オープンリールテープデッキの部屋

最終更新日2001年5月3日


【概要】

アナログ記録のテープメディアにはさまざまなものがあるが、やはり原点はオープンリールタイプ。
一般人にも手軽に録音する楽しみを教えてくれた偉大なものである。
だが、オープンであるがゆえにテープの装着をはじめとする取り扱いには難があった。
一般素人ではテープを傷つける恐れが多大にあり、コンパクトカセットテープに民生機器市場では負けてしまうことになる。
大昔のスパイ大作戦などで「このテープは自動的に消滅する」でおなじみのテープ規格である。

文字どおりテープをむき出しにして二つのリールに巻き付けて走行させるのが最大の特長である。
テープ幅とスピードは以下の通り。
コンパクトカセットテープに比べると圧倒的にテープ幅は広く、スピードも速いので単位時間当たりの記録面は実に広いものである。
そのためにオーディオ録音用としては小細工が一切不要で極めて自然な音を再現できる。
永らくレコードのマスターテープ用として使われてきている。

テープ幅一覧表
インチ幅ミリ幅テープ種類
250.8ビデオオープンリール(4ヘッドVTR用970)
125.4ビデオオープンリール(V-16)
3/419Uマチック
1/212.65ベータ、VHS、ビデオオープンリール(AL,HD)
1/46.3オーディオオープンリール、エルカセット、8トラックカートリッジ
20/33.81コンパクトカセット、マイクロカセット

テープスピード一覧表
inch/seccm/secJIS呼称主な用途
1538.138cmオープンリール
7*1/219.0519cmオープンリール
3*3/49.5259.5cmオープンリール、エルカセット
15/84.76254.8cmオープンリール、コンパクトカセット
15/162.381252.4cmマイクロカセット
15/321.1906251.2cmマイクロカセット


【田村様御提供のオープンリールオーディオ発展の歴史】

レコードと共に発展してきた、オーディオですがその記録媒体として磁化させることで音声記録が出来ることが発見されてからワイアーによる方式、紙テープに磁気コート方式と 変遷をへて、プラスチック系のベースによる磁気コートが可能となったことにより飛躍的な進歩を遂げました。
(この歴史は、各種の資料が発行されていると思います)

日本では、国内メーカとして多分最初に製品としてリリースされたのが東通工(現ソニー)で、この製品も初期型は紙テープの利用であったと思いました。
その後各メーカからプラスチック系のベースに対応する製品がリリースされました。(当然モノラルです)
昭和40年前後と記憶してしていますが、我が家にもシャープ製のものが兄の勉強(確か英語?)用に登場しました。
この製品はテープの形式で言うと5号以下のリールがかかるのみでしたし、スピードは9.5cm/秒が標準であったと記憶しています。
(当然内蔵アンプは真空管です)

オープンデッキが注目を集めたのは、家庭にTVの次に導入をメーカ側が火を付けた形で 流行った「据え置き式ステレオセット」で各社この製品に全勢力をかけていました。
話がそれてしまいますが、オープンデッキと結構深い繋がりがあるので書きます。
大きさ的には、一抱えはゆうにある筐体が3つで構成されています。
当然その内の2つは左右のスピーカですが、残りの筐体はプレーヤ、アンプ、チューナーが一体となっている代物で、センター部分とスピーカの 接続をすればそれでOK(丁度現代のミニコンポの大型家具調版と考えて頂ければと思います)
そのセンター部分の下側にレコードを格納してもよしと言った空間がありメーカのカタログには、 レコードより格安のオープンデッキをイメージ写真として載せていました。
この関係でこのステレオ(この当時は全てこの呼び方をしていた)には絶対必要はアイテムと 言ったことを消費者に植え付けた形でオープンデッキの普及が始まったと記憶しています。
但し、それ以前に一部のマニアの間では当然既に認知されていましたが・・・

ステレオセット(?)が当時(昭和45年頃)の価格で10万台が主流で 松下(テクニクス)、ケンウッド(当時は”トリオ”)、日立(ローディ)、 東芝(まだ、オーレックスと言わなかった)、三菱(ダイヤトーンではない)、三洋 (オットー)、等々 どちらかと言うと家電メーカが中心で製品を作っていました。
そのオプションとしてオープンデッキがあり価格は2〜5万前後と記憶しています。
当然、構成は、1モータ、2ヘッドで、メカニカル(かなり操作に力が必要)であったものが主流でした。
その後、このステレオがコンポーネントに発展的な形で進化したと同時に オープンデッキもかなりの市民権を獲得することが出来ました。
(その数年後にカセットデッキの頭角があることはまだ判らずに)

話が、少々長くなりますが、この市民権を得た時点からがほぼオープンデッキの華々しい時代と思います。
各メーカこぞって、色々な製品を出してきました。(昭和47年頃と記憶しています)
テアック、ソニー、アカイ、ビクター、テクニクス、パイオニア、オタリ等々

個別に各メーカの内容と覚えている限りの型番とその特徴を書きます。
(記憶の範囲で書きますので若干間違いがあるかもしれません)

1.ティアック

放送局仕様からの発展系が多く存在していますので、その製品は3モータが主流で録音形式も当然2トラックとなっていました。
A-6000シリーズ 
3モータの原型で結構な値段だったと思いました(高嶺の花)
A-7000シリーズ 
3モータで6000型との姉妹機であり、10号テープがかかったと思いました
38・2トラ(30cm/秒 2トラックの片道録音の意味)
A-2300
3モータ、3ヘッドの普及機でメカニカルからプランジャによる電子スイッチにての快適な操作が可能となった製品でヒットしました
但し、19cm/秒で4トラックもので、7号までしかかかりません
小生も持っていました)
A-3300シリーズ 
2300姉妹機で10号テープがかかります
38・2トラの普及の原動力となった製品と記憶しています??
2.ソニー

ソニーは、完全に一般市場をターゲットにしていたため4トラック製品が多く、かつ、低コストを 狙ってか1モータの結構面白製品が多く信仰者も沢山いたように記憶しています
TC-(型番忘れ) 
1モータ3ヘッドでテープローディングが狭い隙間にテープを通さずに済む画期的なもの
さらに操作面がスタジオ仕様のように傾斜しており、その傾斜角も外側の筐体の向きを変えることで 変わると言ったユニークなものでした
(友人が購入、ベストセラーと思いました)
TC-9400
3モータ3ヘッドの普及機でソニーの会心作で市場の逆転を狙った商品(小生も購入)
あとの製品は、革新的なものはなかったと記憶しています

3.アカイ

アカイはヘッドの構成とその役割に関して独自の技術とノウハウを持っていました
磁気記録をする上では、バイアスを録音ヘッドにかける必要があるのですが、このバイアスが録音ヘッドに悪影響(帯磁)を及ぼすとアカイは考えて、録音ヘッドの反対側にバイアス専用のヘッドを設けて録音することをセールスポイントとしていました
但し、この関係でテープローディングが大変煩わしいものであったと記憶しています
(友人宅にあり、一時は購入も考えましたが、コストバランスが悪く残念しました)
申し訳ありませんが、このアカイは使用経験が浅いため型番単位には書けません
4.ビクター

このメーカは4チャンネル時代で一世を風靡した関係からとてもユニークな製品がリリースされています
特に4ch対応で1モータ4ヘッドその内3ヘッドがディスクリート4chの録再化とその機能として当時は注目だけは集めました
(その後他メーカからも同様な仕様の製品が雨後の竹の子の如くリリースされました)
小生としては、1モータ3ヘッド4トラの入門機を一度手に入れましたが、使用期間はあまりにも安っぽかった(498です)ので短命でした
5.テクニクス

当時はまだ、パナソニックはあくまで海外ブランドであったと記憶していますが 初期のタイプは総合家電メーカの如くオーソドックスな498タイプが主流でしたが、 突然変異(?)で、Uメカと言う下記の製品をリリースして業界を「あっと驚く為五郎!」状態にしました。
RS-1500シリーズ 
業務水準のモータ、プランジャを多用して、その独特のローディングに関して今までのオープンデッキの常識を覆しました
38・2トラ標準の3ヘッドに4トラ用再生ヘッドを搭載した4ヘッドモデルが中心で10号テープまでかかりました
またヘッドアッセンブリー部分がダイキャスト仕様であり簡単に交換が可能で色々なヘッド構成を楽しめる(?)ことも最大のメリットとして売れていました
現在我が家で残っている機械で、若干の不安はありますが良い音を醸し出します)
6.パイオニア

あのパイオニアもオープンデッキを作っていたのです、でも結構マイナーでカタログの端にすまなそうに掲載されていました。
ただ面白いのは、カセット時代に突入する直前のリリースであったため、その形状がラックにボルトで設置可能な高さが随分低い仕様で、アンプ系と 同一の高さのものとなっていました。
この型番も忘れてしましたが、7号までがかかり、業界ではとってもユニークな2モータを採用して その操作性の向上をはかっていました
操作ボタンもまたユニークで丸形のプッシュボタンにて再生等を実施していました(今標準となっているアンプ型の全面にテープがかかるイメージです)

7.オタリ

このメーカは放送業界御用達のブランドであり、あくまで一般流通は作成しないことが当時の基本で その形状はすべて現在の洗濯機と乾燥機の設置用器具をつけたような形であり、洗濯機の上部にテープをかけその手前に大きな操作スイッチが色とりどりで存在する、再生アンプはテープセット部の 上部に存在し大型のレベルメータが標準で装備されていました。
そのアンプ部分は左右別々で存在し、AM仕様であれば一台、FM仕様であれば二台とその仕様により増設が可能と形状となっていました。
カセットに置き換わる直前にトップの判断からか一般用のリリース(38・2トラ)を開始しましたが 時既に遅しで、その製品の価格も一般向けではなかったため一部マニアのみが入手しただけと思います。
(小生は赤貧学生であったため、カタログと雑誌のレポートを穴の空くほどみていたことを覚えています)

8.その他

あとのメーカはそんなに商品のリリースはしていませんでした。
(多分、OEMかなにかで、適当に商品構成を揃えていただけかも)

生テープパッケージの例

SONYテープ

TDKテープ

Nationalテープ

Scotchテープ


ハードウェアの例

Lo-Dデッキ

SONYデッキ1

SONYデッキ2

AKAIデッキ

VICTORデッキ

PIONEERデッキ


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姉妹編・オープンリールEEポジションの部屋

筆者はオープンリールのオーディオデッキは扱ったことがないのであまりよい記事が書けません。
オープンリールオーディオデッキのことについて何かお知らせしたいことがある方は筆者まで連絡ください。
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