ノイズリダクションの部屋

最終更新日2002年01月02日


【概要】

 コンパクトカセットテープ再生にはつき物の「シャー」というテープヒスノイズ。
 各オーディオメーカーはテープヒスノイズの低減を目指していた。

 今ではどのメーカーのカセットデッキにもドルビーNR(B-type)があたりまえのように装備されているが、業界標準だったドルビーBタイプNRの次の覇権をかけて各社が独自のNR規格を提唱して競った時代がある。
 ここではそんな80年代前半から中盤にかけて展開された各社独自のNR規格を紹介する。
 いろいろと出てきたが結果的にはやっぱりドルビーCタイプNRが勝ち残り、さらに発展してドルビーSタイプNRへと引き続いている。
 もっともそのドルビーNRだが、昨今の高級コンパクトカセットテープ戦略の見直しにより、テープデッキそのものが衰退しているためドルビーSタイプNRも見かける機会が少なくなってきた。
 このまま各社、テープデッキ市場からは撤退する模様である。
 生テープそのものも高級タイプは市場から姿を消しつつある。
 NR戦争も今は遠い昔の出来事となってしまった。


主なノイズリダクション

(1)ドルビーNR
アメリカのドルビー研究所が開発、現在の主流NR。
Aタイプはプロ用。各周波数帯域ごとにノイズ低減効果をもたらす。
Bタイプは高域を中心に10dBのノイズ低減効果。
CタイプはBタイプの約2倍のノイズ低減量を誇る。
人間の耳がもっとも敏感な1kHz〜10kHzで約20dBのノイズ低減効果。
Sタイプは24dBの低減効果がある。

NR-500
写真はソニーのドルビーNR CタイププロセッサNR-500 \29,800(1981/7)

NR-335
写真はソニーのドルビーNR BタイププロセッサNR-335 \49,800(1978/10)
調整テープがオープンとカセットと2巻ついていた。
ドルビーエンコードされたFM放送再生用にデコーダとして使用できた。

(2)dbx
アメリカのdbx社が開発。
圧縮伸張方式の代表的なノイズリダクション方式。
ダイナミックレンジ110dBが売り文句だった。
日本ではティアック、アカイ、テクニクス、ヤマハなどが採用。
一時期は結構ポピュラーな存在だったが、今ではほとんど搭載機種を見かけない。
特にティアックはオープンリールデッキにも採用していたほど、一時期dbx-NRに力を入れていた。
読み方は「でぃーびーえっくす」。
GX-R75CX
資料御提供は愛知県の宮下様です。
赤井電機が一時期、三菱と手を組んでいた時代のA&Dブランド GX-R75CX \79,800(87/11)
dbxマークが光る

dbx内蔵ポータブルカセットプレーヤー 資料ご提供は脇田様です

デリンジャー発見! 資料御提供はQUAD66様です

(3)ANRS/superANRS
日本ビクターが開発。
ビクターのみ採用のローカルノイズリダクション。
「あんるす」と読む。
ANRSはドルビーNR-Btypeと互換があり、相互に再生が可能だった。
superANRSはANRSを改良したもの。
この直後にドルビーCタイプNRが登場し、ビクター自身もそちらに乗り換えたためsuperANRSは登場してすぐにすたれた。

勝間様からのsuperANRS情報
カタログが手元にありませんので記憶のみの情報です.
ANRSに関しては,Dolby-Bと同じような動作をするとビクターのカタログにのっていました.
その後,拡張バージョンとしてSuperANRSを開発しています.
これは,高域の高いレベルの信号を低くして録音.
再生時には,その分を持ち上げるというもので,Adresの機能を高域だけに限定したものです.
採用はビクターだけでしたね.
最初に搭載されたのは,生録デッキのKD-4(\79,800)でした.
その後,おおくのカセットデッキに搭載されましたが,Dolby-Cが登場したころに,Dolby社となんらかの協定を結んだはずです.
その後のデッキには,ANRSとドルビーマークが仲良く載ってましたが,同じような動作をするDolby-Cの普及によりあっという間に消え去りました.
(一時期Dolby-CとSuperANRSは互換性があるという噂がありましたがその真相は?)
ついでにこのシステムは,高域の位相特性が悪かったせいかSuperANRSをつかうと定位がわるかったような気がします.

katzusa様御提供のANRS情報

KD-D55
ANRSロゴが光るビクターKD-D55 \59,800(82/5)
ちなみにこいつは3ヘッド装備のくせにアンプが1個しかないので、録音同時モニターが不可という間抜けなデッキだった。

(4)high−com
西ドイツのテレフンケン社が開発。
日本ではナカミチ、アイワなどが採用。
「はいこむ」と読む。
これも一般には認知されずに消えた。
High-Com2
写真は笠原様ご提供のナカミチHigh-Com2。

ハイコム2の動作原理は次の通り。
 (1)周波数4800Hzを中心にして低域と高域の2つの信号に分ける。(オットーのsuper-Dと同じ)
 (2)低域、高域それぞれを2分の1に圧縮する。
 (3)それを合成してテープレコーダーへと送る。
動作原理だけを見るとオットーのsuper-Dとまったく同じだった。
たぶん、プリエンファシスのやり方が異なるのであろう。(真相不明)
母体となったのは西ドイツ・テレフンケン社の「TELECOM-C4」。
これは帯域分割を4分割にして圧縮・伸張する方式だったらしい。
発売が79年秋を予定されていたという。

(5)adres
東芝が開発、オーレックス(東芝のオーディオ専用ブランド)、アカイ、オンキョーなどが採用。
「あどれす」と読む。
dbx方式同様、圧縮伸張方式のノイズリダクション。
SN比を30dB以上(10kHz)、ダイナミックレンジを100dB以上(1kHz)に拡大する。
  dbxとは違い、周波数帯域ごとに圧縮率を変えていたという。
そのためブリージングが少なく、雑誌評価では好評だった。
東芝が孤軍奮闘したが、最後までメジャーになることはなくマイナーなまま終わった。
adres
オーレックスPC-G8AD \74,800(82/5当時)のフロントパネルの一部。

ちなみに東芝はラジカセにまでアドレスを装備していた。
BomBeat
この二点の資料御提供はけんぱん様です。
BomBeat adres
FM/AMステレオラジオカセット RT-S90 \99,800

●アドレス搭載。ノイズのない澄みきった音が広がる。
 アドレスの採用により、SN比が大幅に改善され、同時にダイナミックレンジを約100デシベル以上に拡大。
 ピアニシモからフォルテシモまでの音を、クリアーに、忠実に再現します。
 また、ICロジック搭載の本格派です。
●ダイナミックレンジ拡大、ヒスノイズ低減機構アドレス
●2モーターICロジック
●前面フェザータッチ
●フルオートシャットオフ
●ノーマル、クローム、メタルの3段切換
●10曲飛び越し選曲
●FMワイドバンド(76〜108MHz)
●モノ、ステレオ、ステレオワイドの3段切換
●ラウドネス回路内蔵
●ダブルミキシング
●レコードプレーヤー接続可
●出力20W(10W+10W)EIAJ DC
●スピーカー(18cm+5cm)×2
●電源:DC15V、AC100V
●外形寸法:幅600×高さ350×奥行160mm
●重量:9.1kg(乾電池含む)

けんぱん様のご意見
デッキのNR戦争華やかりし頃、ラジカセもSONYのZILBAPに始まる大型化、多機能化競争が盛んでした。
ダイヤトーンやデンオン・ブランドのラジカセまで登場してファンを嘆かせた一方、東芝もラジカセにadresを搭載する暴挙に出ました。
写真はその第1号「ボムビート・adres」です。
ドルビーC搭載ラジカセは、ずっと後年の松下のCDラジカセが初めてだったと思いますが、ソニーあたりにあったような気もして、自信ありません。
radio cassette
時代の徒花として散ったadresでしたが、なんと第2,第3のラジカセまでありました。
その名は「MacKenzie」。
カタログ上の占有面積があまりに大きかったので表紙写真にとどめますが、Wカセット機とグライコ搭載機(たった4バンドでグライコを標榜するなんてあんまりだと思ふ)。
この粗い写真から、前面の自慢げなadres表示が見えますでしょうか。

proto type
第25回全日本オーディオ・フェアに出品されたオーレックスのPC-300X。
「自動ダイナミックレンジ拡大システム」という触れ込みであった。

(6)super−D
三洋が開発、オットー(三洋のオーディオ専用ブランド)のみ採用。
下の写真は貴重なsuperDデッキ。
これも圧縮伸張方式のNRで雑誌評価は高かったが、もちろんマイナーなままだった。

super-D

●三洋のスーパーDの広告より

スーパーDデッキは違います。
音楽信号を対数値で1/2に圧縮して、カセットの小さな器の中にも十分に納まるような型に変換した上で録音し、再生時には逆に2倍に伸張して元の音楽信号を再現しますから、むしろ余裕たっぷり。
実験的に、少々乱暴なレベル設定を行ったとしても、大体はきちんと録音/再生できるはずです。
逆に言えば、録音レベルを正しく設定すれば、相当大きな音から、極端に小さな音まで、しっかりと録音できるわけで、たとえばコンサートでの生録に使用したとしても、音楽はテープノイズやクリッピング歪に無縁。
これがダイナミックレンジ110dBの威力、2:1という大きな圧縮伸張比を持つことの最大のメリットです。
またノイズリダクション効果においてもすばらしい性能を持ちます。
再生時に音楽信号を伸張するのと同時にノイズレベルも押し下げてしまうのですから、この点でも、圧縮比が大きい方が、より多くのノイズリダクション効果が得られます。
ちなみにスーパーDデッキのSN比は100dB。
まさに無音から音楽が飛び出してくる、という感じです。
さらに、単に高域だけでなく、全帯域でノイズレベルが下がるので、聴感上は気にならないながらも音質には悪影響を及ぼす中低域のテープノイズも、きれいさっぱりと低減。
全帯域で、音の透明感も増してきます。
また一方で、とかくこうした圧縮伸張システムで問題とされがちなブリージングノイズも、帯域の2分割処理で、音楽によってマスキングすることに成功。
よほど意地悪く、何とかして聞き取ろうとでもしない限り、問題とならない次元まで解決しています。
相補型全帯域直線圧伸方式で(たとえ録<->再時のレベルのミスマッチングがあったとしても)音質劣化の心配は必要ないスーパーDデッキ。
その素晴らしい広ダイナミックレンジのカセットサウンドは、実際の録/再を通じて比較試聴していただけば、どなたにでもおわかりいただけるはずです。
お近くのオーディオショップでぜひ一度、どうぞ!

OTTO NRA-5500 \59,800(79/8)
super-D
ステレオ芸術79年8月号に記事が載っていた。
スーパーDの特色は(1)ダイナミックレンジが100dB(2)ノイズは100分の1という点である。
スーパーDの動作は以下の通り
 (1)機械に入ってきた信号を4800Hzを中心にして低域と高域の二つの信号に分ける。
 (2)低域、高域それぞれを2分の1に圧縮する。
 (3)それをまた合成してテープレコーダーへと送る。
再生時はこの逆で圧縮信号を高域と低域に分け、それぞれを伸張させてからまた合成する。
このNRA-5500は録音と再生専用のプロセッサーを内蔵、3ヘッド機に対応していた。


【ホームビデオに採用された音声系のノイズリダクション】

 ベータハイファイ以前のベータ方式ノーマル音声ステレオビデオには、ベータノイズリダクションという圧縮伸張タイプのノイズリダクションが装備されていた。
 当時のベータグループにadresを擁する東芝、super-Dの三洋がいたので、圧縮伸張タイプの独自NRになったのであると考えられる。
 ベータNRオンで録音したテープをベータNR無しの機種で聞くと、ふにゃふにゃの変な音になっていたという。
 一部マニアはadresユニットを改造して外付けユニットを介して音声を聞いている涙ぐましい努力をしているという。
 ベータNRは高域で20dB以上のノイズ改善効果があったらしい。

 ベータハイファイ音声でも何かしらノイズリダクションが使われているようだが、独自開発のNRといった程度しか情報が無い。

 VHSのノーマル音声ステレオビデオにはドルビーNR-Bタイプが使われていた。
 ドルビーであれば、NR無しの機種で音を聞いても多少高音が上がりぎみになるだけで問題無く聞くことができた。
 いや、むしろ高域が出ないだけに、ドルビーオンで録画して、ドルビーオフで再生した方が良く聞こえるのかもしれない。

 VHSハイファイの松下製1号機にはdbxが使用されていた。
 ライセンスの関係でVHSグループ他社から猛反発を食らったのか、2号機以降はVHSグループ共同開発の独自NRに変わった。

 8ミリビデオのAFM音声にもNRが使われているらしい。
 ドルビー方式ではないようだが、これもまた独自方式のNRらしいということしかわからない。

 レーザーディスクのノーマル音声(FM音声)にもCXノイズリダクションというちょっと変わったNRがついている。
 -28dB以上のレベルの音声を無理矢理2:1に圧縮して記録し、伸張して再生するものであった。
 発売当初はNRのonは手動だったが、いつしか自動でNRがonになるようになった。
 私が所有しているクイーンのGratest HitsのLD(初期型)はノーマル音声のみでデジタル音声は入っておらず、かつ手動でCXノイズリダクションを切り替えるものである。
 たぶんVHDもFM音声だっただけになんらかのNRが使用されていたと思うが、こちらはまったくわからない。
 何かご存知の方はWeb Masterまでお知らせください。


【その他の情報】

 dbxとadresに関しては、それぞれ「disc position」なるものがあり、ユニットとして使用できた。
 ユニット使用すると外部入力の音声をそれぞれの伸張処理を行って再生するものである。
 dbxとadresでエンコードされたソフトウェアも存在していた。
 いずれもディスク(レコード)とテープが発売されていたという。
 テープはそのまま再生すればよいが、レコードの場合はNRユニット付属の基準レコードでレベルを調整してあとはレコードプレーヤーで普通に演奏するが、聞くのはNRユニットを通してというものだった。
 レコードアウトセレクター装備のまともなステレオアンプを使用しないと再生できないものであった。

 adresレコードに関しては、確かに東芝EMIから以下の3枚が発売されていた。

ムーティ/春の祭典:EALF-32001 \3,200
ロジェー・ワーグナー合唱団/イン・デジタル:EWLF-32002 \3,200
テイク・マイ・ラブ/ナンシー・ウィルソン:ECLF-32003 \3,200

 さらにadresミュージックカセットも発売されていた。

アリス・ベスト1:ZT30-747 \3,000
アリス・ベスト2:ZT30-748 \3,000
甲斐バンド・ベスト:ZT30-749 \3,000
松任谷由実・ベスト:ZT30-663 \3,000
他全11巻もあったそうな

けんぱん様御提供の資料でアドレスミュージックカセットの広告がありました。
adres soft

【けんぱん様のご意見】
adresエンコーデッドのMテープもありました。
東芝EMIにはユーミン、オフコース等がいるあたり、高田みづえや石原裕次郎のマイクロカセットMテープより期待できたのですが、この意見には異論もあるでしょう。

 dbxレコードに関しては、テクニクスのカタログにはそのようなレコードが発売中である旨が記載されていたのだが、具体的なタイトルや型番などはなく、本当に発売されていたのかどうかは私の長年の疑問であった。
 しかし、このたび神奈川県の加藤様から情報があり、長年の疑問が解決した。
dbx-disc


【新聞記事】

アイワ、西独テレフンケン社からテープの雑音低減装置技術を導入

 79年12月25日 日経産業新聞

 アイワはこのほど西独のテレフンケン社と、カセットテープデッキと接続すること により、カセットテープ特有の雑音を低減させるノイズリダクション(雑音低減)シ ステムの技術導入契約を結び、来春をめどに雑音低減アダプタを商品化する方針を固 めた。
 わが国メーカーでは、テープデッキの専業メーカー、ナカミチが既にテレフンケン 社のシステムの採用を決め、商品化している。

アイワ、ハイコム方式採用のカセットテープ雑音低減システム「HR−7」発売。

 80年6月3日 日経産業新聞

 アイワは、ハイコム方式による雑音低減(ノイズリダクション)システム「HR− 7」をこのほど発売した。
 同社が採用したハイコム方式は西独テレフンケン社の「TELCOM・C−4」を 基本にし、これを民生用に改善したもの。
 価格は1台3万5000円。
 同社は、欧州ではよく知られた方式で採用しているメーカーも多いとし、新製品に 期待している。

各社のNRユニット 1982年現在

●dbx MODEL21 \19,800(dbx)
モデル21は、dbxエンコーデッドディスク&テープの持つまったくの静寂の中からいパワー感や絶妙のピアニシモ、そして、原音の広大なダイナミックレンジを最も手軽に味わうことを可能にした、再生専用デコーダーです。

●ナカミチ NR−100 \29,800(Dolby-C)
1000ZXL、700ZXL、700ZXE専用のドルビーCタイプNRプロセッサです。
デッキ本体に接続するだけで、一切のキャリブレーションなしにドルビーCタイプNRが使用できます。

●ソニー NR−500 \29,800(Dolby-C)
ドルビーCのNRシステム。
ノイズ低減効果は、50kHzの帯域で20dB、ドルビーBタイプの2倍のノイズ低減、アンチサチュレーションネットワークの採用、スペクトラル・スキューイング回路、400Hzの発振器を内蔵。

●アイワ HR−7 \35,000(high-com)
西独テレフンケン社のプロ用NRシステムをベースに民生用に開発されたNRシステム。
全帯域にわたってノイズを低減。
しかも音質変化を極力抑えた高性能設計。

●dbx MODEL222/222S \39,800(dbx)
モデル224の性能をそのまま受け継ぎながら、エンコーダ/デコーダをスイッチ切り換え式にしたdbx方式のNRシステム。
全帯域30dB以上のNR効果とテープのDレンジを110dB以上に拡大します。
222Sはシルバーパネルタイプ。

●ニッコー NAD−1 \39,800(adres)
カセットテープの欠点であるダイナミックレンジを100dBに実現するとともに、SN比を10kHzで35dBの改善となり、2トラ38と同等の値を示し、カセットデッキの概念を打ち破る特性である。

●テクニクス(松下) RP−9022 \39,800(dbx)
ダイナミックレンジ110dB、SN比改善量30dB以上を実現したdbxノイズリダクションユニット。
dbxエンコーデッドディスクが再生できるdiscポジション装備。

●ビクター NR−50 \39,800(superANRS/Dolby-C)
スイッチ切り換えでドルビーC、ANRS/ドルビーB、加えてsuperANRSの3タイプのNRに対応できます。
システムを正確に動作させるためのキャリブレーション発振器、再生キャリブレーションボリュームも装備の高性能機。

●オーレックス(東芝) AD−2MK2 \40,000(adres)
スクラッチノイズがほとんどないディスクレコードが楽しめます。
アドレス録音時のレベル監視ができるインジケーター。
音量合わせができる出力ボリューム。
使いやすいCALVOL。

●オットー(三洋) \42,000(super-D)
帯域分割型レベル圧縮伸張方式を採用しているため、圧縮伸張方式で問題になりがちなブリージングノイズも大幅に改善され、まったく問題にならないほどです。さらにマイクアンプ内蔵で、生録音には最適です。

●オーレックス(東芝) AD−4MK2 \58,000(adres)
アドレスを4回路内蔵しているため3ヘッドデッキとの組み合わせで同時モニター可能。
また、アドレス回路を通さずデッキからデッキへダイレクトに相互ダビングができます。
アドレスレコードが楽しめるディスクポジション付き。

●dbx MODEL224/224S \59,000(dbx)
正確なリニア圧縮・伸張によるdbx方式NRシステム。
高性能IC採用で音質重視設計。
エンコーダ/デコーダ独立回路で3ヘッドデッキによる同時モニタやdbxエンコーデッドディスク・テープの再生も可能。
Sはシルバータイプ。

●テクニクス(松下) RP−9024 \59,000(dbx)
ダイナミックレンジ110dB、SN比改善量30dB以上を実現したdbxノイズリダクションユニット。
3ヘッドデッキでの同時モニターが可能な4プロセッサータイプ。

●ナカミチ NR−200 \59,800(high-com)
音質の変化、ブリージングノイズを生じることなく、2kHz〜8kHzの高音域で20dBのノイズ低減を実現。
この結果、ワイドなダイナミックレンジを再現できます。

●オットー(三洋) NRA−5500 \59,800(super-D)
1:2の直線圧縮伸張方式と位相補型帯域分割方式を採用し、ダイナミックレンジ拡大とノイズレベルの低減を実現します。
テープ種類別の調整不要。
3ヘッドデッキでの録音モニター可能。

●ナカミチ High-Com2 \69,800(high-com)
周波数帯域を2分割し、ノイズの低減はもとより、それに伴う副作用ともいえる音色の変質を最小限に抑えた最新のノイズリダクションシステム。
特に音の立ち上がりに対して最適な回路動作速度をもっています。

●フォステクス 3040 \75,000(Dolby-C)
パーソナルスタジオ用に設計されたドルビーCノイズリダクションユニット。
Cタイプは20dBのNR効果が得られます。
Bタイプより動作が2オクターブ広く、全帯域のノイズバランスを確保、動作に伴う副作用もなく、効果は自然です。

●ローディ(日立) HCP−1000 \79,800(?)
82年の時点で製造中止だそうです。

●dbx MODEL228 \88,000(dbx)
最新の高性能ICの採用などにより、録音同時モニタ可能なノイズリダクションと1バンドダイナミックレンジエキスパンダをスリムなボディの中に見事に一つにまとめて、多角的な使用を可能にした期待の製品です。

●ティアック DX−2A(B) \98,000(dbx)
アメリカで開発されたdbxシステムはテープデッキのダイナミックレンジを驚異的に拡大する装置。
入力レベル、テープの録音感度差による周波数変化(音質の変化)は原理的にまったくありません。
圧縮率1:2。

●ティアック RX−8C(B) \98,000(dbx)
解説文が上のとまったく同じ。

●ティアック RX−15 \100,000(dbx)
これも解説文が上のとまったく同じ。単なる手抜きか。

●dbx MODEL128 \135,000(dbx)
モデル128はモデル118と同構成のリニアダイナミックレンジエンハンサとモデル122と同構成のノイズリダクションシステムをひとまとめにしたものです。
2つの機能を組み合わせることにより幅広いニーズに対応することができます。

●タスカム(ティアック) DX−34 \135,000(dbx)
これも上の方のやつと同じ。

●タスカム(ティアック) DX−8 \200,000(dbx)
これも解説文は手抜き。


【現在の筆者】 01/03/18現在

 よくノイズリダクションは「必要悪」といわれている。
 テープのノイズを減らすためにしかたがないとはいえ、元の音楽信号に手を加えるのだから、あまり愉快なものではないに違いない。
 97年現在、筆者はカセットテープに録音するときはいっさいノイズリダクションシステムを使用していない。
 今のカセットテープはノイズは少ないし、それよりもデッキ間のNRの互換の無さがいやだからだ。
 おなじドルビーNRといっても機種によって、極端に言えば自己録再以外のNRの互換は期待しない方がいいのである。
 特に安物のデッキはその傾向が強い。
 なお、これは筆者所有のティアックV-970Xが互換が悪いというわけではない。
 このデッキの名誉のために書いておくと、V-970Xで録音するとカセットテープとは思えないほどの音であり、ドルビーBタイプNRの互換もソニーWalkmanとの間ではまったく問題無い。
 現在、私がカセットテープを聴くのはもっぱら通勤時間で、電車の中など騒音だらけのところである。
 そうなるとテープそのもののノイズなど、聴こうと思っても聴けないので、よけいなNR回路など通さない方が素直な音になるのである。
 ちなみに97年現在のカセットテープで、いい音だと私が感じて推薦できるのはソニーのMETAL-ES、マクセルの響シリーズ(Type-1/2とも)である。
 しかし、maxellは98年いっぱいで高級カセットテープの生産を打ち切った。
 現在ではXLシリーズも響きシリーズも無い。
 TDKはmaxellよりも早々と高級カセットテープの生産を中止している。
 残る高級カセットテープはソニーのESシリーズとアクシアのKシリーズのみ。
 この二つの種類は安心して使うことができる。
 はたしていつまで入手することができるだろうか?
 2001年現在、アクシアのKシリーズも投げ売りが始まった。
 完全に市場から姿を消すのも時間の問題である。
 もはやテープデッキによるハイファイ録音はあきらめたほうがよさそうである。
 ソニーのスーパーメタルマスターテープも消えた。
 一時期、狂ったようにテープのノイズを減らそうとメーカーが努力したのは遠い昔の出来事になってしまった。

前のページに戻る

誤記、新情報などありましたら Web Master まで

現在もご使用中の方、感想をお知らせください。