PCMプロセッサの部屋

最終更新日2001年03月18日


【概要】

 PCMプロセッサとはPCMテープシステムの一部である。
 アナログテープオーディオからデジタルテープオーディオへの過度期に生まれた規格である。
 PCMとはPulse Code Modulationの略語である。
 1972年、コロムビアからデジタルレコーダーが登場したとされているが、資料がないので、詳細はわからない。

 ソニーも 74年から1/2インチオープンリールテープを使用したPCMレコーダーを発表したという。これも資料がないので詳細不明。
 これらもPCMテープシステムであろうが、ここで扱うのは家庭用ビデオと組み合わせて使うPCMプロセッサに限ることにする。
 当時はまだ信号圧縮技術が十分なものではなかったため、デジタル記録には膨大な周波数領域が必要であった。
 すでに録音機の主流になっていたコンパクトカセットテープではデジタル記録には力不足で、オープンリールテープでもまだ能力が不足していた。
 そこで目をつけられたのが、すでに普及しつつあった家庭用ビデオデッキ。
 ビデオの広大な周波数記録能力を使えば、デジタル記録は可能ではないか と、いうわけで担ぎ出されたのが家庭用ビデオと組み合わせるPCMプロセッサなのである。
 PCMプロセッサはデジタル変換したオーディオ信号をNTSCレベルのテレビ信号に置き換え、ビデオデッキの映像トラックに録再するものであった。
 世界初のPCMプロセッサはソニーのPCM−1で1977年に発売されている。
PCM-1
 値段は48万円もしたらしい。
 このマシンのサンプリング周波数は44.056kHz、量子化は3折線量子化13ビットだったという。
 まだEIAJ(日本電子機械工業会)による規格化がされていなかったのでソニーのみの独自規格だった。
 79年にはソニーは第二世代のPCM−10というモデルを発売している。
 価格はなぜか1号機よりも高く、70万円もしている。

 81年頃からEIAJで正式に規格化され、各社からPCMプロセッサも発売されてきた。
 しかしその後、回転ヘッドを用いるデジタルオーディオデッキではDATが実用化され、PCMプロセッサ+VTRを用いる面倒なデジタルオーディオはあっというまにすたれてしまった。

 変わり種としては8ミリビデオのPCM規格がある。
 これは音声トラックにあらかじめ8ビットのデジタル録音用のトラックが用意されているもので、映像トラックも分割してPCMトラックとして用いることが可能で、その場合、120分テープでLPモードも併用すれば24時間録音が可能である。
 そのフォーマットはDAT読本によるとサンプリング周波数は31.5kHz、量子化8ビット非直線。
 筆者所有の東芝E-800BSという8ミリデッキにはこの24時間マルチPCM録音機能がついているが、一度も使ったことはない。

 現在のデジタルオーディオの主流サンプリング周波数は44.1kHzになっているが、この周波数に決定した理由はNTSC方式のビデオを用いるPCMプロセッサが先に実用化されたからである。
 具体的には可聴帯域20kHzまでの再生を考えるのであれば、その倍の40kHzのサンプリング周波数であれば事足りるのであるが、NTSCビデオの周波数に合わせるにはもう少し高い44.1kHzが計算上都合よいのでこの周波数になったというものである。
 ただビデオへ録画(録音)する場合はNTSC規格の制限で44.056kHzに変わってしまっていますが......
 なお、周波数計算の話はデジタル理論を論じた本に載っていますので参照してください。(難しい話はお金を出して専門書を買おう)

プロの現場
デンオンPCMデジタル録音機

【PCMプロセッサの仕様】

 PCMプロセッサタイプがすたれた原因は、その後に出てきたデジタルオーディオ機 器との信号互換がまったく無かった点もひとつであろう。
 CDからのデジタルダビングはもちろん不可。BSやCS放送からのデジタル録音もできない。
 ただし、PCMプロセッサ同士のデジタルダビングはSCMS(Serial Copy Management System)など無いので無制限にできるというメリットはある。

スペックPCMプロセッサDAT
信号形式NTSC TV方式準拠回転ヘリカルスキャン
量子化数16/14(EIAJ標準)16/12(32kHz)
チャンネル数2/4
標本化周波数44.056kHz(NTSC)/44.1kHz(CCIR)48kHz/44.1kHz/32kHz
周波数特性10Hz-20kHz±0.5dB5Hz-22kHz(48kHz)/5Hz-20kHz(44.1kHz)/5Hz-14.5kHz(32kHz)

【各社の製品】

(株)音楽之友社ステレオ82年5月号の特集に集められたPCMプロセッサ

●ソニー:PCM−F1 \250,000
PCM-F1

EIAJ標準だけでなく独自の16ビットフォーマットを持っていた。ポータブル型。
ベータマックスSL-F1と組むとこのようになる。
PCM SET

●オーレックス(東芝):XD−60 \280,000
XD-60

ポータブル型。

●オーレックス(東芝):XD−80 \280,000
XD-80

コンポ型。
デジタルダビング中にアナログ入力のサウンドをミキシングできる。

●ローディ(日立):PCM−V300 \498,000
PCM-V300

VHS-VTR一体型。
ビデオとしても使える。3倍モードもついている。

●テクニクス(松下):SV−P100 \600,000
SV-P100

VHS-VTR一体型。
ただし、ビデオとしては使えない。標準モード専用。

SV-P100 資料提供はQUAD66様です

83年1月のカタログより。
ハイクォリティなデジタル録音・再生が手軽に楽しめます。
●SV-P100は、テクニクス先進の半導体技術と精密VHSメカニズムを一体化。
 カセットデッキを扱う手軽さでハイクォリティなデジタル録音・再生が手軽に行えます。
●PCMデジタル信号処理は、2つの大集積LSIがコントロール。
 この2つのLSIは、汎用ロジックIC200個分に相当する高集積度で信頼性を向上させています。
●A/DコンバータMA6193、D/AコンバータMD6192という高性能14ビット直線ICを開発・採用。
 またA/D、D/Aコンバータの周辺ロジック回路は、ゲート数1000の高集積バイポーラLSI AN6860を採用しています。
●再生不要部分を飛び越すジャンプ機能装備。
 録音したテープの不要部分を8倍速で早送りし、その部分を飛び越してしまう簡易編集機能で、CMの部分カットに便利です。
●テープの任意位置を探し出すサーチ機能を装備。
●任意のカウンターナンバーで頭出しメモリーが出きるロケート機能装備。
●rewind-play予約機能装備。
●8倍速のキュー&レビューコントロールが可能。
形式:デジタルオーディオカセットレコーダ
PCM規格:EIAJステレオ技術委員会・ビデオ技術委員会ファイルSTC-007”民生用PCMエンコーダ・デコーダ”による
量子化:14ビット直線
復号化:14ビット直線
使用テープ:VHS規格ビデオカセット
テープ記録方式:NTSC TV信号化したPCM信号をVHS規格に基づいて記録
録音時間:最大2時間40分(NV-T160ビデオカセット使用)
オーディオチャンネル数:2チャンネル(L、Rステレオ)
周波数特性:2Hz-20kHz(±0.5dB)
高調波歪率:0.01%以下(1kHz,0dB)
ダイナミックレンジ:85dB以上
消費電力:80W
外形寸法:幅430×高さ278×奥行346mm
重量:21kg


Technices SM-100 資料提供はQUAD66様です。
世界最軽量・コンパクト設計デジタルオーディオプロセッサ

Technices SM-100 \148,000(83/01)

●SV-P100は、録音・再生制御のために3種類の大規模LSIを開発・採用し、小型・軽量かを追求。
 極めて優れた性能を本体重量2.9kgのボディに凝縮しています。
 お手持ちのVTRと組み合わせれば、ハイクォリティなデジタル録音・再生が行えます。
●A/D変換、D/A変換両用として、複合型A/D・D/AコンバータMA6196を採用。
 また、録音/再生制御用LSIにも、新開発MN6603を採用し、性能・信頼性ともに極めて高いものにしています。
●室内/屋外/車内での使用に対応する3電源方式採用。
 家庭用AC電源で使用する際は、付属のACパワーユニットを使用。
 また、屋外用電源には、別売バッテリーパック(VW-VB10)をご使用いただけます。
●録音レベル設定には、オートリセット方式ピークホールド機構を装備。
 表示範囲は、-50〜+6dBというワイドレンジです。


オーディオアクセサリー特別増刊 デジタルサウンド1986-1-10より

●アイワ:PCM−800 \85,800

PCM-800
PCMならではの爽快感 よく小型にまとめてある

華やかで輝かしい高域が、ソフトタッチな低域に乗るというイメージのサウンドは、ちょうど同社のカセットデッキなどで聞けるキャラクターに一脈通ずるものを感じさせる。
さすがにアイワの製品らしいところで、軽快にジャズが進行する。
演奏のエネルギーをストレートに伝えるというより、軽いタッチで、ムードっぽく薄化粧して聴かせる傾向といえようか。
しかし、透明感の高さと、シンバルやピアノのアタックの明確な立ち上がりの再現は、やはりPCMならでは。
スカッと伸びやかな感覚もあり、ソフトネスの中に爽快感も味わえるサウンドといえよう。
小型によくまとめられた製品だ。

●ソニー:PCM−HF10 \238,000

1/2インチDAT 一台でビデオもPCMも

EIAJ14ビットのPCMプロセッサ内蔵のユニークなVTR。
話題の焦点R-DATの基本機能を持つともいえる製品で、VTRを持っていないがPCM録音を手軽に楽しみたいというマニアには狙い目のVTRだ。
しっかりした音というイメージのサウンドが印象的。
中域にエネルギーが集中している感じであり、ピアノやタムが実に腰のある音で再現される。
シンバルも、あの真鍮のコイルを叩いて伸ばした内盤状の感じがよく出てくる。
ベースも引き締まって力感豊か。
コリッと肉の締まった音という感じで、PCM-701ESに一脈通ずるところのある音でもある。
使い易くハイCPだ。

●ソニー:PCM−501ES \99,800

さすがの16ビットメカ 文句なくハイCP

一聴してfレンジ感の広さを感じさせられるサウンドだ。
全体のタッチは軽快だが、音の粒ひとつひとつがキュッと立っている。
従って、ピアノにしてもドラムスにしても、パルス性の音が気持ちよく立ち上がる。
ベースも力感あふれる表情だが、割とたっぷり鳴るところもある。
高域に多少華やかなにおいがあるが、それがシンバルの金属間やシズル的な細かい振動の再現をリアルなものにしている。
さすがに16ビットらしい、エッジの崩れを見せないサウンドは魅力にあふれ、デジタル収録らしい透明感の高さと繊細感十分な響きが味わえる。
少し華やかだが、伸びやか。
文句ないハイCPだ。

●サンスイ:PC−X11 \118,000

PC-X11

やわらかで厚みのある豊かなサウンドが魅力

やわらかくて厚みのあるサウンドは、どこか同社のアンプの音に通ずるところを感じさせる。
しかし中域から高域にかけては、軽くすっきりした表情もあり、全体的には厚い空気感が特徴的だが、決して重い音ではない。
アコースティックな感じのよく出たサウンドというイメージで、今までアナログ系の録音機しか扱ったことないというようなマニアにも、抵抗感なくなじめるのではなかろうか。
いわば低重心なサウンドで、ベースやバスドラム、フロアタムあたりが豊かに響く。
ピアノも箱型の楽器のイメージがよく出る。
2台のVTRの相互コピーが簡便など。
音も機能もユニークだ。

●ビクター:VP−100 \120,000

VP-100

華やかでのびのびと音を出してくる

明るいサウンドであり、どこか楽天的というか、のびのびとした音が印象的だ。
いくぶん色付けが濃いというか、味付けが濃いというところもあり、こころはいかにも同社のオーディオコンポーネントらしいところ。
中低域がたっぷり鳴り、中高域に独特な明るさが乗る。
シンバルのスティックワークでは華やかさが出るが、使用したエレクトロボイスのマイクの華やかさとは別の華やかさだ。
タムが太め、フロアタムやベースが大きめに再現されるあたりに特徴がある。
ピアノはスケール大で、明るく鳴る。
開放的に音が前に出てくる感覚は独特で、甘いタッチだがジャズを躍動的に聴かせてくれる。

●ソニー:PCM−553ESD \150,000

クリアでしなやか 充実した機能が魅力

家庭用の据置型PCMプロセッサの最高級機であり、かつ新製品。
しっかりとした高密度な音であり、エネルギーバランスの良さ、音のしなやかさなど、最高級機らしいパフォーマンスを印象づけられる。
弦奏での力感も十分だが、弱奏での奏者の抑制のエネルギーも存分に伝えてくれる。
音の抜けも良好で、シンバルのアタックでの金属感や、細かい振動の再現など実にすばらしい。
タムやフロアタムの大きさを感じさせる鳴りと、アタックの立ち上がりも見事。
明快なピアノ、よく鳴りながらふやけないベースも、リアル。
クリアでありながらしなやかな音は、充実した機能ともども魅力的だ。


list

【ソニー商品のしおり54より】

PCM-HF10の特徴 \238,000(写真左)

PCM-HF10

・EIAJ14ビット標準フォーマット採用のPCMプロセッサとハイバンド& ベータハイファイを横幅355mmのボディに凝縮したPCM/ハイバンド・ ベータハイファイデッキ
・デジタルで最長5時間(L-830使用)ものFMエアチェックが可能
・PCMデッキとして使用するときに便利なオートマチックインデックスマーカー。
これは、録音開始時や録音中、無音部分が3秒続いた場合、自動的にインデックス信号 を打ち込む機能。
これにより前後9曲までの自動頭出しが可能。
・1本のテープにデジタル録音とテレビ録画ができるTV/PCMマルチプログラム。
しかも、番組予約状況をテレビ画面に表示可能。
・コントロール入力端子にベータプロ(コントロール出力端子を持つビデオ) を接続し、自動編集も可能。
・曲間の揃った録音が行えるオートスペース付きREC MUTE

PCM-501ESの特徴 \99,800(写真右)

・他のオーディオシステムとのマッチングが取り易い、 薄さ8cmの据置型PCMデジタルオーディオ・プロセッサ
・EIAJ標準フォーマットを装備。
16ビット時、ダイナミックレンジ90dB以上、 ひずみ率0.005%以下という高特性を獲得。
・高性能16ビットA/D、D/Aコンバータや、REC、PB、SYNC-SEP用のLSIを採用。
・ビデオデッキの長時間モードでの録音・再生を可能にしたOVC(Optimum Video Conditio)調整機能を装備。
・-50〜0dBのワイドレンジ・プログラムメーターを採用。
しかもピークホールドとリアルタイムレベルを同時表示するダブルインジケーション 方式。
・ビデオデッキのトラッキング調整が容易に行えるトラッキング・オプティマム 表示。
・PB MUTE ON/OFF機能
・任意に無信号部が作れるREC MUTEスイッチ。
・画像モニター可能なMONITOR OUT端子装備。

PCM-553ESDの特徴 \150,000

・他のオーディオシステムとのマッチングが取り易い、 薄さ8cmの据置型PCMデジタルオーディオ・プロセッサ
・EIAJ標準フォーマット(14/16ビット)を装備。
16ビット時、ダイナミックレンジ90dB以上、高調波ひずみ率0.005%以下という高特性を 獲得。
・デジタルIN/OUTインタフェース端子を装備。
D/Aコンバータユニットと組み合わせ、さらに純度の高い録音/再生が可能。
・ビデオデッキの長時間モードでの録音・再生を可能にしたOVC(Optimum Video Conditio)調整機能を装備。
・最適な録音レベルを設定しやすい、ワイドレンジのピークホールド付き プログラムメーター。
・組み合わせるビデオデッキのトラッキングが容易に調整できるトラッキング インジケータ。
・任意に無信号部が作れるREC MUTEスイッチ。
・電源のON/OFFに関係なく、画像モニター可能なMONITOR OUT端子装備。
・ボリューム付きヘッドホン端子装備。


DYNAMICRON

 ソニーが発売していたPCM専用テープ。
 超ハイファイ録音のできる高性能PCMデジタル録音専用ベータテープ
 L-250P \3,200
 L-500P \4,000
●PCM録音に障害となるドロップアウトを極度に低減。
 忠実で高密度なデジタル記録可能。
●ミクロン単位の精密部品を採用し、高い走行安定性を実現。
●再剥離可能なラベルと50曲まで書けるインデックスカード付き。
●マスターテープとして保存に便利なハードケース採用。

ちなみに当時の普通のベータビデオテープの値段はハイグレードのL-500HGで\3,000であった。
ウルトラハイグレードL-500UHGが\3,500、PROタイプが\4,000でハードケース入り。
PCM用テープのテープそのものはPROタイプと同じものだったのであろう。


●オーレックスXDシリーズの広告より

おなじ音楽でも、今日から美しさの次元が違う。

・「未来の声」がやって来ます。待ちに待ったあなたの部屋に。
はるか宇宙から、ボイジャー号の送って来た土星の姿。
あの鮮明な画像の秘密が、デジタルによる通信だった。
このエピソードからも、デジタルの素晴らしさがわかります。
それほどの実力だからこそ、”夢の”とか”未来の”といった言葉でオーディオのデジタル化も待望されていたのですね。
さて、このデジタルと音楽との関係。
すでにプロ・レコーディングの世界では珍しくはありません。
ほら、あなたのレコード・ライブラリーにもデジタル録音ディスクが一枚や二枚はあるはずです。
でも、もっとすばらしいデジタルと音楽との関係が始まります。
それもあなたの部屋で。
本当の意味でのデジタル・オーディオ時代が、いよいよやって来ます!

・ビデオが、超高性能なレコーディング・マシンになる
あなたが手にする最初のデジタル・コンポXD-80。
アナログ信号をデジタルに、またデジタル信号をアナログに変換するこのXD-80とホームビデオを組み合わせることでプロスタジオ級の録音性能を約束。
さっそくその凄い性能をご紹介しましょう。
(1)周波数特性は、10Hzから20kHzまでフラット
(2)高調波歪率は0.015%以下
(3)ヒスノイズは原理的にゼロ
(4)Dレンジは実に85dB以上
(5)ワウ・フラッターは測定限界以下
と、デジタルならではの高スペックなのです。
従来のディスクのDレンジが50〜60dB程度だったことを思えば、音の迫力は想像以上、です。
低域は10Hzから、高域も歪やノイズも桁違いの少なさで20kHzまで素直に伸びるとなれば、その音のリアリティは、まさに期待通り、です。
ではXD-80の高性能からなにが起こるのか?
もっとも身近なソースであるFMエアチェックを考えてみましょう。
まずXD-80を手にした日からFM番組表を見るのがはるかに楽しみに、はるかに真剣になるはずです。
デジタルならではの音の良さでFMを(レコードと並ぶ)第一級のソースとして認識を新たにすることでしょう。
特にライブ実況やPCM中継放送は、聞き逃せなくなります。
しかもビデオカセットに録音するためTV録画と同じ長時間録音が可能。
まず流し録り、そして次はデジタル・コピーで編集です。
デジタルだからコピーによる音の劣化は皆無。
さらに、もし何回も聴いて多少信号が劣化してしまっても、デジタル・コピーすることで元通りの正しい信号に復元記録することもできるのです。
これならFMエアチェックだけでなく、レコードをデジタル録音して永久保存しておこう、なんて人も増えそうですね。
また流行の、バンド演奏の自宅録音にも、圧倒的なDレンジを持つデジタル録音は画期的なはず。
XD-80ならデジタル・ミキシングもできます。
また2台のビデオでピンポン録音も。
多重録音はS/Nが悪くなって、といった常識もデジタルなら無縁です。

・ポータブルビデオにはXD-60。野外録音もデジタル時代に入る。
XD-80があなたの部屋にデジタル・オーディオ時代をひらくなら、XD-60はポータブルビデオとのコンビで、野外録音もデジタル時代に変えてしまいます。
本体重量わずか3.2kg(この数字、実は世界最軽量!です)キャビネットも、幅277×高さ115×奥行き264(mm)という小ささ。
もちろん、3電源方式。
デジタル録音のための高S/Nマイクアンプ、野外録音の風からの影響を避けるローカットフィルター、さらにはマイク出力調整用アッテネータSW、高出力ヘッドホンアンプも備えて生録のクオリティをはるかに拡大。
むろんソース収録後はデジタル・ミキシングで編集してください。
小さな無視の羽音も巨大なジェット機の爆音もありのままの、デジタル・リアリティ!

・夢をカタチにするオーレックスのデジタル技術
さて最後に、オーレックスXD-80/60の技術的特長をコマーシャル。
最近”デジタルを扱うコンポは、どれもみな音は同じなのか?”というご質問をよく受けますが、答えはNO。
たとえばデジタル・プロセッサーでは(1)アナログを扱う部分と(2)デジタル符号を扱うぶんおよび(3)記録部の3つから成りますが、デジタル部と記録部では、データに間違いが無い限り、音質に影響をきたすことはありません。
ところが問題なのは、A/D、D/A変換機を含むアナログ信号を扱う部分です。
この部分だけは従来のオーディオと同じく音楽信号そのものが回路を通過するわけでデジタル・コンポといえども、高度なアナログ技術を要するわけです。
そこでXD-80/60では、オーレックスの高級プリアンプとパワーアンプで採用し、注目を集めているΛコンデンサーや大容量GUコンデンサーといった高性能素子を投入。
回路設計以前の部品段階からクオリティを徹底して突き詰めています。
さらに、安定したデータ抜き取りを約束するADSD回路や、接続するビデオを問わず、どのビデオとの組み合わせにも美しい音質を約束するASSC回路など、オールオーバーに音質重視設計を貫きました。
また、デジタル・オーディオ機器では、その内部回路の多くがIC化され、LSI化されているのですが、この分野でもオーレックスXD-80/60には、TOSHIBAの宇宙通信技術やコンピュータ、ビデオといった時代の最先端エレクトロニクス技術を駆使。
デジタル・プロセッサ専用の新たなLSIをソニー、三洋と共同開発するなど、デジタル・オーディオを、夢に終わらせず広くコンシューマーのものとするために研究・開発を推し進めています。
これからは、総合エレクトロニクス技術こそ、”音響技術”といえるのですね。
いよいよ始まったデジタル・オーディオ時代、オーレックスは夢を、カタチにします!


【オーナーの声】

東芝A-900PCM

A900PCM 1
A900PCM 2
A900PCM 3
情報提供は合場様です。画像提供は矢島様です。

 例のデッキをおよそ10年間使ってみた感想ですが、長所としては160分テープを使えば連続8時間、CDなら8枚分録音できることでしょう。
 標準モードと3倍モードでの音の違いは、素人の私の耳ではほとんどわかりません。
 学生時代はレンタルCDをコピーして、それをマスターにして必要に応じてアナログテープにダビングしてウォークマンで聞いていました。
 VHSテープは今では1本200円程度で買えるので、とても低コストでCDをコピーできることも見逃せません。

 次に短所ですが、頭出しのマークが録音のスタート時に自動で打ち込まれるだけなので、テープの途中でうっかり巻き戻してしまうと最後に録音したものの終了点が分からなくなる点です。
 マニュアルで録音途中でマークを打ち込むことができるのですが、録音終了直前にこれをやらないと後でとても苦労します。
 さらに、3倍モードだとトラッキングの調整がかなりシビアなので、テープの保存がいい加減だと安定して再生できなくなります。
 テープの伸びもかなり大きく影響する様で、途中で長時間止めたままにしないなど神経を使います。
 長所にも繋がる点なのですが、テープ代が安いのでどんどん録音してしまい、増えつづけるテープに部屋のスペースが浸食されることも短所として最後に挙げておきましょう。

 以上、長所と短所を列挙しましたが、現在ではレンタルCDを借りに行くことはめったになく、もっぱらst.GIGAのエアチェックに使っています。
 新譜CDを片っ端からフルサイズで放送しているので、レンタルより安く、かつVTRのタイマーを使えば確実に聞くことができます。
 しかも150分番組を複数録音できるのはこのVTRならではです。

ソニーPCM-501ES

情報提供は白鳥様です。

 私は、ソニーのPCM−501ESを使っています。
 今から10年程前に親戚から譲り受けました。
 その当時はβのデッキ(東芝のセパレートタイプでソニーのOEM製品)で活用していました。
 さすがに相性バッチリでβ3モードでも大変安定した動作をしていました。(βはいい!)
 しかし、βテープの入手が困難になり、私もVHSを導入しました。
 標準モードではβと同じ位安定した動作を得ることができるのですが、3倍モードでは微妙なトラッキングを必要とし、それでもエラーが頻発しました。
 (3倍モードはデッキの相性がかなり出るようです。)
 その後、いろいろなデッキで試したところ古いデッキのほうが安定しているのです。
 推測ですが、どうも高画質技術(HQ等)に相性の問題があるようでした。
 現在では、S−VHSのデッキ(三菱製)で使っています。
 S−VHSテープでさらに画質調整をソフトにしてつかうと大変安定します。
 やはり高画質が苦手なのでしょうか?
 現在は、有線放送などのエアチェック、レコード等アナログソースの保存用に使っています。
 MDと違いアナログからデジタルにしても何度でもコピーできるからいいです。
 そして、必要に応じてMDなどにダビングしています。
 VISSを活用すれば頭出しもそれほど面倒くさくないですし、過去のソースのバックアップには適しているかと思います。
 S−VHSテープで使っていますが最近は、値段も安くなったので良しとしています。(時間の単価では、カセットテープよりも安くてなおかつ音が良い。)
 音質については、MD(ソニーMDS−302)との比較で、高音域が良く聞こえます。
 個人的にはMDよりも好きな音です。

 最後に自分なりの長所と短所を上げます。

 長所 
    1.非常に安価でデジタル録音が楽しめる。
    2.8時間もの連続録音ができる。
    3.デジタルでのダビングが永久にできる。(アナログ音源)

 短所
    1.ビデオデッキとの相性がある。
    2.現状において、故障すると修理がきかないと思われる。
     (後継機が無いため、PCMソースが無駄になってしまう。)

 こんな感じです。再生産されればいいのですが・・・。

【筆者より】
 PCMプロセッサのレポート、ありがとうございました。
 PCMプロセッサの中古がどこかに無いかという問い合わせを多く受けています。
 それだけ需要が多いということですから、メーカーも本格的に再生産を考えるべきだと思います。
 2万円でHi-Fiビデオが買えてしまう今こそビデオを高級デジタルオーディオデッキに変身させるPCMプロセッサの存在意義があると思います。
 再生産される可能性はまず無いですが、アイワあたりが出してくれるとおもしろいのだが。


【新聞記事】

VTRで録音再生するPCMアダプタ規格統一で12社合意−−工業会で正式決定

 79年2月8日 日本経済新聞 朝刊

 VTRをPCM録音・再生装置として活用するためのアダプタが近く商品化される音響機器メーカー12社で仕様案がまとまり、日本電子機械工業会で統一規格として認められそう。
 このアダプタで音声をデジタル信号化して、VTR録音・再生するしくみで原音に近い録音・再生ができる。


【当時の時代背景】

 PCMプロセッサが発売されていた1980年代前半はFMエアチェックがブームだった。
 FMで放送される長時間オペラ番組などを録音することにみな頭を悩ましていた。
 カセットテープではとうてい時間が足りない。
 オープンリールテープを低速モードでかつリバースで使用すれば録音は可能だったが、オープンテープはあまりにも取り扱いが不便である。
 もっとカセット並の簡便さで長時間高音質で録音できるメディアが要求されていたのである。
 そこで各社がオープンよりもはるかに高音質ではるかに長時間の連続録音ができるという触れ込みでPCMプロセッサを発売してきた。
 ちなみに、AKAI/TEAC/TDK/maxellの4社はEEポジションというオープンリールのクロームテープバージョンを作っていて、中でもアカイはエアチェックコンポと称してFM放送の録音をターゲットとしたモデルを発売していた。

 現在のFM放送からはもはや想像もつかないが、70年代末期から80年代初頭はFM放送を録音して音楽を楽しむことがもっともポピュラーなオーディオライフスタイルだった。
 その頃のFM番組は今のようによけいなおしゃべりなどなく、音楽そのものをかけてくれていた。
 もちろん邪魔なアナウンスが曲にかぶることもなく、最初から最後までパーフェクトに演奏を流してくれていた。
 貧乏な学生だった私にとって、FM放送は高音質の一級品の音楽ソースだったのである。
 本来の音楽の主流であるはずのLPレコードはそのコストパフォーマンスからもおいそれと買える代物ではなかった。
 買ったレコードはだれもがみなカセットテープにコピーして、テープの方を聴くことが多かった。
 たくさん曲がつまったLPでさえ、あまり買えない値段だったのでシングル盤にいたってはこれはもう暴利としか言いようがない値づけであった。
 こんな1曲だけのためにシングルレコードを買うのはそうとうなファンに限られていたのである。

 アナログレコードはコンパクトディスクに負ける前に、すでにオーディオの主流からは外れていたのである。

 だからこそ、みな必死でFM番組表を見てターゲットとなる番組を絞っていた。
 当時のヒット曲はみなラジオから録音して楽しんでいた。
 70年代末期まで民放FM局は東京、愛知、大阪、福岡の4局しかなかった。
 その頃はFM雑誌も東日本版(東京のみだったのか?)と西日本版(愛知、大阪、福岡)の二種類に分かれ、それぞれの地域の民放局の番組表が載っていた。
 なお、筆者は当時のFM雑誌は西日本版しか見たことがないので、東日本版がどのような誌面構成だったのかは知らない。(^_^;)
 エアチェックブームの頃は新聞にさえ週間FM番組表が載っていた。
 その後、愛媛を皮切りに各地に民放FMが誕生していくが、放送局が増えるというのにエアチェックブームはなぜか下火になっていく。
 理由は貸しレコードの出現によるものが大きいと思うが、それ以外でも思い当たる要素はある。
 FM雑誌の頼みの番組表が、ローカルFM局では単なるタイムテーブルになってしまい、まったく意味のないものになってしまったからだと考えられる。
 今、CS-PCM放送がちょうどエアチェック全盛時代の頃のFM放送に立場が似ていると思う。
 CS-PCM放送の番組を見ている限り、とても魅力的であるが録音するには長時間なので不便である。
 ビデオデッキが手軽に購入できる現在こそ、PCMプロセッサがあると長時間番組の録音に便利なのである。
 メーカー各社には再生産を一考願いたい。


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