底した再検討を行いました。
 メカニズムに例をひいてみましょう。
 振動に対して大きな減衰特性を持つアルミシャーシの表面にブラックアルマイト処理を施し、耐蝕性を一段と高めると同時に、アルミがサンドイッチされた状態になることから、より振動の吸収に役立っています。
 そして、フライホイールはブラス丸棒から削り出したもので、大きな慣性モーメントと、高い精度をもち、ワウ・フラッターをさらに減少させています。
 さらに、録音ヘッド、再生ヘッドのシールドケースに純金メッキを施し、表面に停滞する渦電流を減少させ、外来雑音をシャットアウト。
 S/N比を向上させると同時に低域ノイズによる変調を厳しく抑え込んでいます。
 また、全体の骨格となっているメインシャーシに、ブラッククロメイト処理を施すことによって耐蝕性をさらに高め、ロングライフを狙っています。
 コネクター類もすべて金メッキを施し、耐蝕性を大幅に高めました。
 このように極めて微視的なレベルではありますが、回転性能や耐振性、電送特性が確実に向上し、音質は一段とピュアに。
 そして、いつまでも初期性能を維持するロングライフを約束します。
 なお、ドルビーCタイプNRプロセッサーNR-100、専用ダストカバー、ならびに本気の風格をさらに高めるベルベットのキャビネットクロスを標準装備。
 加えて、1台1台の性能を保証する実測データ、試聴用デジタルマスタリングダイレクトカセットテープ(ジャズフュージョン、クラシックの各1巻)を付属しました。

700ZXE \350,000

700ZXE

Nakamichiの感性とテクノロジーの出会い700ZXL、その設計思想を受け継ぎ、基本性能を追求した700ZXE新登場。

 ラグジュアリーを求める心を満たす美しいフォルムと、優れた音質で、多くのオーディオファンを魅了してきたNakamichi 700。
 その第2世代としてさきに誕生した700ZXLは、最新の電子テクノロジーを駆使し、現存するすべての高性能カセットテープで18-24,000Hz±3dBの驚異的な特性を実現しながら、プレイバック時のほぼ完璧なフルオートマティック化を可能にしています。
 さて、その700ZXLのデザインポリシーと基本性能を受け継ぎ、機能のシンプル化を図った700ZXEが、いま新たにデビューします。
 シンプル化したとはいっても、オートキャリブレーションプロセッサーの搭載により、アジマス、バイアス、録音再生レベルを自動調整。
 18-23,000Hz±3dB(20-20,000Hz±2dB)の特性を実現するべースとなっています。
 また、曲間無信号検出による1曲選曲のRAMM機能を装備するなど、操作性も優れています。


世界最強のDATを目指した新モデル1000

カタログの能書き

未来からの招待状 Nakamichi1000

1973年の春、桁外れの高性能・高価格をひっさげて登場した世界初のディスクリート3ヘッド・コンパクトカセットデッキ=(Nakamichi 1000)。
38cm/s・2トラックオープンデッキにも比肩しうるハイフィディリティと過激なスペックは、全世界のマニアをことごとく魅了したものです。
しかしそれは単に衆目を集めるための「ドリームマシン」ではなく、私たちのある企てへ向けた、最初の一歩でした。
あの日忽然と姿をあらわし、たちまち人々の心を奪った1000の第一号機。
それはきっと、当時誰もが予想さえしなかったカセットオーディオの黄金時代=今日のオーディオシーンから届けられた、一通の「招待状」だったにちがいありません。

もちろん、あらゆる妥協を排して一台一台に精魂を込めた1000は、同時にきわめて贅沢なモデルでもありました。
当時1000を直接手にできたのは、ごく限られた幸福な人たちだけに過ぎなかったでしょう。
でも、そこに託された理念、そしてテクノロジーのかずかずが世界中のプロダクツに影響を与え、あるいは模倣され、現在に続くカセットオーディオの源流となり得た事実に、異論を唱える人はいないはずです。
そのことに私たちNakamichiは、オリジネーターとしての誇りを持ち続けたいと思います。

しかしトップを走る者はいつも、次に進むべき道を自ら切り拓かねばなりません。
もし現在の成功に安住し、先頭に立ち続けることを諦めたなら、私たちの存在理由そのものもまた確実に失われましょう。
だからこそ、1000で勝ち得たカセットデッキの"頂点"それが"限界"と同じ意味になった瞬間、レコーディングマシンのさらなる高峰をめざすNakamichiのチャレンジは、ふたたび始まるのです。

そして1989年。
私たちがついに到達したここは、永らく夢見続けた"デジタルレコーディングの未来"。
確かに足を踏み入れた未踏の嶺から、シルバー・メタリックに輝く美しい招待状をお届けできることになりました。
それは90年代のオーディオシーンに生きるべき、第三の1000。
この新しい1000に、私たちはふたつの「夢」を託しました。
ひとつは、コンパクトカセットの半分しかない小さなDATカセットで、今度はプロ用デジタルマスターレコーダーの音を聴こうということ。
結論から言うなら、こちらは大いに期待していただいていいでしょう。
そしてもうひとつ、それは、デジタル録音のすばらしさをいつかすべての人のものにすること。
難しいことかもしれません。
でも、夢は捨てなければ必ずかなうことを、私たちNakamichiはもう知っています。
そう、あのときの1000のように.......

1000
Nakamichi 1000 Digital Audio Recorder \650,000(89/4)

1000P
Nakamichi 1000P Digital Audio Processor \550,000(89/4)


前のページに戻る

誤記、新情報などありましたら Web Master まで

現在もご使用中の方、感想をお知らせください。