ディジタル・オーディオ・ディスク

最終更新日1998年8月15日


【情報御提供は及川様です】

ディジタルオーディオディスクの歩み

1977年秋 ソニーをはじめとする三つのグループが相次いでビデオディスクを応用したディジタル・オーディオ・ディスクを開発したとの発表を行いました。
いずれもビデオディスクをそのまま用いたため、直径30cmの円盤とビデオディスクプレーヤを用いていました。
二つのグループ(三菱−ティアック)及び(日立−日本コロムビア)がビデオフォーマットをそのまま用いて30分の演奏が可能だったのに対してソニーの試作機は現在のディジタルオーディオディスクの原型ともいえる直接記録方式と誤り訂正を用いて60分の演奏時間を達成していたため注目を集めました。

翌年(1978)3月、光学式ビデオディスクの総本山であるフィリップス社は直径11.5cmの円盤で1時間の演奏時間を有するコンパクトディスクの商品コンセプトを発表した。
これはビデオディスクと同じ記録波長を用いればこの程度まで行くという理論的な背景はありましたが、むしろ技術的な側面よりも、自動車のダッシュボードに収まる大きさで実現し、用途を広げるといった商品としての新規性が大いに注目されました。
これを一歩現実に近づけたのがソニーであり、1978年の秋には高密度かが可能な変調方式3PMや誤り訂正符号(CIRC=クロスインターリーブリードソロモンコード)を備え直径30cmながら2時間30分という長時間演奏が可能なディスクシステムを発表しました。

かくしてソニーの信号処理技術とフィリップスの商品コンセプト、ならびにディスクやプレーヤの技術が結び合わされ、コンパクトディスクの完成に向かってまっしぐらに開発が進行しました。
これとは別に日本ビクター(JVC)は静電容量方式のビデオディスク(VHD)とプレーヤが共通に使えるディジタル・オーディオ・ディスクを開発し1980年に発表しました。
またテレフンケンとテルデックはTED方式のビデオディスクと同様に圧電ピックアップを用いた小型のディジタルオーディオディスクMDおよびMicrodiscを提案しました。


方式名称 コンパクトディスク ミニディスク マイクロディスク
略称  CD   AHD  MD   MD
提案会社ソニー・フィリップス 日本ビクターテレフンケン・テルデック テレフンケン・テルデック
オーディオ特性
チャンネル数   2 2,3,4    2   2
周波数特性2020,000Hz 222,000Hz 2020,000Hz 2020,000Hz
ダイナミックレンジ  >90dB >90dB  >85dB >85dB
 ひずみ率<0.05% <0.05%<0.05% <0.05%
ワウ・フラッタ 水晶精度  水晶精度 水晶精度  水晶精度
演奏時間(分)60〜(75)    60    60    10
カッティング方式   光学式  光学式   機械式  機械式
ディスク製造方法コンプレッションモールド コンプレッションモールドコンプレッションモールド コンプレッションモールド
インジェクションモールド
再生方式   光学式 静電容量方式 圧電式(機械式) 圧電式(機械式)
ディスク仕様
外経(mm   120 260.0   135  75
穴経(mm    15   38.2 8(コニカルリング22) 8(コニカルリング22)
ディスク (mm)   1.2  1.2   1.6  1.6
信号面外経 116mm(MAX  224mm 132mm   75mm
信号面内径   50mm 98.2mm   60mm   60mm
プログラムスタート    内周    外周    外周    外周
回転方向(下)   反時計    時計    時計    時計
回転速度*=CLV 1.21.4m/s*   900rpm   250rpm   250rpm
回転方式   CLV  CAV   CAV  CAV
ピット寸法
深さ(μm)  0.11   −
長さ(μm)  0.93.2    −
(μm)  0.50   −
トラックピッチ(μm)   1.6 1.35   2.4  2.4
トラッキング方法  溝なし   溝なし 台形案内溝  台形案内溝
 両面仕様オプション(張り)   標準  標準   標準
ディスク構造素材 透明物質 誘電静PVC  PVC   PVC
 ディスク処理反射膜+コート   なし   −    −
収納ケース  なし 324×267×7 144×150×8 84×120×8
  記録密度
ビット長(μm)   0.59 0.75(内周) 0.43(内周) 0.43(内周)
 − 1.87(外周) 0.97(外周) 0.97(外周)
線密度(Kbpi   43.0 33.7(内周) 58.9(内周) 58.9(内周)
13.6(外周) 26.2(外周) 26.2(外周)
面密度(Mbpi   683  364   390  390
 (854)    −
 信号フォーマット
fs=(KHz)  44.1 47.25  48.0 48.0
  量子化 16ビット直線 16ビット直線  14ビット 14ビット
チャンネルビットレート 4.3218(Mb/s)    −   −    −
データビットレート 2.0338(Mb/s) 6.1425(Mb/s) 1.824(Mb/s) 1.824(Mb/s)
データ/チャンネル比  8/17   −   1/2  1/2
 変調方式  EFM MFM−FM   IDM  IDM
エンファシス(μm) T1=50 T2=15    なし T1=50 T2=15 T1=50 T2=15
  訂正方式  CIRC クロスインターリーブ 単一消失訂正 単一消失訂正
 誤り冗長度 25.0%  46.2% 25.0%  25.0%


おまけ情報

テレフンケンのMDはカッティング速度を再生の1/25速で行い、もし、カッティング時の削りかすが一カ所でも切れるとその原盤は不良になります。

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