VHDビデオディスクプレーヤーの部屋
最終更新日1999年1月31日
参考文献・コロナ社刊 ビデオディスクとDAD入門
【概要】
日本ビクターが開発した方式(Video High-density Disc System)。
CED方式と同様、針でトレースする方式だが、ディスクに案内溝が無い点が特徴である。
ディスク直径は30cmで、片面60分の再生が可能であった。
映像と音声の信号はディスクの外周から内周にかけて渦巻状に記録される。
トラックの幅は1.35マイクロメートルで、トラックは隣接して配置されている。
ただ、トラック境界には補助ビット列があり、針が正確にトラックをトレースするためのトラッキング信号が記録されている。
信号の再生はビットの有無により、ディスクと針先の電極部に生じる静電容量の変化を読み取って行われる。
レーザーディスク方式との最大の違いは、ディスクがケースに収められている点である。
ケースごとプレーヤーに差し込むと、ディスクのみプレーヤーに残ってターンテーブルにセットされる。
VHD方式は案内溝が無く、定速回転のため、レーザー方式のCAV同様、多彩なトリックプレーやランダムアクセスが可能である。
ただし、1トラックに2フレームが記録されているため、動きの早い映像を静止させた場合は完全な静止画にならないという間抜けな点があった。
水平解像度はノーマルVHSと同じ240本程度。
音声もFM変調なのでハイファイビデオと何らスペックは変わらないというものだった。
日本では1982年4月に販売が予定されていたが、結局1年間先に延びてしまった。
この出だしのつまずきが最後までVHD方式のイメージの悪さを引きずってしまったものだと思う。
ファミリー作りにはビクターも熱心で、日本ビクター、松下電器、三洋、シャープ、三菱、東芝、NEC、ゼネラル、ヤマハ、ケンウッド、赤井、サンスイ、オーディオテクニカと13社を抱き込むことに成功した。
発売当初はけっこう反響はあったようだが、不況の真っ最中でもあり、あまり一般家庭に浸透しないまま時代が流れていった。
パイオニアの孤軍奮闘に様子眺めの模様だったソニー、日立らがLD方式に加担するに連れてVHD陣営は旗色が悪くなり、とうとうヤマハがVHDプレーヤーを未発売のままいきなりLD方式プレーヤーを発売するに当たってVHDファミリーは崩壊した。
この間、ソニー系のアイワがひっそりVHD陣営に加わり、シャープからのOEMでプレーヤーを発売していたことはあまり知られていない。
アイワってベータ方式VTRとVHD方式VDと、ビデオ系規格で常に旗色の悪い方に参画したなかなかいい奴なのかもしれない。(^_^;)
晩年のVHDではQX方式と称して水平解像度を400本にしたHD-V1(\119,800)を発売したが、対応ソフトが一枚も発売されずに消えた。
愛知県宮下様御提供のサウンドレコパル1988年6月号にもビデオディスクが載っているが、すでにLDのことしか話題にしていない。
ひょっとするとこれがVHDの最後の記事かもしれない。(^_^;)
広島県在住の伊藤様より送っていただいた資料でビデオSALON1989年10月号にVHD特集があったのでご紹介しましょう。
ビデオSALON 1980年10月号 VHD特集
VICTOR HD-7800 \153,000(83/4)
ビクターの一号機。
GENERAL VK-200 \148,000(83/4)
ゼネラルの一号機。
SANYO VDS-09 \148,000(83/4)
三洋の一号機。
MITSUBISHI VDP-300 \109,800(86/3)
シャープからのOEMだったと記憶している。
ちなみにOEMとはOriginal Equipment Manufacturingである。
VHDの立体映像システム(写真工業1986年6月号の記事より)
従来のビデオディスクと互換性を保ち、立体映像の再生を可能とするシステムが日本ビクターより開発された。
この立体ビデオディスク(3D VHD)システムでは、VHDプレーヤー(インターラクティブ対応型)と家庭用テレビにアダプター、新開発3Dメガネを用いて、迫力ある立体映像とサラウンドサウンドにより、リアルな臨場感を楽しむことができる。
両眼視差の原理を応用し、人間の両眼に相当する左目用カメラと右目用カメラで同時に撮影したものを、VHDシステムの特長であるエキストラフォーマットの原理を用いた左目用映像と右目用映像として交互にディスクに記録する。
この記録されたディスクの再生映像を、3Dメガネによって左目用映像と右目用映像を交互に連続してみることにより、立体視することができる。
また、新開発の3Dディスク技術で、両面60分の立体映像音響が楽しめ、従来のVHDプレーヤーで再生して普通の映像音声として楽しめる。
家庭で楽しむためのシステムとしては、従来のテレビとVHDプレーヤーに低価格のアダプター、3Dメガネ。
また業務用システムは、従来のテレビおよびプロジェクションテレビ、アダプター、3Dフィルターで、より鮮明で大画面の迫力ある立体映像を楽しめる。
また、この日本ビクターについで、松下電器産業とシャープも開発を発表しており、いずれも今秋に発売を予定している。
AVライフにまた一つ楽しみが増えそうだ。
【筆者より】
この記事より、どうやら長年の疑問だった3D-VHDの発売時期が明らかになった。
1986年10月が発売時期だったらしい。
立体ビデオディスク。87/5のカタログより。
めがねをかけた姿は↓こうなる。
けっこう間抜けである。
他にMSXパソコンと組み合わせたVHDpcというのもやっていた。87/5のカタログより。
世界中の家電メーカーが振り回されたMSX。
こんな時代があったと妙に懐かしく感じる。
もうひとつ、時代を感じるAHD。87/5のカタログより。
すでにコンパクトディスクが普及していた87年にこんなものを買う奴は皆無だった。
キョンキョンの愛称で知られる小泉今日子さんもアイドル時代にVHDを宣伝していた。
レコード会社がビクター音楽産業だったからだろう。
小泉今日子といえばCMの女王と呼ばれ、その宣伝する商品はよく売れた。
しかし、彼女をもってしてもVHDは売れなかった。(^_^;)
VHDってあの手この手といろいろな戦略はとったが、どれもぱっとせず、しまいには身内から裏切り(ヤマハのLD参入)が出て消えていった。
まるでかつての国際プロレスのようである。(^_^;)
こんなマイナーな例を挙げてもわかる人はほとんどいないと思うが。(^_^;)
NECのLDプレーヤーとVHDプレーヤー。
パイオニアからとビクターからのOEM。
併売時代の珍しい広告。
さあ、VHDはどうして消えたのか?
リアルが好き様の投稿を見てみよう。
及川様の入魂の投稿も見てみよう。
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