ノイズリダクションの部屋・別館2

最終更新日1999年09月04日


【概要】資料御提供はkatzusa様です。

ビクターが独自に開発し、発売したANRS。

■ANRSについて

・ANRSとは Automatic Noise Reduction System (自動雑音低減方式)の略です。
・テープに録音、再生しますと高域のヒスノイズ(“サー”という雑音)が少し増加します。このノイズはアンプのトーン・コントロールでおさえることはできますが、それでは再生音質も変化してしまいます。元の音質を変えることなく、ヒスノイズの問題を独自の方式で解決したのがANRSです。
ANRS1

 ANRSの原理
右の図はANRSの原理をわかりやすくするために原音の大きさを丸印で図示したものです。
大きい丸…音楽のフォルテッシモ
小さい丸…音楽のピアニッシモ
と考えてください。
ANRS録音回路では、ノイズにうもれてしまうような小さな音を、レベルを上げて録音します。
そして再生するとき、元どおりのレベルにもどしてやります。このとき、一緒にノイズレベルも下げられ、小さな音でもノイズにじゃまされずに再生されます。

 ANRSの効果
ANRSによってノイズの周波数分布は下の図のように改善されます。(1kHzで5dB、5kHz以上で10dB S/N改善)
・ANRS回路は録音時も再生時も動作しますので、ANRSスイッチを“ON”で録音したテープは再生時もANRSスイッチを“ON”にする必要があります。
・ANRS録音されたテープはドルビー内蔵デッキでも良好に再生できますし、逆にドルビー録音のミュージックテープも本機のANRS回路で美しく再生できます。
ANRS2

■Super ANRSについて

Super ANRSは、ANRSに加えてカセットテープの周波数の高域リニアリティ(直線性)不足を大巾に改善した方式です。
一般に録音/再生時のリニアリティは周波数が高くなるにしたがって悪くなります。また、録音するレベルが高いほど周波数の高域が次第に出なくなります。ところが通常の音楽では中、低域の成分に比べて10kHz付近の高域成分はレベルが低く、0VU付近の録音をしているときでも高域成分は−30dBとか、−20dBぐらいのレベルで記録されますのでさほど高域低下は感じません。
しかし、ジャズ音楽などで強烈なシンバルの音を含んだ入力信号や拍手、またはボーカル(音声)では“サシスセソ”の発音などでは高域成分が多くテープのリニアリティ不足が高音抜けのつまった音となってしまうことがあります。
ビクターではこの問題に対し、まったく新しい方法でリニアリティ改善に成功しました。

superANRS  Super ANRSの原理
右の図はSuper ANRSの原理をわかりやすくするため原音の大きさを丸印で図示したものです。
大きい丸…音楽のフォルテッシモ
小さい丸…音楽のピアニッシモ
と考えてください。
Super ANRS録音回路では大きい音はレベルを下げ、小さい音はレベルを上げた音に変換します。すると、普通の録音では飽和レベルに達するような大きな音も、ノイズにうずもれてしまいそうな小さな音も、飽和レベルとノイズレベルの範囲内でテープに録音されます。そして、再生するときはSuper ANRS再生回路でもと通りの音に戻してやります。このとき一緒にノイズレベルが下げられ、また飽和レベルももち上げられダイナミックレンジがぐっと大きくなります。
このように元の音をみだすことなく、ノイズやリニアリティひずみを改善するのがSuper ANRSです。
 Super ANRSの効果
・ノイズの低減
ANRSの効果と同様です。
(1kHzで5dB、5kHz以上で10dB S/N改善)
・高域リニアリティの向上
Super ANRSをかけて録音・再生すると高域のリニアリティは下の図のように10kHzで0VU録音のとき6dB、+5VU録音のとき12dBものリニアリティが向上します。
superANRS2


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